WMC2016名古屋予選イベントカバレージ

​インタビュー:プロのデッキのお値段は?

F6db92dc bc40 4c73 b8ae 728105cf496e
先週、市川・瀧本・松本というトッププロ3人が優勝したことを始め、多くのドラマを残して終了したグランプリ京都。

チーム戦ということもあり、本当に多くの語られるべき出来事があったが、イベント開催前から話題となっていたのは、行弘 賢(東京)が、自身のチームリミテッドの知識を書いた記事を10本限定15000円で販売したこと、そして、それが30分ほどで完売したことだった。

さらに、行弘のチームがスイスラウンドを初日全勝、その勢いのままで準優勝したことで、自身の記事の価値を身をもって証明したことでさらに話題となった。

果たして、プロプレイヤーによる高額有料記事は、今後新たなトレンドとなるのだろうか?

そこで、ここでは「構築グランプリ前に、プロのデッキ記事を有料公開するとしたらいくらで何本か」という質問を、このWMCQの会場に来ているプロプレイヤーに聞いてみた。

質問するプレイヤーは「筆者が有料記事を読みたい」という基準で、独断と偏見で選ばせていただいた。

なお、これらの内容は、自分が記事を書く場合ではなく、あくまでもプロの記事に客観的に値段をつけた場合の話であることを、新ためて念頭に置いていただきたい。
 

■市川 ユウキ(東京)



まずは、先日の世界選手権でも名調子で解説を務めた解説のプロであり、多くのオリジナルチューンのデッキで勝利を掴み、なおかつ文章力にも定評のあるTeam Cygames所属の市川プロに話を聞いてみた。

値段:5000円~10000円

本数:30本


市川「このくらいだと思う」

--「結構多いですね」

市川「言われてみると多い気がしてきた。じゃあ、これくらいで」


値段:10000円

本数:10本


市川「これだったら、全部売れれば、10万。手間賃とかを抜いても、手取りで7万から8万が入ってくるから、これくらいなら記事を書くコストに対してリターンがあると思う」

--「やはり、有料記事である以上は、売れたらいくらになるかは気になるところですか」

市川「有料記事、という形でやる以上は、そうですね。調整にかけた時間で得た知識や情報を売るわけですから、対価としてこれくらいはもらいたいと思う」

--「プロの財産である知識や情報を売る以上はたしかに対価は気になる所ですね。逆に、記事になるから、って事で調整へのモチベーションが上がったりするのを期待できたりしますか?」

市川「いや、記事があるからって調整のモチベーションが上がることも、逆に利益が確保できたからって下がるってこともないとは思う。グランプリレベルなら、どちらにしろ勝ちに行く調整をするはずなので。ただ、調整に時間を多くかける事自体は事実なので、そこで得たノウハウの使い道が大会で結果を出すこと以外にあるのは単純に嬉しいですよね」

--「これぐらいの本数であれば、調整結果を共有しても問題ないと」

市川「今のグランプリの人数なら、最初に言った30本くらいまでなら記事を書いた事で勝利期待値が下がるわけではないと思います。記事を書くことで自分の勝利期待値を下げてしまうのは、調整の目的がかわってしまってますよね」

--「内容はデッキリストと、サイドボーディングの方法ですか?」

市川「多分、想定しているメタゲームの相手にそれは書きますね。ただ、サイドのイン・アウトだけ書いても勝てるようになるとは思わないので、それぞれのデッキに対して、メインボードではどんなゲームを想定するか、そしてサイド後はどんなゲームを想定するかくらいのプランについては書くと思います」

--「完全にケーススタディとまでは行かなくとも、プレイの指針になるものくらいは記事としてつけるわけですね」

市川「結局、なんでこういうカードが入ってるかとか、どう使って欲しいかは書かないとデッキリスト通りにデッキを動かせない可能性があるので」

--「なるほど。そこまでのテキストがつくなら、アーキタイプ自体は既存のものだったとしても、プレイング指南としても価値がありそうですね」

市川「そうですね。リストの細かい内容ももちろん価値があるとは思いますけど、残りのテキストだけ読んだとしても十分価値があるものであるべきかなぁとは思います。実際に書くとしたらそこまでできるかは一旦置いといて、有料記事の趣旨から考えたらですけど」

--「実際、環境によっては、リストそのものにスペシャルさを決定的に与えられるかどうかはわからなかったりしますし、そういう環境こそ、デッキの理解度が深まるテキストに価値が出る可能性もありますもんね。先日のグランプリ京都での行弘プロの記事を踏まえて、こういった有料記事っていう動きがあることはどう感じますか?」

市川「こないだ瞬殺した結果も含めてなんですが、やっぱりマジックのユーザーは、ゲームのためにお金をつかうことに対する抵抗が少ない層がかなりいると感じたので、可能性のある分野だと思います」

--「今後、こういった記事が増えていく可能性は高いですか」

市川「あり得ると思います。有料記事は中身を見ないでお金を払うためにクオリティの担保が必要だとは思うんですが、マジックの場合、成績を残している『プロプレイヤー』の記事という形である程度クオリティが保証されているので、欲しい人は買うんじゃないかと思います」

--「逆に、有料記事を執筆するという事で、ライターとしてのクオリティがさらに上がる可能性もありますし、そうすると、有料記事以外の記事を読む人たちにもなんらかのフィードバックがある可能性もありますしね」

市川「そうですね。ただ、京都の記事の場合、チームリミテッドという多くの人がベースの技術を知らない未知のフォーマットであり、なおかつ、行弘 賢という実績も十分で、リミテッド記事にも定評があるプロの記事だったからうまくいった可能性もありますからね」

--「じゃあ、構築の記事の場合、うまくいかない可能性もあると?」

市川「そのへんは誰かがやってみないとわからないですけどね。何にしろ、この流れはうまく定着して欲しい流れだとは思ってます」

--「ご協力、ありがとうございました」

 

■行弘 賢(東京)



続いて、この記事が書かれるきっかけとなったチームシールド有料記事を配信し、公式サイトでもリミテッド記事を連載、なおかつ、 《硬化した鱗》 を発見したり、オアリムチャントを構築したりと、構築面でも数々のオリジナルデッキで名を馳せるDig.cards所属の行弘プロに話を聞いてみた。


値段:5000円

本数:20本

行弘「こんな感じだと思います。これなら、全部売れれば10万の売上になりますからね。時給換算するわけでは無いしれないですけど、練習につぎ込んだ時間的なリソースに対する対価って見方もできるわけで、それなら最低これくらいの金額にはなるはずかなと……」

--「前回の記事と比較すると、1本あたりの値段が安く設定されましたね」

行弘「うーん……ただ、構築のデッキリストの場合って、この間の京都のチームリミテッドのノウハウの記事とは少し事情が変わってくると思うんですよね」

--「それはデッキリストだけでなく、なんらかの記事がついてきたとしてもですか?」

行弘「そうですね……この間のチームリミテッドの記事の場合、そこで提供した知識は、僕が書いた内容を完全に踏襲するかどうかはともかくとして、ほぼ確実にリターンがある知識だったと思うんです。でも、正直、有料でデッキリストを買ったとしても、構築の場合それを絶対使うとは限らないじゃないですか」

--「購入した人にとって、必ず支払った金額に見合ったリターンがあるとは限らない性質のものである、ってことですか」

行弘「プレイスタイルとかも含めて、確実にリターンがあるものへの投資でないと、それこそ1万円を超える金額って出しにくいと思うんですよね。デッキリストを買うって行為は、購入者の選択肢のひとつになる、くらいのイメージで仮定して考えると、そこに支払える金額はこれくらいかなと思います」

--「なるほど。その辺も踏まえて、内容はどういうものになりそうでしょうか?」

行弘「デッキリストは絶対だとして、サイドのイン・アウトも絶対に書くと思います。後は……プレイングのプランについてもある程度は書くと思うんですが、少なくとも自分で1回使ってみて貰ったほうがプレイはいいと思います」

--「そうなると、公開タイミングは遅くてもグランプリ前週の金曜日とかになりますかね?」

行弘「そうなんですよね……そうなると公開タイミングが難しいんですよ。僕だったら、おそらく直前の週末まで調整するので、最終的にリストが確定したと言えるのはその後になりますもんね。そこから急いで記事を書いたとしても、上がるのは月曜日になっちゃいますよね」

--「それだと、今度は購入者が試すタイミングがなくなっちゃいますね」

行弘「実際、京都の記事もある程度練習を必要とする内容で、もっと早く知りたかったという声はあったので、公開タイミングは難しい問題ではあります。なので、前週の金曜日に確定した75枚ではなく、暫定の75枚と、サイドボードやメインボードの候補を理由を併せて書いて、その上で僕が週末に最終調整した後、月曜日にアップデート版をさらに購入者に送り届けるって形が理想なのかなとは思いますね」

--「それだと、最終的なリストにあわせるのはもちろん、他の候補を自分のプレイスタイルにあわせて調整するってことも可能ですね」

行弘「とりあえず、そうやって購入者に選択肢を増やせれば、というイメージです」

--「さて、今後、こういった有料記事が増えていくか質問しようと思ったのですが、当事者である行弘プロには、まず前回の手応えについて聞いたほうがいいかと思います」

行弘「手応えはかなりありましたね。思ったよりも早く売り切れたので、世の中に情報にきちんとお金を払う価値があると判断している人が多かったというのがわかっただけでも収穫でした。その上で、自分自身が勝つことで記事の価値を証明できたのは大きかったですね」

--「実際、準優勝ですもんね」

行弘「トップ4入賞も大きかったですが、それ以上に初日全勝できたのが大きかったかなと思ってます。正直、全勝がかかった初日の最終戦は、トップ4がかかったマッチよりも緊張しました」

--「この先も、こういった取り組みは継続していく予定ですか」

行弘「続けていきたいとは考えていますが、毎回は難しいと思います」

--「といいますと?」

行弘「やはり、有料記事にふさわしい内容の情報だという自信があるときでないと難しいですね。さっき、情報に価値を見出してお金を出してくれる人が居る、と言いましたが、逆に言えば、売る側は、購入者の期待する価値を裏切ってはいけないはずです。もちろん、有名プロの記事だからってだけで売れる!と思ってクオリティ関係なく売り続けるみたいな事を続けていたら、いつか崩壊してしまうんじゃないでしょうか」

--「なるほど、有料記事そのものの価値を守らなければならないというわけですね。そういう意味では、今回勝利したのはかなり大きかったですね」

行弘「ちょっと出来過ぎかもしれませんが、そうですね。先ほど、調整にかけた時間的リソースをペイできるといった話をしましたが、だからといって、それで満足して自身の成績がずっと悪いと、結局記事の価値も下がってしまいますからね。ただ、個人的にマジックのプロをやっていく中で、選択肢や新しいビジョンが見えてきたので、やってよかったと思います」

--「ご協力ありがとうございました」

 

■津村 建志(東京)



続いて、長らく公式サイトで『スタンダード・アナライズ』を連載する一方で、晴れる屋サイト内でも記事を発信し続けている、個人的には国内ナンバーワンMTGライターだと思っているHareruya pros所属の津村プロに話を聞いてみた。

津村「うーん……僕が書くとしたら、基本、無料で公開するんですけどね……」

--「他のプロが書く場合に限定しちゃっていいです」

津村「例えば瀬畑(市川)さんや、行弘くんが書いたら、ってことですか?それだとこれくらいじゃないですかね」


値段:50000円

本数:10本


--「かなり高額ですね」

津村「瀬畑さんや行弘くんの特別な記事が読める、って話なら、これくらいの価値はあるんじゃないでしょうか」

--「ちなみに、津村さんはこの金額で買いますか?」

津村「うーん……読みたいですけど、じゃあ、買ってこの記事に頼るかって言うと僕はそれはしないと思います。ちょっとインタビューの本筋から外れる話になってしまうんですけど、以前……たしか日本勢は、なぜ勝てなかったのかのインタビューでも答えたように、ずっと誰かの知識に頼っていたら、その相手がいなくなった時に思ったよりも自分の地力が育っていないことで苦労すると思うので、基本的には自分で成長する気持ちでいるべきかなと。もちろん、永久に瀬畑さんが有料記事を書き続けてくれるならいいんですけど……」

--「なるほど。人の知識に頼りすぎてもダメだと」

津村「ただ、僕がステップアップするときに、格さんにデッキを貰ったのを始めとして、多くのトッププロの思考に触れたのが大きかったのは間違いないので、ステップアップしたい人が、プロの思考に触れる為に購入するって考え方はあると思います」

--「長期的にプロとして活躍するなら、ってことですか」

津村「そうですね。でも、そういう人は一部ですよね。ただ、それだけじゃなくて、瀬畑さんや行弘くん、あとヤソさんやナベくんみたいな人気のあるプロの記事を読んで、同じデッキででれるってだけでも十分に価値がある商品なんだとは思います」

--「例えば、グランプリに出るけど、自分で調整し切る時間が無い人とかが、ネットのデッキをコピーするとかよりも、自分がファンの記事を読んで、そのプロと同じデッキで出るという形でグランプリを自分にとってよりよい体験にするための追加投資という見方ですね」

津村「はい。ちょっと50000円は言い過ぎかもしれませんが、少なくとも20000円とかならいい買い物なんじゃないでしょうか」

--「なるほど。ちなみに、先日の行弘プロの記事が15000円だった事を考えると、20000円でもより上の金額ですね」

津村「個人的に、チームリミテッドの知識もいいものだったとは思うんですけど使う機会や、実際にスキルとして身につけて使えるものかどうかは人を選ぶものだった気もします。それに比べると、デッキの記事なら、買ってすぐ使える可能性が高い知識なので、値段が高くてもいいんじゃないかと思います」

--「買ったデッキが自分にあわなかったりして無駄になったりするんじゃ、という意見もありますが」

津村「うーん……多分、記事を買う人は、もう、そのデッキを絶対使う、くらいの気持ちで買うと思います。プロに代わりに調整してもらったり、もしくは自分がファンのプロと同じデッキでグランプリに出たい!ってことだと思うので。なので、むしろ、練習するためにも少し早めに記事が欲しいかもしれませんね。例えば、ヤソさんのデッキを前日に渡されても絶対回せないですし」

--「ただ、調整にかける時間を考えると、タイミングは難しいですよね」

津村「そうなんですよね……うーん、たとえば、記事を買った人は、ライターがその後の変更点なんかを書く掲示板のURLとかももらえて、それを見れるみたいな方法もあるかもしれませんね。流石に質問とかにも答えるってなると手間が増えすぎますから一方的に読むだけですけど、それでも、プロの調整過程を見れるのは価値があるんじゃないでしょうか」

--「先ほど言っていたプロの思考にさらに深く触れる機会にもなりますからね。ということは内容もかなり濃いものになりますかね?」

津村「そうですね。デッキリストとサイドのイン・アウトは当然なんですが、サイドの理由については特に丁寧に書いてもらいたいです。それぞれのカードを選んだ理由とかを想定されるゲームプランとかと絡めて書いてもらいたいですね。リストが完成形でないタイミングなら、候補のカードを理由を併せて書いてもらったり、入りそうで入っていないカードがなぜ入っていないかとかも書いてあるといいですよね」

--「リストを自分で調整したい時の指針にもなりますしね」

津村「はい。プロの考え方をしる機会なのはいいと思います」

--「有料記事の場合、通常の広く読まれる記事と違って、津村さんの言うような『特定のプロの思考やデッキを知りたい』という需要があるので、対価を得る代わりにその需要に特化して記事を書くことが可能ってことですね」

津村「そうですね。新しい記事の形ができると面白いと思います」

--「こういった有料記事の動きは今後も進んでいくと思いますか?」

津村「新しい記事の形とかも期待できますし、今後もどんどん進んで行ったら面白いですよね。海外だと、StarCityGamesとかは年間30ドルみたいなかなり安い金額で質の高い記事が提供されてたりしますからね。日本でも、そういう動きが出てきたら、さらにおもしろい記事が増えるかもしれませんし、期待したいですよね」

--「有料化することでライターのモチベーションやターゲットも変わっていくって事ですもんね。ご協力ありがとうございました」

 

■渡辺 雄也(東京)


最後に、普段はほとんど記事を書かないものの、4年前に書かれたデルバーの調整録や、最近公開されたバント人間カンパニーのインタビューなどごく稀に異常なクオリティの記事を上げるTeam Cygames所属の渡辺プロに話を聞いてみた。おそらく、最も多くの人に記事を望まれているプロだろう。

渡辺「いや、多分、ヤソじゃないですかね。そもそも、僕は基本的には記事は書かないスタンスなので……そういう意味で、自分の記事に値段はつけないです」

--「他のプロが書いたものを読むなら、って話で限定していいです」

渡辺「それも難しいですね……そもそも誰が書くかでかなり値段も変わると思うんですが……それこそヤソや瀬畑クラスで人気があるプロが書くなら、これくらいの値段のものでやってほしいって話だと……こんな感じですかね」


値段:30000円~50000円

本数:5本


--「かなり高めの設定ですね」

渡辺「ネームバリューがあって人気のプロだったら、これくらいは行けるとは思いますが……むしろ、この値段に見合う価値の記事を書いてくれるなら、って前提ではあります」

--「ちなみに、渡辺プロはこの値段だったら、買いますか?」

渡辺「そうですね……この値段が付いてるなら、むしろ買うでしょうね。まぁ、例えば5000円とかでも、とりあえず読むか、って僕は買うと思うんですけど。でも、日本のプロなら本人に聞いてしまってる可能性は高いですけどね」

--「じゃあ、仮定ですけど、海外のプロ……そうですね、まぁ、ベタですけどLSVとかなら?」

渡辺「あ、絶対買いますね。LSVだったら50000円は出します」

--「LSVも購入者に渡辺雄也いたら苦笑するでしょうね。渡辺プロは、値段そのものよりも、値段に釣り合うだけの価値の記事であることへの意識が強いように見受けられますが、記事の内容はどういうものが良いと思いますか?」

渡辺「一言で言えば、全部!なんですけど……」

--「デッキリストがあるのはもちろんとして、サイドのイン・アウトとかプレイングの指針とかですか?」

渡辺「そうですね。サイドのイン・アウトであれば、サイド後の先手後手の違いや2本目・3本目でのサイドの違いまで書いてあるべきだと思います。更に言うなら、例えば、2本目でどのカードを見せてたら、どうサイドを変えるべきかとか、そういった、自分がそのデッキを使うときに使う知識は書ける限りは全て書いてあるべきです」

--「単純なサイドボーディングではなく、より実践的なテクニックまで網羅しているべきだと。プレイングのプランについてはどうですか?」

渡辺「環境にあって、自分がデッキを構築するときに想定したすべてのデッキへのプレイのプランは欲しいですね。あと、プレイでミスしやすい部分とかについては書いてあるべきでしょうね」

--「デッキ構築する時点で、それらのプランに従って構成パーツを決めているのだから、デッキの記事ではそれが書かれているべき、ということですね」

渡辺「そうですね。正直、人のデッキを75枚突然渡されて、意図を汲んで完璧に回すことは不可能だと思うので、それをサポートするべきですね。それでも多分、ちゃんと回すのは難しいと思うので、実際に自分で回して欲しいですし、それくらいの余裕があるスケジュールであるべきかなと」

--「たしかに、そのレベルの労力をかけて書くなら、その値段設定も納得ですし、そうじゃないと厳しいですよね」

渡辺「そうですね。有料記事を本数を増やしすぎても価値が下がってしまうと思うので、本数は結構絞るべきかなと。もちろん、値段を下げてそれなりの内容で、って方法もあるかもしれませんけど、僕が読みたい記事って質問なら、このレベルの記事が読みたいです」

--「有料記事という取り組みについてはどう思いますか?」

渡辺「有料記事は面白い取り組みだと思います。国内のコンテンツは、ほとんど無料ですし、基本はそうであるべきだとは思います。全部有料ってのも難しいとは思いますので。ただ、この間の記事や、それこそStarCityGamesみたいな感じで定期購読で有料の代わりに価値がさらに高い記事があるのはいいことだと思います」

--「無料記事の手をぬく、というよりは、より労力に見合った内容と値段の記事があるべきってことですね。実際、渡辺プロの記事は、渡辺プロ自身が言った内容をほとんど網羅しているデッキリストの全てが詰まった内容になってますからね。その分、労力がかかりすぎてほとんど書けないのだとは思いますが……」

渡辺「よほどの事がなければ書いてないですね。ただ、やっぱり、有料記事である以上は、僕の記事より良い記事にお金を払いたいです」

--「ご協力、ありがとうございました」

まとめ


まとめ、というわけではないが、今回プロたちに話を聞いて感じたのは、有料記事という取り組みは、プロの知識やノウハウ、ネームバリューに改めて値段をつける行為だということだった。

ゲームに勝つための知識を得るためには、いくらかかるのか?そして、その勝利は「目先の大会で1勝」なのか、それとも「常に勝てる自分への第一歩」なのか。その捉え方で、記事の内容や値段には大きく差が出るのだろう。

こうなると、有料記事を買う側の期待するものも、個人的には気になってしまう。デッキを1つ作る労力をプロに肩代わりしてもらうための対価なのか、それとも、自分がプロなみのプレイヤーになるための自己投資なのか。津村へのインタビューの中では「このインタビューを買いたい人にもしてもらいたい」という言葉があった。

おそらく、それぞれの需要はあると思うし、それに合わせて、記事の値段も内容もバリエーションのあるものにかわっていくだろう。

最後に個人的な意見として、有料記事という取り組みで、プロプレイヤーの記事を書くという行動自体のモチベーションが上がって、面白い記事がもっと世にあふれれば嬉しいと思う。
レポート

ライター
ライターコラム

Page Top