企画記事

デッキブレイクダウン・ワールドマジックカップ予選2015大阪大会

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皆さん、こんにちは!
Dig.cardsでアーキタイプ分類通信という連載をしている石村 信太朗です。

この記事では、先日8月22~23日に開催されたワールドマジックカップ2015大阪予選のメタゲームのブレークダウンを取り扱います。

この記事が皆さんの目に触れる頃には、すでに東京予選も幕を下ろしており、
日本代表の座はたった一席を残すのみになっていることでしょう。

最後のチャンスである9月19~20日に開催されるワールドマジックカップ2015名古屋予選に皆さんも興味津々だと思いますので、主にそこを意識してメタゲームの話を行っていきたいと思 います。

では、前置きはここまでにして、まずは今回のデッキ分布から見ていきましょう!

大阪予選のカバレージはこちら!
東京予選(モダン構築戦)のカバレージはこちら!
名古屋予選の詳細はこちら!

■デッキ分布を見て~分かれた明暗~

アーキタイプ名 使用人数 占有率
アブザンアグロ 46人 14.2%
緑赤信心 30人 9.3%
アブザンコントロール 27人 8.4%
赤単アグロ 26人(うちゴブリン4) 8.0%
ジェスカイウィンズ 23人 7.1%
アブザン大変異 15人 4.6%
マルドゥドラゴン 15人(うち赤黒6) 4.6%
赤緑モンスター 14人 4.3%
緑白ビートダウン 13人(うち鱗型6) 4.0%
青黒コントロール 13人(うちスゥルタイ3) 4.0%
青赤ライブラリーアウト 11人 3.4%
エスパードラゴン 10人(うち青黒4) 3.1%
ハサミブルー 9人 2.8%
青白英雄的 9人 2.8%
青白コントロール 7人 2.2%
星座デッキ 7人 2.2%
ジャンドコントロール 6人 1.9%
《先祖の結集》 デッキ 5人 1.6%
その他 37人 11.5%

環境の覇者アブザン

アブザンアグロ アブザンコントロールアブザン大変異……
3つのアーキタイプに分かれているにも関わらず上位にひしめくアブザンの文字。
合計での占有率は25%を明確に越え、参加者の4人に1人が 《包囲サイ》 を使っている状態です。
環境はアブザンに支配されているといっても過言ではありません。
TOP8にもきっちり2人のプレイヤーを送り出しており、アブザン使いたちのデッキ選択が間違っていなかったことは証明されています。

アブザンに追随する、レッドデックウィンズ

アブザンが多いとは言いつつも、アブザンにあらずばデッキにあらず。という支配的な状況というわけでもありません。 アブザンに追随するは、ジェスカイウィンズ赤単アグロマルドゥドラゴン赤緑モンスターといった赤いアグロデッキです。
アブザンキラーたる 《雷破の執政》 《嵐の息吹のドラゴン》 を携えるこれらのデッキを全て合わせた数字は、アブザンのそれに匹 敵しています。
TOP8にはジェスカイウィンズ2人と赤緑モンスター1人を送り出しており、優勝した玉田さんの使用デッキもまたジェ スカイウィンズでした。
WMCQ大阪予選では、赤いアグロデッキはアブザン攻略に成功し、勝ち組に収まったと断言できる戦果です。

敗軍のコントロールデッキ

しかし勝ち組になったデッキの影には、負け組になったデッキがもちろんあります。
それは、青白コントロール青黒コントロールエスパードラゴンといった青系コントロールと緑赤信心です。
とくに緑赤信心はアーキタイプ占有率では2位につけていたにも関わらず、TOP8に一人も進出できてい ない有様。
勝負は時の運ではありますが、ここまで手酷い敗戦となると理由を見つけたくなるのが人間の性分です。

環境の25%を占める第四勢力

また、使用者の少ない、いわゆるTier2以下のアーキタイプに目を向けると、
緑白ビートダウンが数を増やし、ハサミブルーが人数を減らすというメタゲームの推移が見受けられます。
そして、何よりも目につくのが青赤ライブラリーアウトの人数の多さです。
、そろそろ 《護法の宝珠》 などの対策カードが必須になるかもしれません。
青白英雄的、星座コントロール、 《先祖の結集》 コンボといったローグデッキも一定数の使用者が存在しており、TOP8にこれらその他のアーキタイプから3人ものプレイヤーが排出されていたことも踏まえると、優勝するためにはこれらTier2のデッキの攻略も避 けては通れない道のようです。
 

小まとめ

では話も軽くまとまったところで、
上の分布をよりシンプルにまとめた簡易版のデッキ分布を挟んでから、個々のゾーンをピックアップした話に移りたいと思います。
アーキタイプ名 使用人数 9回戦やると
アブザン 90人 2~3回当たる
赤系アグロ 48人 1~2回当たる
赤系ドラゴン 48人 1~2回当たる
青系コントロール 36人 1回当たる
緑系マナランプ 32人 1回当たる
青赤ライブラリーアウト
英雄的ビートダウン
緑白星座
先祖の結集

33人

どれかに1回当たる

■盤石のアブザン





さて、ではまずは環境の支配者アブザンから語っていきましょう!
……と言いたいところなんですが、トップメタとして長く君臨しているだけあって、デッキがすでに完成しているため、語ることが殆ど無かったりします。
アブザン系三種のアーキタイプの違いについて語るのも今更ですし、ぶっちゃけた話三種とも 《包囲サイ》 を連打するだけのデッキですからね。
Ultimate Price / 究極の価格
ムラが激しいが、メタ次第では採用を考慮すべき
あえて触れるならば、 《究極の価格》 についてでしょうか。
一昔前までは、 《龍王オジュタイ》 《死霧の猛禽》 の流行とその前後のアブザンアグロの流行により、効果的でないマッチアップが多く、やや敬遠されていたカードです。
しかし現在のメタゲームでは、流行の 《雷破の執政》 《嵐の息吹のドラゴン》 コンビの処理手段として高く評価でき、アブザン対 決でも 《巨森の予見者、ニッサ》 や、サイズの上がった 《棲み家の防御者》 を対象に取れるため最低限の仕事ができるようになっていま す。
メインボードとサイドボードに合わせて3~4枚採用しても損をしない良カードとなっている印象です。

アブザンは、テーロスが環境を去った後もアブザン大変異を元に再編されて、環境に残り続けると思 われるデッキです。
来年のことを考えると、環境終盤というのは見せかけで今は開始前の準備期間、引き続き最強デッキの動向に注意していきましょう。


●ボーナスデッキリストその1


《毅然さの化身》 《かき集める勇気》 がクールな アブザンアグロ
到達を持つ 《毅然さの化身》 と、不意打ちとテンポ確保なら環境最高峰の 《かき集める勇気》 は、赤いデッキ相手に強く、赤が強い 現環境では有効な選択です。
これだけ多くの2マナクリーチャーを採用していればアブザン対決でもそうそうテンポで負けることはないでしょうし、サイドの 《狩人狩り》 からもテンポを活か して勝つという強い意志が伺えます。
最強デッキのアブザンを使いたいけど、受け身に回るのは嫌だという方に特にオススメのデッキです。

■好調の赤系アグロ






赤単アグロ赤単ゴブ リンジェスカイウィンズハサミブルーなどの、小型クリーチャーで殴って火力で〆るデッキタイプ。
《衰滅》 の登場が向かい風でしたが、赤系ドラゴンも含めた赤いデッキタイプの多さにより、環境のサイドボードの対策カードがバラけており、依然有効なデッキタイプ として環境で戦えています。
Exquisite Firecraft / 極上の炎技
火力主体の方が裏目が少ない
最近の傾向としては、火力呪文にやや偏ったバーンタイプのデッキがよく勝っている印象です。
《衰滅》 をはじめとして環境に全体除去が溢れているため、クリーチャーに頼るよりも安定してライフを削れるのかもしれませんね。
赤いデッキ対決でも、即座にライフを削れる火力呪文が多い方が有利をとりやすいので、現在流行しているデッキを相手にするなら、火力呪文を増やした構成で間違いは無さそうです。

●ボーナスデッキリストその2


晴れる屋所属プロの八十岡翔太が、サイドに火力呪文を詰め込んだ独創的な赤メインのハサミブルー でベスト8に入賞したことが話題になりました。
しかし、似たコンセプトのデッキをWMCQに持ち込んでいたプレイヤーは実はもう2人存在しており、そのうちの1人のデッキリストがこちらになります。
八十岡のデッキレシピと比べると、 《アーティファクトの魂込め》 の爆発力を断念することと引き換えに、青を完全にデッキから排除することに成功し、安定した マナベースを得ています。
また、八十岡がサイドに落としていた火力呪文を、メインからふんだんに採用していることで、非常に高い攻撃力を手に入れています。
《爆片破》 《かき立てる炎》 《極上の炎技》 という最強火力トリオによるバーン戦略と、対処の難しいトークン 戦略を併せ持つこのデッキを攻略するのは至難の業でしょう。

■岐路に立った赤系ドラゴン



赤緑モンスターマルドゥド ラゴンを筆頭とした、 《嵐の息吹のドラゴン》 《雷破の執政》 で暴れまわるデッキ群。
アブザン、マルドゥ、ジェスカイの3つの氏族が過半数を占め、白単信心や緑白星座、青白コントロール 青白英雄的と、白いデッキだらけの環境は 《嵐の息吹のドラゴン》 の 遊び場として最高です。
Stormbreath Dragon / 嵐の息吹のドラゴン
名古屋では逆風が予想されるが…?
ただ、ドラゴンコンビが猛威を振るい続けてはや四週間、ワールドマジックカップ2015名古屋予選のころには、流石に対策が進み、逆風が吹き荒れている可能性が無きにしも非ずといっ たところ。
赤系ドラゴンを使う人は、妨害対策の手札破壊呪文や 《レインジャーの悪知恵》 《前哨地の包囲》 《高木の巨人》 《龍王シルムガル》 対策の除去呪文をしっかりデッキに忍ばせておきましょう。

●ボーナスデッキリストその3


最近はマルドゥでも通常装備となっている 《搭載歩行機械》 ですが、こちらのデッキリストでは 《オジュタイの語り部》 を追加の2マナ の壁として採用しています。
Orator of Ojutai / オジュタイの語り部
飛行が強い環境では、頼りになるブロッカー
《オジュタイの語り部》 については、緑白ビートダウン赤単アグロをがっちり受け止められるのはもちろんですが、重要な点として 《カマキリの乗り手》 を止められることがあげられます。
最近勢いを取り戻しているジェスカイウィンズに対するカウンターとしてお手頃なこのカード、 アグロデッキに頭を悩ませている方は試してみてはいかがでしょうか。

■雌伏する青系コントロール


青に白か黒、またはその両方を加えた形が基本なコントロールデッキ。
低コストのドロー操作が弱い関係で序盤に難があり、アブザンや赤系よりもやや安定性に欠けているのが弱点です。
サイドボード後は、デッキ内容を相手に合わせて変更し、中身を均一化できるため、その問題も解消されるのですが、都合のいいドローをする必要があるメインボードが悩みの種。
Ugin, the Spirit Dragon / 精霊龍、ウギン
パワーカードを存分に使えるコントロールはチャンス有り
ただ、環境のキラーカード 《衰滅》 《対立の終結》 と、モダンで禁止されているパワーカード 《時を越えた探索》 に加えて 、現環境最強フィニッシャーである 《精霊龍、ウギン》 をうまく使えるデッキパワーは環境随一であり、メタゲーム上でも悪くない位置にいるため、ワー ルドマジックカップ2015大阪予選では運に恵まれず、日の目を見ませんでしたが、チャンスは十分にあると思います。
ワールドマジックカップ2015名古屋予選では青いコントロールの逆襲に期待しています。
●ボーナスデッキリストその4


青黒のデッキに 《龍王オジュタイ》 を採用する場合は、ドラゴン呪文も一緒に採用したくなるのが情ですが、そんな情を廃したのがこちらのデッキリストになり ます。
ワールドマジックカップ予選のような長丁場を考えると、デッキの安定性は少しでも上げたいところなので、不安定な部分があるドラゴン呪文を抜くのは理に適っています。
市川さんも仰っていらしたようにコントロールデッキを使う時の最大の敵は時間なので、手札破壊呪文連 打からの 《龍王オジュタイ》 という速やかな勝ち手段メインに据えているのもまた理(こ とわり)
青黒コントロール使いの方は一度試してみてはいかがでしょうか。

■没落の緑信心




うって変わって、非常に厳しい状況に置かれているのがこちらの緑信心系デッキです。
有利な相手であったアブザンが 《衰滅》 《悲劇的な傲慢》 を手に入れ、相性が悪化したことが非常に厳しく、流行りの赤系ドラゴンデッキに対 する相性もそこまでよくないため、完全にメタゲームの弱者と化しています。
しかも、自分のやりたいことをやって勝つタイプのデッキであり、デッキのフリースロットも殆ど存在しないため、環境の変化への対抗策をろくに打てない有様。
よりぶん回りに特化するために 《失われた業の巫師》 を採用する、 《衰滅》 を耐え、赤いドラゴンへのカウンターとなる 《高木の巨人》 を多めに採用するなど、小技は効きますが根本的な解決にはなりません。
画期的な構築の変更ができない限りは、頭を下げて嵐が過ぎ去るのを待つ、すなわちメタゲームの変化を待つしかないのが現状なので、ワールドマジックカップ2015名古屋予選でも冬は続きそうです。

●ボーナスデッキリストその5