八十岡×川崎のスタンダード・ウォッチング

RPTQバンクーバー結果:前編

Be6fef23 a22d 4498 bf1f 5c5761e19e57

みなさま、おまたせしてました!

プロツアー・バンクーバー2015地域予選 東京大会直前のメタゲームをまとめて復活した八十岡×川崎のスタンダード・ウォッチングでしたが、今回もやります!RPTQバンクーバーの結果をみて、メタゲームをまとめちゃいます!

八十岡×川崎のスタンダード・ウォッチング:RPTQバンクーバー直前編

この記事を初めてみるという人に簡単に説明すると、かつて、MTG日本語公式サイトmtg-jp.comにて超不定期に掲載されていたスタンダード解説記事がありました。

その名も、『八十岡×川崎のスタンダード・ウォッチング』!!

八十岡×川崎の「新」スタンダードウォッチング:第1回

八十岡×川崎の「新」スタンダードウォッチング:第2回

八十岡×川崎の「新」スタンダードウォッチング:第3回

八十岡×川崎の「新」スタンダードウォッチング:第4回




ざっくりと内容を紹介すると、特にプレイをするというわけではないのにスタンダードのメタゲームの流れを知りたいだけのカタリ野郎である僕こと川崎 大輔に、「マジックの鬼神」八十岡 翔太さんが丁寧にスタンダードを教えてくれるという体裁で茶番を繰り広げる記事でした。

というわけで、プロツアー地域予選の結果をうけてスタンダードメタゲームの旅をナビゲートしてくれるのは、スタンダードで開催されたプロツアー『タルキール龍紀伝』で見事準優勝し、さらにグランプリ・京都でもトップ8に入賞した、「青黒の鬼神」八十岡 翔太さんです!!
 
八十岡 翔太

八十岡 「聞きたいんだけどさ、今回ってRPTQのメタゲームの結果を書くって感じなんだよね?」

川崎 「もちろんですよ!」

八十岡ライザの書いたブレイクダウンを読めば十分じゃない?」

川崎 「うーん、まぁ、そうなんですよね、言ってしまえば。ライザさんのブレイクダウンのクオリティが高いから、すでにこのスタンウォッチをやる意味が無くなってるという話はありますよね……」

八十岡 「うん、これよく書けてると思うよ。だから、もう、今回やる必要ないよね?オレ、帰りたいんだけど」

川崎 「いやいやいやいやいや」

八十岡公式に内緒で復活させた記事とかに巻き込まれたくないよね、正直に言えば」

川崎 「いやいやいやいや。みんな、八十岡さんの視点でのメタゲームの分析を読むの楽しみにしてますから!なんか頑張って、もっと無理やりにでもひねり出した内容をお届けしましょうよ!」

八十岡 「もう、自分で無理やりひねり出すって言っちゃってるじゃん。でさ、なにを書くの?すでにデッキの分布とかは掲載されてるよね。例えば、何をひねり出すつもりなのよ」

川崎 「うーん……エスパードラゴンの対策カードの使われ方とか?」

八十岡あるよね?

川崎 「そっか……うーん……アブザンアグロに絆魂が増えてきてたこととか?」

八十岡あるよね?

川崎 「ですねぇ……じゃあ、赤単アグロが単色化しつつあることとか?」

八十岡あるよね?

川崎 「うーん……うーん……今、流行気味のアブザン大変異の流行の兆しがあったこととか?」

八十岡あるよね?

川崎 「ホント、なんでも書いてあるな……あぁ、じゃあ、ローグデッキをとりあげるってのはどうですか?」

八十岡あるよね?

川崎 「じゃあ……」

八十岡あるよね?

川崎 「なんなんですか、もう!」

八十岡 「文句はライザに言ってよ」

川崎なんで全部書いてあるんですか!やることないじゃないですか!

八十岡 「だから、文句はライザに言ってってば……まぁ、話してるうちになんかネタ見つかるかもしれないじゃない」

川崎 「そうですね、じゃあ、はじめましょうか」

八十岡あれ?

スタンダードウォッチング向けのネタを片っ端から潰しに来る石村 信太郎さんことライザさんとの仁義無き戦いには後日決着をつけるとして、最後に逆ギレ気味に持っていったことで、無事、八十岡さんが帰るのを引き止めることに成功しましたよ、みなさん!

というわけで、スタンダード・ウォッチング、スタートです!

■グランプリ・京都について

川崎 「さて、まぁ、前回もフォローできませんでしたし、直前に開催されたグランプリ・クラクフの結果を見て、そこからの流れで、RPTQについての話をしていきますか」

八十岡 「そうだね。まぁ、実際のところ、グランプリ・クラクフの結果がRPTQのメタゲームに与えた影響は大きいからね」

川崎 「と、その前に、なんですけど。クラクフと同日開催だったグランプリ・京都の話でもしましょうか」

八十岡 「なんで?レガシーの大会だから関係ないでしょ。これ、スタンダード・ウォッチングじゃん。なんでレガシーの話するのよ」

川崎 「こないだ、このDig.cardsに『J-SPEED』さんこと原根 健太さんのレポートが掲載されたじゃないですか」

「J-SPEED」原根健太のGP京都レポート:直前準備編

「J-SPEED」原根健太のGP京都レポート:GP本番編

八十岡 「あぁ、のってたね」

川崎 「あれ、大反響でしたし、原根さん本人も八十岡さんサイドの視点であの準々決勝の話を聞いてみたいって言ってたので、せっかくだから聞いてみようかなって」

八十岡 「なにがせっかくだから、なのよ。まぁ、少しならいいよ」

川崎 「ありがとうございます」
 
エムラクール相打ち
 
引用元:

マジック:ザ・ギャザリング グランプリ・京都2015 Day2

http://live.nicovideo.jp/watch/lv216711744
 
Through the Breach / 裂け目の突破

川崎 「じゃあ、さっそく、まずはあの衝撃的な 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 相打ちからの、土地無しで 《全知》 のみになったシーンについて聞いてもいいですかね。ちょうど放送で藤田 剛史さんも言っていたんですけど、そもそも 《裂け目の突破》 で対応しようっていつから考えてたんですか?

八十岡 「うーん……それについて話すためにはあの対戦でオレがもっと前にしてたプレイミスについて話さないといけないんだけど、気がついてた?」

川崎前日の夜、徹夜してたとかですか?」

八十岡実際してたし、半分くらいは当たりなんだけど、まぁ、細かく言うと違う。多分、なんだけど、彼もレポートの中で、自分が 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 を出す時に、 《狡猾な願い》 の枚数を予想しながら 《蟻の解き放ち》 のパターンは無いって考えてたってことは、気がついてなかったんじゃないかな」

川崎 「ん?よくわからなくなってきたんですけど、実は 《蟻の解き放ち》 のパターンはあったってことですか?」

八十岡いや、オレはむしろ逆で、目がない、つまり 《蟻の解き放ち》 パターンをする目が無いのが客観的にわかる状態にしちゃってたんだよね

川崎 「え?うーん、僕、あのゲームって5~6回くらいは繰り返し見てるんですけど、特別そういう感じは無かったと思うんですけど……そんな奥深いプレイがあったんですか?」
 
Brainstorm / 渦まく知識

八十岡むしろ、浅い。 《渦まく知識》 を4枚撃ちつくしてた

川崎 「うわ、ホントだ。今、数えたら、本当に 《渦まく知識》 を4回うってる! 《蟻の解き放ち》 で勝つには、山札のトップに 《渦まく知識》 でエムラクールを積み込まないといけないですもんね。これじゃ、たしかにインスタントタイミングでの 《蟻の解き放ち》 パターンは無いですね

八十岡 「うん、そうなんだよ。オレもうっかりしててさ。使った後に、あれ?これ、4枚目じゃね?って思ってそっと確認したら4枚目でやべ、って思ったんだよね。前日の徹夜が影響していなかったとはさすがのオレも言わないわけにはいかないかもしれない。で、そもそも 《狡猾な願い》 を2枚サイド後に残してた最大の理由はそこのパターンを残すためだったから、2枚目の 《狡猾な願い》 の価値がめちゃくちゃ下がってたんで 《意志の力》 のピッチコストにしたんだよね」

川崎 「なるほど。やっぱり 《狡猾な願い》 は2枚に減らしてたんですね。で、逆に原根さんは 《外科的摘出》 を使われたことで八十岡さんの 《狡猾な願い》 のイン・アウトの枚数を予測して、その上でピッチコストで使われた 《狡猾な願い》 を見て、別の方向から 《蟻の解き放ち》 は無い、っていう読みをしていたわけですね。面白いなぁ」

八十岡 「ね。だから、結果論だけどあそこで4枚目の 《渦まく知識》 を使って無いで手札に残してたら全部のパーツが揃ってたし 《狡猾な願い》 も通ってたわけだから、インスタントタイミングで 《蟻の解き放ち》 で勝つプランで勝ってたわけだよね。そう考えると、なかなかでかいプレイミスだったなと思う。Game 1でキャントリップをひかなすぎた分、Game 2で引きまくってテンションあがっちゃってた部分があるのも否めない」

川崎 「じゃあ、 《意志の力》 のピッチコストに 《狡猾な願い》 を使ったあたりではすでに 《裂け目の突破》 を持ってくることは大体決めていた感じなんですね」

八十岡 「あの時点では間違いないね。4枚目の 《渦まく知識》 を使ってることに気がついてからは、もう、 《狡猾な願い》 で持ってくるカードは 《裂け目の突破》 しかないかなとは考えてた

川崎 「なるほど」

八十岡 「むしろ、彼が 《実物提示教育》 を撃ってきたターンって、彼が動いていなかったらオレがターンエンドに 《狡猾な願い》 を撃って、そっから 《裂け目の突破》 を持ってきて《エムラクール》で勝つ予定だったからね。1ターン早く相手が噛み合ったっていうのはある」

川崎 「なかなかギリギリの勝負だったんですね」
 
全知をついにはがす
 
引用元:

マジック:ザ・ギャザリング グランプリ・京都2015 Day2

http://live.nicovideo.jp/watch/lv216711744


八十岡 「あのゲームはタイミングが紙一重で噛み合わないことは多かったね。 《全知》 が2枚とも壊されたあとも 《若き紅蓮術士》 をひくのが1ターンか2ターンくらい遅かったよね」

川崎 「そういや、最後の最後ギリギリで 《若き紅蓮術士》 を引いたけど出さなかったのはなんでですか?」

八十岡 「あそこのエンドで 《時を越えた探索》 を撃って、万全に近い体制にしてから 《若き紅蓮術士》 を出して勝つ予定だったんだよね。動画見る限り相手もあのターンにちょうど揃った感じだったみたいだし、ほんと数ターンの差だったね」

川崎 「今回、オムニテルを使い始めたキッカケはなんだったんですか?」

八十岡 「キッカケ、っていうか最強でしょ、オムニテル

川崎 「わからなくはないんですけどね。あんまりコンボってイメージ無くないですか、八十岡さんって」

八十岡 「そんなことないでしょ。スタンダードにコンボが無いからあまり使わないだけで、環境に強いコンボがあるなら使いたいよ。あぁ、でも、あれだね、コンボデッキって聞いて普通イメージするようなタイプのコンボは使わないね。デッキ全体がコンボのためのデッキ、みたいなやつ」

川崎 「レガシーで言えばアドストームみたいな?」

八十岡 「そうそう。でも、コンボで相手を殺すプランを入れられるなら、それを考慮しないのはないと思う。そもそも、マジックで最強の戦略はコンボ&ビートかコンボ&カウンターの瞬殺コンボ複合戦略だからね」
 
Rude Awakening / 粗野な覚醒

川崎 「言われてみりゃ 《粗野な覚醒》 とか大好きですもんね。つまり、ビートで相手に対応を迫ったり、カウンターで相手の行動を制限することで隙を作って、その隙にキルターンが短い勝ち手段を打ち込むのが最強だと」

八十岡 「その戦略を取れるときに考慮しないことはほぼ無いと思うよ。プロツアー・アヴァシンの帰還で人間リアニ使った時だって、無限コンボ入れてたしね」
 
Terminus / 終末

川崎 「言われてみるとそうですね、あれはコンボ&ビートですね。レガシーの他のデッキだとデルバー系とか青白奇跡あたりが候補になるかなと思いますけど、このへんはどうでした?特に青白奇跡は優勝デッキですが」

八十岡青白奇跡は少し悩んだんだけど一言で言えばめんどいから、使用候補からははずれたね。めんどいって言ったら言い過ぎかもしれないけど、まさしく原根さんが記事で書いていたように受けきるデッキやプレイを考えるのは大変だし、そもそもレガシーの練習はほとんどしていない状態だったから、ある程度自分の都合を押し付けるデッキにしたかったな、って感じだね」
 
Delver of Secrets / 秘密を掘り下げる者

川崎デルバー系のデッキだった場合、クロック置いて、相手の対抗手段はじいてって感じで自分の都合を押し付けることもできるかと思うんですけど、そっち系はどうでした?」

八十岡 「デルバー系は最初から無かったね」

川崎 「あ、そうなんですか?」

八十岡 「うん。結局、デルバー系は弱いデッキに負けるんだ。メタをすごい絞って戦える環境だったらいいけど、2000人規模のグランプリだと、どうしても使う気にはなれないよね」
 
Nimble Mongoose / 敏捷なマングース

川崎 「クロックパーミッション特有の細さがどうしてもでちゃいますからね。ウワサによるとカナスレを使ったプラチナプロにして、レガシー選手権優勝経験もある市川 ユウキさんが、2日目の会場でオムニテルを借りて回しながら『こんな強いデッキあったなら教えてよー!!』って怒ってたらしいですからね」

八十岡 「瀬畑(市川)がカナスレ使ったのはただの意地でしょ」


川崎 「アーキタイプの選択じゃなくて、リストの方についても少し触れましょうか。原根さんのオムニテルは 《狡猾な願い》 によるウィッシュボードが厚めに入った形でしたけど、八十岡さんのも少しウィッシュボードが少ないもののそうですよね」

八十岡そうもなにも、オレのデッキ、元々は原根くんのデッキだよ?

川崎 「え?そうなんですか!?どっかで交流あったんですか、それこそ別TCGとかで」

八十岡 「いや、名前は知ってたけどね、D-0で。D-0やってたヤツは大体名前知ってるはず。でも、リストを教えてもらうほど交流はないね。ただ、彼のデッキがMagic OnlineのDaily Eventで4-0して掲載されていて。デッキを組むときの元にするデッキ探してたから、彼のデッキをベースに調整させてもらったんだよね。準々決勝開始前にリストの交換をした時、見覚えのあるリストだったから本人に確認したら、そうだった
 
Young Pyromancer / 若き紅蓮術士

川崎 「八十岡さんのリストと原根さんのリストの最大の違いはサイドボードの 《若き紅蓮術士》 ですかね」

八十岡 「そうだね。とにかく同型が多いと思ってたから、同型対策になるカードはなにか用意したかったんだよね。色々考えたんだけど、多分、クロック用意するのがいいかなと思って。あと、エムラクールを2枚にしてるのも、基本はぶっ放しで勝つ可能性を上げたかったのとサイドに 《裂け目の突破》 をとりたかったからだけど、 《蟻の解き放ち》 プランとか序盤の 《ギタクシア派の調査》 で確認してブッパできる可能性があって、同型対策で増やした」

川崎 「なるほど。同型対策といえば、 《実物提示教育》 を全部抜くプランも話題になってましたね」

八十岡 「サイドにクロックを用意してて 《裂け目の突破》 まである場合は全部抜いちゃっていいと思うけどね。理由は原根さんが記事で書いてる通りだよ。でも、3本目があったら2枚くらい戻してただろうね。相手が抜いた、って判断するなら、こっちも撃てるチャンスがでてくるしね」

川崎 「なるほど。終わってみてデッキリストをこうしてたなーってのはありますか?」
 
Surgical Extraction / 外科的摘出 Mindbreak Trap / 精神壊しの罠

八十岡 「うーん、 《外科的摘出》 はいらなかったかな。あと、もう1枚分どうにかしてスペースを作って、サイドボードのウチ2枚を追加の 《若き紅蓮術士》 《精神壊しの罠》 に変更したかったかな」

川崎 「あぁ、 《もみ消し》 系なくても 《精神壊しの罠》 があれば同型相手に 《狡猾な願い》 から《エムラクール》をなんとか出来ますしね。あればGame 2は勝ててましたよね」

八十岡 「リストに入ってたら相手の動きが違った可能性はあるからなんとも言えないけどね。ただ、 《若き紅蓮術士》 は3枚目があったら勝ててたんじゃないかなーと思う」

川崎 「たしかにそうですよね。原根さんも、2枚しか入っていないのは少ないとやんわりと気になってたみたいですし。なんで、これ、元々2枚なんですか?」

八十岡家さがしたら無かったんだよね

川崎 「買いましょうよ、さすがに」

八十岡高かったんだよ

川崎 「僕、その話聞いたことありますよ!」

八十岡 《精神壊しの罠》 もそうだったんだよね」

川崎 「そういう、まつがんさんみたいなオチいらないですよ、僕。そういうの、本当にやるんですね」

八十岡 「まぁ、でも今回のグランプリは、プラチナも確定したし練習もほとんどしていない状態だったから満足はしてるよ、結果には」

川崎 「ちなみに、八十岡さん的に、原根さんとの対戦はどうでした?」

八十岡 「とりあえず何時に終わるかが途中で気になってた。Game 2は多分勝ててるゲームなんだけど、結果負けても良かったなと思える時間だったね。原根さんは強いと思うし、これからもっと強くなると思う。最初にリミテッドで戦闘、次にレガシーでスペルの応酬って形でマジックの基本から覚えたのも良かったんじゃないかな。ただ、スタンダードはそういうゲームじゃないから、しばらくスタンは苦労しそうだね」

川崎 「個人的にも今後は活躍してほしいですね」
 

■グランプリ・クラクフのメタゲーム


川崎 「というわけで、やっとこさグランプリ・クラクフのメタゲームなんですけど……」

八十岡 「ここまで長すぎない?すでに原根さんの記事と同じくらいの長さがある」

川崎 「よく会話の最中に記事の長さとかわかりますね。なんであれ、スタンダード・ウォッチングなんですから、スタンダードの話もするんですよ!」

八十岡 「最初にレガシーの話をふってきたのそっちじゃん」

川崎 「はいはい。で、クラクフの結果なんですけど、すごい極端ですよね。エスパードラゴンが5人と青黒コントロールが1人と青系が6人。そして、ジェスカイトークン緑白ビートですね。今だと、オジュタイバントに分類されるデッキですかね」

八十岡 「色々動きが違うところはあるけど、実質的にはすべてのデッキが青が入ってるからね。この極端なメタゲームがRPTQに与えていた影響は大きいと思う」


川崎 「このデッキって、元々はプロツアー・タルキール龍紀伝でCraig Wescoeさんが使っていたデッキですよね」

八十岡 「うん。結局、ウェスコーが使っていたリストはかなり完成度が高かったから、ほとんど変えられること無く、次の週のグランプリで優勝したね。エスパードラゴンに関してだって、元々プロツアーの段階で完成度高かったのを、さらにPV(Paulo Vitor damo da rosa)みたいにプロツアーでも使ってたすごい強いプレイヤーがさらに修練度あげて持ってきたんだから、勝つのは当たり前という気はする」

川崎 「じゃあ、グランプリ・クラクフの結果は、プロツアー・タルキール龍紀伝の延長線上にある大会だったって感じですか」

八十岡 「そういう風に言えるとは思うけど、それが偏った結果になったのは、その後のRPTQシーズンに大きな影響を与えてるよね」

川崎 「そりゃ、まぁ、そうですよね。これだけ上位に青黒系が、しかもエスパードラゴンばっかり上位に来てしまったら、かなり意識することになりますよね」

八十岡エスパードラゴンとどう戦うか、ってのもあるけどさ、さっき言ったようにこの時点で一番完成度が高いデッキだというのが客観的には証明されたわけで、デッキリストの完成度の足切りがここで発生しちゃったというのはあるよね。そういう意味でファンデッキっぽいのも多かったプロツアー・タルキール龍紀伝とは大きく変わってしまったと思う」

川崎 「延長線上、というよりもふるいにかけられた大会だった、って感じですか。普段の、特にスタンダードのメタゲームはそういう風にデッキリストの練度があがって、環境に存在できるデッキリストの完成度の足切りは発生しますけど、たったの一週間でそれが起こったのはずいぶんメタゲームの進みが早いですよね。しかし、八十岡さんもそういうの気にするんですね、他のデッキリストの完成度とか」

八十岡 「前も言ったけど、どのデッキを使うかはともかくどのデッキと戦わなきゃいけないかはオレにとっては大事だからね」

Deathmist Raptor / 死霧の猛禽 Den Protector / 棲み家の防御者

川崎 「なるほど。じゃあ、少しデッキリストの方も見て行きましょうか。といっても、この緑白タッチ青のSamuel Pardeeさんのデッキって、ほとんどWescoeさんのプロツアーでのデッキと同じなんで、そこはさっき出てきた完成度って話だとは思うんですけど。前回八十岡さんが言ってたように、この組み合わせは強かったですね」

八十岡 「まぁ、でも、みんな気がつくくらいには強い組み合わせだったとは思うよ、さすがに」

川崎 「で、やっぱりこのコンボの強さの魅力って青黒系への強さですよね」

八十岡 「いや、それおかしいよ。青黒系に対してちょい有利、ってくらいにしてくれてるコンボなのは否定しないけど、青黒系にすごい強いわけじゃない。少なくともデッキ全体をみればそう

川崎 「え?そうなんですか?でも津村さん石村さんも、みんな青黒に強いって言ってますよ!」

八十岡 「そりゃ、消耗戦に強いコンボだから、リソース勝負にある程度食らいつけるっていう意味では青黒系に戦えるけど、それは同じ土俵にかろうじて登れるだけってところはある。そもそもはリソース勝負に持ち込まれると厳しい赤単系に強かったってのが採用された理由でしょ。その上で、青黒系とのリソース勝負とクロック勝負の兼ね合いみたいなゲームでも戦えるからメタゲームに食い込んでるわけで」

川崎最速と最遅の両方と戦えるようになるまさにミッドレンジなコンボだったから流行っているってことですか」

八十岡 「そういう部分は大きいと思うけどな。コンボ自体で見たらわからないけど、少なくともこのデッキで言えばマナクリーチャー8体っていう構造だけでも青黒には本当は厳しいから、戦えるようにしてくれてるだけだよね。誤解しないで欲しいのは、リソース勝負ができるカードだから、青系全般に強いわけじゃないって言ってるわけじゃなくて、あくまでも弱点を保管してるだけだし、だから青黒に強いわけじゃないってこと。例えば、青白とかにはすごい強いと思うよ」

川崎 「青白っぽい青黒には?」

八十岡 「青白っぽい青黒?なにそれ」

川崎前回あなたが言ってたんですよね?」
 
Perilous Vault / 危険な櫃 Ugin, the Spirit Dragon / 精霊龍、ウギン

八十岡 「そんなニュアンスの言い方だったっけ?まぁ、弱くはないよ。でも、 《危険な櫃》 が増えてきてるし、そもそも 《精霊龍、ウギン》 には強くないから、相手の構成によるところは大きいかな。このデッキの 《死霧の猛禽》 に関しては、エスパードラゴン含む青黒系に強いカードっていうよりは、これを引けないと勝負になれないカードってくらいの立ち位置で考えたほうがいいはず」
 
Stratus Dancer / 層雲の踊り手

川崎 「プロツアーのWescoeさんのリストと違うなと思わされるところは、サイドボードの 《層雲の踊り手》 ですかね。プロツアーで八十岡さんが使っててブレイクしたカードですね」

八十岡 「オレが使ってたから、ってことは無いだろうけど、このカードも青黒系に強いから、メタゲーム的な部分は大きいと思う。こいつが除去1枚はじけば、青黒には大体勝てるんじゃないかな」

川崎 「実際、青黒系メインのメタゲームになってきた、メインボードに採用されているデッキリストも増えてきましたしね。そんくらい青黒系に強いってなると、3枚目を入れたくなっちゃいそうなもんですけど……」

八十岡 「いや、1枚表になれば大体勝てるから2枚ひく必要ないし、そうなっちゃうと、今度はなんだかんだでこいつはサイズが小さいから元々有利だった赤系に弱くなっちゃうところはあるよ」

川崎こいつを2枚引きたいから増やそう、って思ったら、それはデッキリストじゃなくて、プレイを見なおしてみた方がいいって話ですか

八十岡 「今後出てくるカード自体でどうなるかはわからないけど、今のところはそう考えた方がいいかもね」
 
Dragonlord Ojutai / 龍王オジュタイ

川崎 「あとは、まぁ、今更だと当たり前な話ではありますけど、このデッキってそもそも 《龍王オジュタイ》 をタッチする必要ってあるんですか?」

八十岡 「やっぱ、全体的にクリーチャーが小さいから決定力があるクリーチャーを入れたほうがいいんじゃないかなとは思うよ。ミッドレンジ的な振る舞いを期待したいなら5マナ域の決定打は必要なんじゃない?あと、こいつこそ青黒系に強くなるために入れてるところはある」

川崎 「ん?相手の 《龍王オジュタイ》 と相打ちしたりとか、リソース稼いだりとか?」

八十岡 「それももちろんあるだろうけど、そもそもこいつ、ドラゴンじゃん」
 
Crux of Fate / 命運の核心

川崎 「あぁ、 《命運の核心》 での除去対象を散らせるのか」

八十岡 「そうそう。あと、おそらく最大の目的は、色だね、色」

川崎 「前回も言ってましたけど、白緑が弱い?」

八十岡 「そうだね。白緑っていう色の組み合わせの何が弱いかっていうととにかくサイドボードが弱いんだ。両方共丸いカードが多くて、さらにスペルがちょっと弱いから、用途が狭いけど相性を劇的に改善できるみたいなカードをサイドボードに取りにくい。逆に黒と青はサイドボードがとにかく強い。なんで、サイドボードが強い青をタッチするなら、ついでに青白で強いこいつを入れよう、ってことでもあると思う」
 
Dromoka's Command / ドロモカの命令

川崎 「逆にそのスペルが弱いと言われる白緑の中では圧倒的に強い 《ドロモカの命令》 を使えるってのは、白緑系デッキを組むメリットではありますよね。一応確認なんですけど、このカード強いですよね?」

八十岡 「うん、さすがにカードは強い。でも、青黒に弱いんだよね。青黒相手に効果的な事をほとんどしないから、青黒が増えると減るカードだと思うよ」
 
Dragonlord Ojutai / 龍王オジュタイ Deathmist Raptor / 死霧の猛禽

川崎 「とはいえ、今をときめく二大クリーチャー、 《龍王オジュタイ》 《死霧の猛禽》 を両方使えるってのはオジュタイバントの魅力ですよね」

八十岡 「そうだね。この両方はみんな使ってるよね。スタンダードで使われてるクリーチャーのツートップじゃないかとは思う。しばらくのメタゲームはこの2体をどう意識するか、ではあると思うおy」

川崎 「八十岡さん、 《龍王オジュタイ》 はもちろん 《死霧の猛禽》 も少し否定的な評価が目立ちますけど、せっかくだから、この2体について少し語りますか」

八十岡 「大丈夫?エスパードラゴンの話とかも多分するんでしょ?終わるの?」

川崎 「多分終わらないっすね。原稿遅れて怒られるやつだ、これ」

八十岡 「じゃあ、やめようよ」

川崎 「いや、やりますけどね。知りたいんで。じゃあ、 《龍王オジュタイ》 から行きますか。八十岡さんの龍王ランキングでは3位の 《龍王オジュタイ》 でしたけど、ここまで流行ってれば、さすがに強いってのは認めざるをえないですよね」

八十岡 「いや、強いカードなのは間違いないよ。さすがに強い」

川崎 「えー。前回と言ってることが違う」

八十岡 「結局、色が弱いから総合的にはランキングが落ちるんだよ。 《龍王オジュタイ》 だけでマジックやるわけじゃないんだから」

川崎 「いや、そうですけど」

八十岡 「そりゃ、 《龍王オジュタイ》 が青黒だったら青黒一強時代だっただろうなと思うし、無理やりタッチしてでも使ってるんだから、カードは強い。でも、逆に言えば無理やりタッチしないと居場所がないんだから、カード全体の評価は普通くらいにはなるよ」

川崎 「まぁ、実際、エスパードラゴンって、白いカードほんとに 《龍王オジュタイ》 しかいないですもんね」

八十岡 「そういうこと。こんだけ強いカードなのに、純粋な青白が勝ってないって時点でこのカードはそのレベルってことだよ。まぁ、逆に青白っていう色が弱い時期に青白にこんだけのスペックのクリーチャーを作るっていうのはデザイン的にはいいな、って思ったりもするけど」

川崎 「青白好きで知られる『人類の英知』板東潤一郎さんですら青白使ってないくらいですからね。青緑好きで知られる『シミックの王子』清水直樹さんは、きっと 《棲み家の防御者》 《死霧の猛禽》 使ってそうですけどね。平成のセルとかいいながら」

八十岡 「セルは元々平成だけどね。そういう、最近始めた人がわからないプレイヤーの名前をだすのはやめようよ。話を 《龍王オジュタイ》 に戻すと、 《龍王オジュタイ》 の一番の強さは、自分が微有利以上の場だったらそれこそ5ターン目にとりあえず出すだけで、ほとんど勝てるってことだね」

川崎 「前回の盤面をまくる力が弱いって話の裏返しで、盤面を固定する力が強いってことですね」

八十岡 「そうだね。もっと言えば、簡単に勝てるってこと。余計なこと考えないで、有利だなと思ったらとりあえず出せば大体勝てる。それで勝てなかったなら、有利だと思った判断が間違えてたんだと思うよ」

川崎 「実際、呪禁を持ってることもあって、出したら枚数でもテンポでもほとんど損しないですもんね。ブロッカーとしてもそこそこ頑張れますし」
 
Siege Rhino / 包囲サイ Baneslayer Angel / 悪斬の天使

八十岡 「まぁ、でもブロッカーとしてはそこそこなのがまくる力が少ない原因なんだけどね。盤面で押されてる所で出てきても巻き返せないことが多い。それこそアブザンアグロのクリーチャーはほとんど乗り越えて来ちゃうからね。 《龍王オジュタイ》 は現環境最強のフタではあるけど、性能は 《悪斬の天使》 ほどじゃない。 《悪斬の天使》 なら、 《包囲サイ》 殴ってきてもとりあえずブロックしてなんか使わせたりとただの時間稼ぎ以上のことは最低限やって、相手が何もなければそのまままくっちゃうからね」

川崎 《悪斬の天使》 と比べられるレベルってだけで相当強いと僕なんかは思いますけどね。盤面で五分以上の場なら 《悪斬の天使》 くらいはがんばるってことですかね」

八十岡 「五分より下でもそこそこ行けるくらいではある。多分、4:6を6:4にするくらいはできるよ」

川崎 「十分強いと思うけどなぁ。逆に言えば、 《龍王オジュタイ》 対策をするなら、とにかく盤面で押すべきってことですね」

八十岡 「まぁ、盤面で押すことを考えすぎると今度は 《命運の核心》 で流されて次のターンに安心して 《龍王オジュタイ》 ってなるけどね。これが4:6からの6:4のパターンのひとつかな」

川崎 「でも、その 《命運の核心》 のターンに盤面押してないと 《龍王オジュタイ》 そのまま出されて負けるんですよね?」

八十岡 「そこの5マナの2択があるのがエスパードラゴンの強いところだよね。そうならないためには、単体で 《龍王オジュタイ》 と戦えるカードを使うのが一番いいとは思う」

川崎 「で、一応接死持ってるおかげで 《龍王オジュタイ》 につっこんでいけるし、相打ちしても 《龍王オジュタイ》 相手にアドバンテージ取れるからってので 《死霧の猛禽》 青白に強いわけですね」

八十岡 「まぁ、いっても 《死霧の猛禽》 はカードは強いよ。さすがに弱いことは書いてない」

川崎 「そうですね。すべてのテキストが強いですね」

八十岡 「強いて言うと、3/3っていうサイズが少し弱いかな」

川崎 「3マナ3/3で弱いっていうのもずいぶんな話ですけどね」

八十岡 「今だと、少しテンポ取られやすいし、テンポ取ってくるデッキ相手だと、戻ってくる動きになれないことはあるからね。赤系に強いとはいったけど、そういう展開に持ち込まれると厳しい」

川崎 「その辺を弱点として攻められると弱い感じですか」
 
Anafenza, the Foremost / 先頭に立つもの、アナフェンザ Fleecemane Lion / 羊毛鬣のライオン

八十岡 「そうだね。もっと言えば、早いアブザン、アブザンアグロには厳しいことも多いんじゃないかな。接死持ってるからって 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 と睨み合っても、その時点で除去うたれたらただのバニラだし、すれ違って殴り合ったらサイズ負けしてる。 《羊毛鬣のライオン》 だって序盤に相打ちしたらテンポ損だし、後半は怪物化されて苦しいはず」

川崎 「そのへんが 《死霧の猛禽》 対策のポイントですね」
 
Den Protector / 棲み家の防御者

八十岡 「あと、 《死霧の猛禽》 は単体でも強いカードだけど、相方にも恵まれてるね。 《棲み家の防御者》 もかなり強いカードだと思う。大抵の場合、損しないからね」

川崎 「そうですね。たしかに 《死霧の猛禽》 は強いけど、戻ってくる条件が厳しいだけに強い変異を持ったカードは必要になりますからね。そういう意味で同時期にこれだけ強い変異がいるのはいいですね」

八十岡 「オジュタイバントに入れた場合は 《層雲の踊り手》 もそうなんだけど、2マナで表になるのもいいよね。前回言ったように、青黒は4ターン目に2マナの2アクションを取って盤面をまくり始めるんだけど、3ターン目に変異を出して4ターン目に2マナのアクションを取って、さらに2マナのスペルを構えつつ2マナで表にする選択肢を残せるっていう動きは強いよね」

川崎 「あと、実は 《棲み家の防御者》 の上の能力、おまけっぽく書いてありますけど、この能力すごい強いですよね。色々なデッキが1/1トークンを戦略に組み込んでるからこのブロックされない能力が有効な場面は多いですよね」
 
Elspeth, Sun's Champion / 太陽の勇者、エルズペス Courser of Kruphix / クルフィックスの狩猟者

八十岡 《太陽の勇者、エルズペス》 相手にはすごい強いよね。あと、 《クルフィックスの狩猟者》 でも止まらないし、さっきアブザンアグロには弱いって言ったけど、逆にアブザンコントロールには強いんじゃないかな」

川崎 「そういう意味でも実にミッドレンジな動きをするカードですね」

■エスパードラゴンの同型対決

川崎 「さて、じゃあ、トップ8でも最大勢力だったエスパードラゴンの話をしようと思うんですけど……うーん、これ、全部のリストの枚数の差とか分析します?」

八十岡 「いや、いらないんじゃないかなぁ……除去とかの枚数の1枚違いとかを話してもなぁってのはある」

川崎齋藤さんがブログで書いてましたけど青黒は除去やカウンターの噛合ゲーが多くて、このへんの枚数が噛合の原因にはなるから、それはもう、自分が後悔しないように選べばいいんじゃない?っていう」

八十岡 「そうだね、もう、ほとんど好みだね」

川崎公式の青黒ドラゴン構築記事でも書いてましたけど、そのへんは、会場の空気とかで判断する部分も大きいと」

八十岡 「実際、そうだと思う」

川崎エスパードラゴンだけにエスパーだと

八十岡 「え?」

川崎 「ごめんなさい」

八十岡 「まぁ、なんで、マナ域がどう散らばってるかと具体的にどういう機能なのかで枚数を見るのはまったく無意味とは言わないけど、個別のカードの枚数を検証するのは今のエスパードラゴンだとあんまり意味がないかなとは思う」
 
Thoughtseize / 思考囲い Duress / 強迫

川崎 「マナ域と機能でいうと……例えば1マナの手札破壊のメインとサイドの合計枚数とかどうですか?なんとなく最近合わせて6枚くらい取ってるのが多い気はしますけど、この頃はもう少し少ないですよね」

八十岡 「6枚はかなり頑張ってる枚数だと思うけどね。なんだかんだで4枚~5枚なんじゃないかな。4枚だと少し少なくて、5枚だと少し多い、くらいの微妙な感じじゃないかなぁ、この頃って」

川崎 「この手札破壊の枚数の違いって、単純に環境の青黒系の数の予想ってことなんですかね」

八十岡 「4枚か5枚だと、そうかなとも思うけど、6枚まで行くと明確に違うと思う。そうなると同型へのサイドプランの違いが影響してくるんじゃないかと思うけど」

川崎 「いや、でも、今もともとサイドも含めた枚数の話してますし、サイドプランの話ですよね?」

八十岡手札破壊だけで同型に勝てるわけじゃないじゃん。4枚とか5枚だと、スペルのやりとりで有利になる、くらいだけど、6枚だと、もっと明確に守るべきカードがあって、それを守るために撃つことになる」

川崎 「明確に守るべきカード?」

八十岡軽いクロックだよね。サイドに軽いクロックを用意してプレッシャーを与えるプランだと、手札破壊を何枚か撃つゲームになる」
 
Dragonlord's Prerogative / 龍王の大権 Pearl Lake Ancient / 真珠湖の古きもの

川崎 「1枚の手札破壊で変える安心のターン数で有効に使えるように枚数を設定する、って感じですか。逆に同型対策って、サイドボードに 《龍王の大権》 とか 《真珠湖の古きもの》 もありますけど、そうすると手札破壊は減るんですか?」

八十岡 「うーん、まぁ、その辺のカードをいれるのは悪くないけど、サイドボードに入れるのはオレとしてはあんまりないかな。 《真珠湖の古きもの》 メインなら手札破壊を相手の手札破壊対策に使うけど。そもそも、青黒系の同型対策って1本目がすごい長いから、サイド後に長いゲームをするカードをいれるのは、同型対策としてはオレはあんまり進めないけどな。1本目負けた時に勝てなくなるサイドボードってのはどうかと思う

川崎 「逆に、メインに 《真珠湖の古きもの》 入れる場合は、長いゲームをやるサイドボードでもいいんですか?」

八十岡 「少し好みみたいなところもあるとは思うけど。 《真珠湖の古きもの》 メインだと、相手に 《真珠湖の古きもの》 入って無い限りは絶対にメインで勝てるからね、同型。本当に5%あるかないかくらいで 《真珠湖の古きもの》 入りに 《真珠湖の古きもの》 無しが勝てる場合はあるけど、その5%のために95%の確率で終わらない3本をやらなきゃいけないなら、投了した方がいいと思う」

川崎 「ちなみに、同型を考えた時に、それこそエスパードラゴンに1枚 《真珠湖の古きもの》 を入れるのってありですか?」

八十岡 「うーん、まぁ、入ってるデッキはあるし、入れたい気持ちはわかるけど、同型以外にはあのカード、必ず弱いからね。ドラゴンの枚数はもう減らせないから、他のカード減らすことになって、結局弱くなるなら、メインはうまくやって、サイドで同型に勝てるプランとるんじゃないかなぁ」

川崎 「じゃあ、むしろ、メインで 《龍王の大権》 を入れてみて同型を見るってのはどうですか?」

八十岡 「いや 《龍王の大権》 はそもそも撃ったら同型に勝てるわけじゃないからね」

川崎 「そういうものですか?」

八十岡 「うん。そもそも打ちどころが難しいしね」

川崎 「とりあえず、6ターン目に 《龍王オジュタイ》 あたりを見せながら、やったー4枚!ってのは?」

八十岡 「それだとディスカードするから、引いてる意味ないよね」

川崎 「あぁ、そうですね、たしかに。撃てばいいってわけじゃないから、うまく消耗戦に持ち込んだ上で、いいタイミングでうたなきゃ、って話ですよね」

八十岡 「そうなんだけど、青黒系対決で消耗戦に持ち込めて、残ってるカードで決めたいなら、そのカードは 《龍王の大権》 じゃなくて 《龍王オジュタイ》 とかでいいわけだからね。だから、難しいとは思うよ。決して効果がないわけじゃないけど。あと、アブザンコントロールには強いしね」

川崎 「あ、そうなんですか?」

八十岡アブザンコントロールエスパードラゴンはほぼ確実に消耗戦になるから何時でも4枚引ければ強いからね」

川崎 「あぁ、そうですね。そのへんのゲームプランは重要ですねぇ。ちなみに、エスパードラゴン同型のプレイングで気をつけないといけないことってなんですか?」

八十岡急げ!

川崎 「まぁ、さっきからそれ言ってますよね。あとは?」

八十岡土地は止まるな

川崎 「まぁ、青系の同型はそうですよね」

八十岡 「今の青黒は特にそうなんだよね。同じ理由なんだけど、大抵先に動いてしまった方が不利にはなる。突然始まった手数勝負でいきなり負けてしまうなら、うかつなマナを使っちゃいけない。手札が溢れてディスカードするときにもったいないなって思ってなんか使っちゃったりするとそのまま負けちゃうことはあるよね

川崎 「手札捨ててると、枚数損してる気がするけど、そういう展開になってる時点でそのリソースはそんなに意味ないから、おとなしく捨てとけってことですか」

八十岡 「まぁ、大体そうだね。もちろん、逆に今の青黒系対決って、通ったってだけで負けるってカードがほとんどなくて大体対処できるっていう逆の面もあって難しいんだけどね。通ってダメなのはリヴァイアサン( 《真珠湖の古きもの》 )だけだね」

川崎 《真珠湖の古きもの》 はどうやったって通っちゃいますもんね」

八十岡 「そういうこと。だから、例えば捨てるのがもったいないと思って 《思考囲い》 撃つか、って思うならどういう勝ち方をするかのイメージをするべきだね」

川崎 「勝ち方のイメージ?」

八十岡 「そうだね。青黒系の同型対決は、リソース差をつけて戦うか、デッキアウトするかっていう2択の勝ち方をしなきゃいけなくて、 《龍王の大権》 を打つ場合なんてわかりやすいと思うけど、リソース差のゲームに持ち込める代わりにデッキアウトのゲーム展開になってしまったら圧倒的不利だからね。この両方のどちらかをイメージしないと厳しい」

川崎 「どうしてそうなるんですかね?」

八十岡 「結局、さっき言ったように同型で致命的なカードが無いから、捌き切られないようにリソース差をつけるか、捌き切って山札切れにするかしかないんだ。もちろん、青黒はかみあいのデッキだからなんとなく出したカードがたまたま対処されないで勝ててしまうことはあるけど、最初からそれを狙うことはないよね」

川崎 「だからこそ、そうじゃないプランをサイドにほしいと」

八十岡 「そうだね。あと、さっき言った急げってのも、ここさえ決まってればあとはあんまり考えることはないんだよね。だったら急いでゲームするべき」

川崎 「なるほど。最初のディスカードの時に考えたら、そのプランで動けと」
 
Dig Through Time / 時を越えた探索

八十岡 「あとは、 《時を越えた探索》 撃つとき、撃たれたときかな。 《時を越えた探索》 をどうするか、って時も同じようにゲームプランを決めていかないといけなくなるね」

川崎 《時を越えた探索》 はさすがにカウンターじゃないんですか?」

八十岡 「そこは勝ち方のイメージ次第だとは思うよ。自分が撃った場合を考えるとわかるけど、相手のエンドとかに 《時を越えた探索》 撃ってそれが通っちゃったら、自分のターンに動かないといけないじゃない」

川崎 「そうしないとディスカードですもんね」

八十岡 「そうそう。ってことは、リソース差のゲームで自分が捌かれる側に回るってことになるし、そっからは 《時を越えた探索》 の分山札すくないから、デッキアウトに持ち込むことは、相手が理解してたら難しい」

川崎 「じゃあ、逆に 《時を越えた探索》 は全部通すんですか?」

八十岡 「手札が捌ける内容じゃないなら、そうもできないじゃん。だから、相手のディスカードとかで除去が見えてきたら 《時を越えた探索》 撃つとかそういう感じで、自分が有利になる方のプランをできるだけ選択していくことになるよね」

川崎 「あぁ、なるほど。そう考えると難しいですね、やっぱ青黒同型って」

八十岡 「まぁ、考える事決まってるだけに結構楽な方だとは思うけどね、今の青黒同型は。 《時を越えた探索》 を効果的に使うなら、相手の 《時を越えた探索》 とカウンター合戦したあととか、自分の 《時を越えた探索》 をめぐるカウンター合戦があったあとに2枚目の 《時を越えた探索》 通すとかそういう明確なプランは必要だろうね」

川崎 「なんであれ、自分が有利になりそうな動きをすると。 《時を越えた探索》 を通すなら、自分が捌く側でいけそうな手札のときに、ってことですね」

八十岡 「で、 《真珠湖の古きもの》 でてきてライブラリーアウトもできないと」

川崎 「えー、そんなんありですか」

八十岡 「そういうことがあるから、 《真珠湖の古きもの》 いれたい気持ちはわかるって言ったんだよね。これに関してだけは 《真珠湖の古きもの》 入れてる側だけに選択肢があるからね。適当にやってればいいから。ライブラリーアウト側を選択して 《真珠湖の古きもの》 でてきたら投了するしかない」

川崎 「だからこそ、サイドボードに殴るプランが必要だと」

八十岡 「そういうこと。結局みんな 《真珠湖の古きもの》 入れたら同じことだから、 《真珠湖の古きもの》 だけで出し抜こうってのも難しいとは思うよ」

川崎 「なるほど」

八十岡 「まぁ、自分が 《真珠湖の古きもの》 入れてないなら、とにかく投了した方がいいよ。その状況に勝てるサイドプラン用意して2本目3本目勝ちにいったほうがいい」

川崎 「意外と、エスパードラゴン同型って語られないから、勉強になりますね。事実、環境はまだまだエスパードラゴンメインで進みそうですもんね」

八十岡 「デッキパワーで見たら、一強環境だからね。これはさすがに一強っていっていいんじゃないかな。それこそ、多少事故りやすくて、さっき話題に出た5ターン目の2択を5マナ立ってなくて出来ないことが2割位あるみたいな弱点はあるけど、それを補って余りある強さはあると思うよ」


川崎 「あとは、あれですかね。いつもの法則発動ではありますけど八十岡さんが前回勝てないって言っていたジェスカイトークンが勝ってますね」

八十岡 「青黒には強いから、今はある程度勝てるんじゃないかな」

川崎 「そうなんですか?」
 
Jeskai Ascendancy / ジェスカイの隆盛

八十岡 《ジェスカイの隆盛》 ってカードが、青黒がエンチャントさわれないのも含めて強いからね。で、逆にこのカードは 《ドロモカの命令》 にむちゃくちゃ弱いんだけど、さっき言ったように、 《ドロモカの命令》 は青黒に弱いカードだから、青黒が意識されればされるほど 《ドロモカの命令》 が減って、 《ジェスカイの隆盛》 が強くなるんだよね」

川崎 「あぁ、なるほど」

八十岡 「あとは、前回ジェスカイトークンが厳しいっていったのは、除去を火力に頼ったコントロールだからかみあいゲーになってしまって厳しいって話だったと思うけど、それは青黒相手だとお互い様だからね」
 
Bile Blight / 胆汁病

川崎 「あぁ、なるほど。 《胆汁病》 くらいしか有効な除去ないですしね」

八十岡 「有効っていうか、損しないだけだからね。結構なカードが損させられるから。ジェスカイトークン側は火力を 《ジェスカイの隆盛》 で捨ててもいいし、逆にその裏をかいて、一気にライフを詰めてもいいし、噛みあう噛み合わないでいえば、主導権を握れるからね」

川崎 「意識されて無ければ勝てる、ってことですね」

八十岡 「まぁね……とはいえ、今、クリーチャーがサイズで押してきてるから、どうしても除去を火力に頼ったコントロールは厳しいとは思うけどね」

川崎 「なるほど。そんな感じで、グランプリ・クラクフ終了後は、完全にエスパードラゴン一強だったということですね」

八十岡 「デッキパワーにしても、会場にいる人数にしてもそうなったって言っていいんじゃないかな。で、その影響をうけたRPTQが……」

川崎 「あ、待ってください」

八十岡 「なに?まさか、長すぎるからとか一旦終わりとか言わないよね?」

川崎 「そのまさかです」

八十岡 「え、オレ、さっき忠告したよね?グランプリ京都とか、 《龍王オジュタイ》 の話とかしてる場合じゃなかったよね?」

川崎 「ほんとですよ。まったく。というわけで、一旦ここで終わりということにしますからね!」

八十岡 「逆ギレ気味だけど、誰のせい?」

というわけで、RPTQバンクーバー結果編と銘打ちつつ、なんと、RPTQに辿り着く前に、紙幅がつきてしまいました。

RPTQのメタゲームに関して、八十岡は真に驚くべき洞察をしたが、この余白はそれを書くには狭すぎる、って感じですかね。

後編も近日中には更新予定です。

みなさん、後編で、すぐにお会いしましょう!

八十岡 「本当にすぐに更新してよ」

※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。

『マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト』

http://mtg-jp.com/

『MAGIC: THE GATHERING』

http://magic.wizards.com/en


 
連載コラム

ライター
ライターコラム

Page Top