玉田「これはID出来ない」
村瀬は誰にでもなく呟いた。
村瀬「ここでドラマかよ」
そう。7回戦目終了時点で、全勝不在。
普通のトーナメントであればID出来る1敗ラインでも、ガチで戦わなければならない状況なのだ。
玉田は言わずと知れたプロプレイヤー。昨年の日本代表でもある。
それどころか、先日行われたWMCQトップ8にもランクインしている超実力派。
今回はグリクシスデルバーを手に7回戦を戦ってきた。
対する村瀬はPPTQを中心に楽しむ競技プレイヤー。
目立った戦績こそないものの、グランプリカバレージにも登場する20年選手である。
今日のチョイスは独自チューンのロボッツ。
果たして、トップ8に駒を進めるのはどちらか?
Game1
ダイスロールに勝利したのは玉田。7枚のハンドをキープ。後手を掴まされた村瀬は、熟考の上でマリガンし、ハンドを6枚に減らす。
玉田は 《秘密を掘り下げる者》 からの 《若き紅蓮術士》 と、最上の立ち上がり。
しかし、村瀬も負けていない。
《ダークスティールの城塞》 から 《バネ葉の太鼓》 。
《オパールのモックス》 《ちらつき蛾の生息地》 と展開しての 《信号の邪魔者》 。
さらに 《刻まれた勇者》 と、ロボッツらしい盤面を築き上げる。
先手3ターン目。
玉田のトップは 《ギタクシア派の調査》 であり、 《秘密を掘り下げる者》 が変身する。
そのままプレイすると、村瀬の手札が 《大霊堂のスカージ》 と 《空僻地》 という寂しいものであることが露呈する。
その後もドローが芳しくない村瀬に対し、玉田は 《稲妻》 と 《終止》 でクロックを丁寧に潰しつつ、トークンを展開。
ついには 《黄金牙、タシグル》 が墓地を喰らいながら登場すると、村瀬はカードを片付けた。
村瀬0-1玉田
Game2
互いに7枚のハンドをキープ。先行の村瀬が 《ちらつき蛾の生息地》 《大霊堂のスカージ》 と展開。
2ターン目に 《呪文滑り》 を設置しようとすると、玉田は 《呪文嵌め》 。
玉田は自らのターンに 《秘密を掘り下げる者》 を戦場へ。
残ったマナで 《血清の幻視》 。
ここで占術した2枚が 《若き紅蓮術士》 と 《黄金牙、タシグル》 だった。
玉田はしばし考えたのちに、 《黄金牙、タシグル》 をトップへ。
殴り合いのできるゲームプランを選んだ。
しかし、村瀬は先手の利を生かし、3ターン目に 《ダークスティールの城塞》 に 《アーティファクトの魂込め》 をまとわせて攻撃。
ライフを削られることを恐れた玉田は 《秘密を掘り下げる者》 でチャンプブロック。
とたんに守らざるを得なくなった玉田だが、 《黄金牙、タシグル》 と 《仕組まれた爆薬》 (X=2)を唱えて一安心。
これで次の自分のターンには、村瀬のクロックをすべて排除しつつ殴りにいけるはずだ。
ところが、村瀬の攻勢は止まらなかった。
《大霊堂のスカージ》 に2枚目となる 《アーティファクトの魂込め》 をつけてのバンザイアタック。
玉田はたまらず虎の子の 《黄金牙、タシグル》 をチャンプブロックに回すが、気づけばライフは9まで減っている。
続くターンにも村瀬はマナを構える玉田に対して全軍突撃を仕掛ける。
この凶悪な攻撃を玉田は 《仕組まれた爆薬》 と 《稲妻》 をもって防ぎ切る。
仕方なく、村瀬は手札のクリーチャーを全展開するが、それは 《信号の邪魔者》 と 《羽ばたき飛行機械》 という寂しいものだ。
今度は玉田の反撃である。
エンドに 《イゼットの静電術師》 を投入。
さらに 《コラガンの命令》 で 《羽ばたき飛行機械》 を壊しつつ、 《黄金牙、タシグル》 を回収しようとする。
ところが、村瀬が持っていたのは 《爆片破》 。玉田のライフはわずか4に。
返ってきた玉田のターン。
玉田は少し考えてから、フルタップで 《黄金牙、タシグル》 を戦場へ。
祈るように自らの指先でエンドを宣言する。
すると…。

村瀬「ライフ4ですよね。」
確認しつつ村瀬が手札から見せたのは、 《感電破》 だった。
村瀬1-1玉田
シャッフル音よりも大きな音で、玉田の呼吸の音がする。
村瀬もまた、頻りに自らの汗を気にしている。
トップ8まで、あと一つ。
互いの緊張が、頂点に達している。
Game3
互いに7枚のハンドをキープし、先手の玉田は 《汚染された三角州》 を立てたままエンドする。対する村瀬は 《ダークスティールの城塞》 《バネ葉の太鼓》 《オパールのモックス》 と展開。
あえて、手札の生物を展開しない。
エンドにフェッチを切り、 《蒸気孔》 を得た玉田は、 《闇滑りの岸》 から 《ギタクシア派の調査》 。
村瀬のハンドが2枚の 《電結の荒廃者》 《爆片破》 《感電破》 《ちらつき蛾の生息地》 という、殺意に満ちたものであることを看破する。
後手2ターン目。
村瀬は自らの手札が暴かれている以上、動かざるを得ない。
《蒸気孔》 が立っている玉田に対し 《ちらつき蛾の生息地》 をセットして 《電結の荒廃者》 1枚目。
これはもちろん 《呪文嵌め》 されてしまう。
イニシアチブを握った玉田は先手3ターン目、最速の 《黄金牙、タシグル》 。
このままクロックパーミッションの体勢に持ち込もうとする。
しかし、村瀬は 《ダークスティールの城塞》 に 《アーティファクトの魂込め》 。
突然の5点クロックで玉田のライフを削る。
4ターン目。
仕方なく玉田は 《黄金牙、タシグル》 で殴り合いを選ぶ。
フェッチの関係もあり、この時ライフは玉田13-16村瀬。
村瀬は2枚目の 《電結の荒廃者》 をプレイするが、これもまた 《瞬唱の魔道士》 からの 《呪文嵌め》 。
村瀬は 《瞬唱の魔道士》 を 《感電破》 で焼きつつ、 《アーティファクトの魂込め》 で攻撃。
これでライフは玉田8-16村瀬。

5ターン目。
玉田はフェッチから 《島》 をサーチ。ライフを7に減らす。
さらに 《仕組まれた爆薬》 X=2をプレイ。村瀬の盤面からクロックを洗い流す。
ここで村瀬が投入したのは最強生物である 《刻まれた勇者》 。
サイズは2/2。そして、村瀬の手札には 《爆片破》 がある。
最後となる6ターン目。玉田には解決策はない。
ブラフとして 《黄金牙、タシグル》 で殴ってみるが、もちろんこれは 《刻まれた勇者》 にブロックされる。
そして、わずかに残った玉田の7点のライフを、 《刻まれた勇者》 と 《爆片破》 が速やかに奪い去った。
村瀬2-1玉田
村瀬 浩司、トップ8進出!