そんな津村の前に現れたのは、爽やかな好青年だ。
松田 一星。
関東を中心とするサークル「ミギノテ☆ソリューション」の関西支部に所属するという彼は、MTGをはじめてわずか一年。
現在はプロツアーを目指して友人たちと共にPPTQを回っているという。
今回のデッキも借りて何度か一人回しをしただけなのだが、確かなプレイングでここまで勝ち上がってきた。
松田「強い人といっぱいやれて楽しいです」
笑顔で語る松田に、津村も思わず顔を綻ばせる。
しかし、ほどなく。
シャッフルが終わり、互いのハンドの枚数を確認すると、二人の空気は張り詰めたものへと変わった。
さあ、真剣勝負のはじまりだ。
Game1
松田の初手は、 《墨蛾の生息地》 《ペンデルヘイブン》 《吹きさらしの荒野》 《巨森の蔦》 《よじれた映像》 《変異原性の成長》 《ギタクシア派の調査》 。
松田はしばし悩んだものの、展開が遅すぎると判断してマリガンする。
新たな6枚は、 《ぎらつかせのエルフ》 《貴族の教主》 《巨森の蔦》 《繁殖池》 《古きクローサの力》 《ギタクシア派の調査》 という申し分のないもの。
津村もまた、マリガンで除去のあるハンドを手に入れると、ゲームが始まった。
スイスラウンド1位の津村は、先手で 《乱脈な気孔》 をセット。
対する松田はもちろん 《ギタクシア派の調査》 。
公開された津村のハンドは、
《残忍な剥ぎ取り》
《流刑への道》
《森》
《平地》
《黄昏のぬかるみ》
松田にとっての脅威は 《流刑への道》 だけであり、それも 《巨森の蔦》 で弾くことができる。
安心して 《貴族の教主》 を召喚する。
続く2ターン目。
津村は 《黄昏のぬかるみ》 から 《残忍な剥ぎ取り》 。
2枚目の 《変異原性の成長》 を引いた松田は 《ぎらつかせのエルフ》 を呼び出し、キルターンに備える。
3ターン目。
津村は 《残忍な剥ぎ取り》 で殴り、誘発能力で山札の上に 《タルモゴイフ》 を積む。
セットランドして、終了。

ここで、ターンの返ってきた松田が仕掛ける。
津村の立っているランドは、前述のとおり、 《平地》 《森》 《黄昏のぬかるみ》 。
《流刑への道》 は見ているが、ほかの除去は見ていない。
何よりも、白マナが一つしかないため、 《流刑への道》 2枚は撃てない。
意を決して松田は 《古きクローサの力》 で 《ぎらつかせのエルフ》 を+4/+4。
そのままレッドゾーンへ送り込むと、賛美が誘発して6/6に。
さらに、手札から2枚の 《変異原性の成長》 を唱えると、10/10の一撃必殺エルフが生まれる。
もちろん津村は 《流刑への道》 。松田は 《巨森の蔦》 。
これで勝負あったか…? と思いきや、津村は土地から2マナをひねり出すと 《突然の衰微》 を手札からめくる。
松田「持ってたならしょうがないですよね…。」
もはや全力を振り絞り、燃え尽きた松田はそのままカードを片付けた。
Game2
今度は先手をとった松田。
《ギタクシア派の調査》 で確認した津村のハンドは、厳しいものだった。
《流刑への道》
《流刑への道》
《残忍な剥ぎ取り》
《思考囲い》
《黄昏のぬかるみ》
《草むした墓》
《新緑の地下墓地》
松田に出来ることは見ることだけ。
そのまま手札から 《ぎらつかせのエルフ》 を呼び出してターンを返す。
返しの津村は当然、 《思考囲い》 。
《樹木茂る山麓》
《新緑の地下墓地》
《変異原性の成長》
《使徒の祝福》
《貴族の教主》
という松田のハンドから、 《貴族の教主》 を奪い去る。
しかし、松田の引きが強い。
トップから 《貴族の教主》 を引き込むとそのままプレイ。
《ぎらつかせのエルフ》 がビートして、毒カウンターを与えていく。
ところが、津村のトップも強い。
2枚目の 《思考囲い》 で松田の 《使徒の祝福》 を抜くとターンエンド。
松田は 《ぎらつかせのエルフ》 でのビートを続け、毒カウンターを4に。
さらに 《墨蛾の生息地》 を追加。
津村はクロックとしてもブロッカーとしても機能する優秀な2マナ域である 《残忍な剥ぎ取り》 を呼び出す。
相変わらず、白マナは立てたままだ。
4ターン目。
松田は 《貴族の教主》 2枚目を戦場に。
《ぎらつかせのエルフ》 を3/3に成長させて攻撃し、津村に 《流刑への道》 を使わせる。
さらに、フェッチランドから 《ドライアドの東屋》 を呼び出し、わずかにクロックを追加。
津村はさらに自らのターン 《集団的蛮行》 で-2/-2とディスカード。
《貴族の教主》 は 《変異原性の成長》 で守られるものの、松田の手札をカラにすることに成功する。
その後、 《残忍な剥ぎ取り》 で攻撃し、その誘発能力で 《未練ある魂》 を墓地に送ると、フラッシュバックしてトークンを並べ始める。
5ターン目。
松田は津村のライフを確認する。
フェッチや 《思考囲い》 を繰り返した結果、津村のライフは10(毒カウンター4)。
感染死以外の選択肢を見出し 《ドライアドの東屋》 でアタック。賛美もあるため、津村のライフは7となった。
津村もまた最低限のブロッカーを残し、トークンと 《残忍な剥ぎ取り》 でアタック。
松田は 《残忍な剥ぎ取り》 を 《四肢切断》 して延命する。
さらなる脅威として 《タルモゴイフ》 を追加してエンド。

6ターン目。
松田は 《墨蛾の生息地》 で殴るが、スピリットトークンが強い。
津村は 《タルモゴイフ》 で攻撃を続けるとともに、 《ヴェールのリリアナ》 を追加。
-2能力で松田の盤面を攻める。
松田はここで考える。
実は、手札に 《強大化》 がある。そして、津村のライフは7。毒は4。
つまり、感染であろうと通常であろうと1/1クリーチャーが残っていれば、常に一撃必殺の目があるのだ。
ここまで考えたうえで、松田は 《貴族の教主》 を犠牲に。
7ターン目。
松田は 《墨蛾の生息地》 でリリアナを倒す。
津村は 《タルモゴイフ》 で殴り、もうライフのない松田は残っていた最後の 《貴族の教主》 でチャンプブロックする。
8ターン目。
ここで松田が引いたのは 《荒廃の工作員》 。一撃必殺の目が濃くなった。
津村は変わらず 《タルモゴイフ》 でビートを続け、 《ミシュラのガラクタ》 で松田のトップが 《荒廃の工作員》 であることを確認。
これ以上感染クリーチャーを増やしたくないと判断し、自らのターンにずっと握っていた 《流刑への道》 を 《荒廃の工作員》 へ。
松田は津村の意図を読み取り、あえて基本地形をサーチしない。
9ターン目。
松田は自らのトップを確認。「なるほど」と呟きながら 《荒廃の工作員》 をプレイ。
もはや自らのライフも少ないため、ワンチャンスを狙って 《墨蛾の生息地》 を起動してアタック。
そこに、津村は 《残忍な切断》 で応える。
津村は 《未練ある魂》 を引き込み、表裏でトークンを量産。
致死量のパワーに育った 《タルモゴイフ》 のアタックで 《荒廃の工作員》 に事実上強制ブロックをさせる。
10ターン目。
松田は 《強大化》 を握りしめつつ、 《ぎらつかせのエルフ》 を戦場へ。
返しに津村がトークンと共にアタックしてきた 《タルモゴイフ》 を 《強大化》 で討ち取るが、残りライフは1。
津村がさらなる 《未練ある魂》 でトークンを増やすと、「負けました」と呟いてカードを片付けた。
津村2-0松田
津村 健志、決勝進出!