企画記事

デッキブレイクダウン・プロツアーバンクーバー2015地域予選東京大会

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皆さん、こんにちは!

いつも、Dig.cardsでアーキタイプ分類通信という連載をしている石村 信太朗です。 つい先日、4/25にプロツアーバンクーバー2015地域予選東京大会が開催されました。

大会の参加者はなんと131名。

現在入っている情報では世界同時開催の中でも最大の人数だったそうです。すごいですね!

そしてこの記事では、ずばりそのプロツアーバンクーバー2015地域予選東京大会のブレークダウンを行っていきます。
BIGMAGICさんのご厚意で今回の大会参加者の全てのデッキリストをDig.cardsに登録させていただくこと出来ました。

BIGMAGICさんによるプロツアーバンクーバー2015地域予選 東京大会の公式カバレッジへのリンクはこちら!

公式カバレッジ
TOP8デッキリスト

というわけで、今回、僕がプロツアーバンクーバー2015地域予選のデッキ分布を分析した記事を書かせていただくことになりました。

では、前置きはここまでにして、まずは今回のデッキ分布をどうぞ!
 

■デッキ分布を見て

 
アーキタイプ名 使用人数 占有率
青黒コントロール 31人(うちドラゴン25) 23.7%
アブザンアグロ 20人 15.3%
赤単アグロ 12人(うち赤緑9) 9.2%
アブザンコントロール 11人 8.4%
赤緑モンスター 7人 5.3%
シディシウィップ 7人 5.3%
緑単信心 6人 4.6%
緑白ビートダウン 5人 3.8%
青白英雄的 5人 3.8%
マルドゥビート 4人 3%
緑白信心 3人 2.3%
ジェスカイウィンズ 3人 2.3%
ジェスカイトークン 3人 2.3%
スゥルタイコントロール 3人 2.3%
ティムールビートダウン 2人 1.5%
赤白ビートダウン 2人 1.5%
黒緑星座 1人 0.8%
その他 6人 4.6%

まず目につくのは青黒コントロールの圧倒的な多さ、その実なんと占有率23.7%!
それに続くアブザンアグロの20人というのもまたなかなかの数であり、プロツアータルキール龍紀伝における上位4位デッキ、すなわち赤単アグロ、アブザンアグロ、青黒コントロール、赤緑モンスターが、それぞれ11.5%、10.0%、9.3%、8.8%だったこと比較すると雲泥の差です。
時間が経過することで各カードポテンシャルやアーキタイプ間の相性が認知され、メタゲームが次の段階に進んだのを感じさせられます。

そして光あれば影もあり、メタゲームの進化速度についていけなかった緑白信心とジェスカイは大きく数を減らしています。
また、バントカラー(白青緑)のデッキや、マルドゥが徐々に数を増やしているのも気になりますね。

では、上位のアーキタイプについて、デッキリストを交えて少々内面に踏み込んで話をしていきたいと思います。
 

■青黒コントロールについて



今大会で圧倒的参加者数を誇った青黒コントロール。
その内訳は、

・ノンクリーチャーまたは 《真珠湖の古きもの》 のみのタイプ:6人
・青黒2色で 《シルムガルの嘲笑》 を使用する青黒ドラゴンタイプ:2人
《龍王オジュタイ》 入りの3色ドラゴンタイプ:23人

となっており、3色ドラゴンタイプだけでも使用率TOPという圧倒的な支配率を誇りました。

この支配率の高さは、すなわち、同タイプのデッキ対決、いわゆるミラーマッチの可能性が上がることを示しており、そのことはデッキリストにも如実に反映されています。
 
Stratus Dancer / 層雲の踊り手 Pearl Lake Ancient / 真珠湖の古きもの Grindclock / 研磨時計

まず、最も分かりやすい変化として、青黒コントロール同系の最強カードである 《真珠湖の古きもの》 の採用率が劇的に上がっていることが挙げられます。
ノンクリーチャー型のコントロールのメインボードにはもちろん、ドラゴンタイプのデッキでもサイドボードにこのカードを準備する人が増えてきており、中にはドラゴンに混じる形でメインボードに採用されているリストまでありました。

同様に青黒コントロール同種対決で最も力を発揮する 《層雲の踊り手》 《研磨時計》 の採用率も、以前と比べても着実に上がってきており、青黒コントロールをプレイするプレイヤーが、ミラーマッチに強い関心を抱いていることが読み取れます。

Rakshasa Deathdealer / ラクシャーサの死与え
素早いビートダウン!

また、青黒コントロール対決では、試合時間の管理も重要な要素となります。
勝ち手段に乏しいメインボード戦の試合時間が長くなりやすい分、サイドボード後は手早く勝利する必要があります。
そのため、手早くビートダウンをするために、サイドボードにクリーチャーを多く搭載するのが一般的であり、上で説明した 《層雲の踊り手》 もその手段の一つです。
そして、上のデッキリストでは 《華やかな宮殿》 で緑マナが供給できることを活かして、ほぼ 《ラクシャーサの死与え》 のためだけに緑がタッチされており、サイド後のビートダウンがどれだけ重要かを物語っています。



そして、そんなミラーマッチのサイドボード後のビートダウン合戦に、新たな一石がプロプレイヤー齋藤友晴から投じられました。
 
Risen Executioner / 目覚めし処刑者
最強の同型対策サイドボード?

除去呪文も打ち消し呪文も効果が薄く、コストとサイズも優秀、しかし今までほとんど姿を見なかったカードなので強さは全くの未知数。

果たして 《目覚めし処刑者》 はこれからのスタンダードになるのでしょうか?
また、この 《目覚めし処刑者》 はもちろん、存在感を上げている 《死霧の猛禽》 に対抗できる 《信者の沈黙》 を採用しているのも見逃せないポイントです。


さて、ここまで見てきたように、現在青黒コントロールに同型対策に熱心に力を注ぐほどに、暫定王者としての地位を確立しているデッキですが、他のデッキも手をこまねいているばかりではありません。
 
Mistcutter Hydra / 霧裂きのハイドラ
帰ってきた最強の青キラー

実際に、今回の地区予選でも、使用者最大数を誇りながらも、権利を獲得できた青黒コントロールの使用者は一人だけであり、青黒コントロール包囲網が狭まってきているのを感じます。
しかし、負けじと青黒コントロールも 《忌呪の発動》 の枚数を増やしたり、墓地に送らない全体除去を増やしたりと、メタゲームにあわせて着々と進化しています。
今後も、青黒コントロールが環境の王者の座を守れるのかどうか、気になるところです。

■アブザンアグロについて



Warden of the First Tree / 始まりの木の管理人 Surrak, the Hunt Caller / 狩猟の統率者、スーラク Dromoka's Command / ドロモカの命令

さて、お次はビートダウンの最大手、アブザンアグロについてです。
運命再編登場後はコントロールデッキに寄り気味な傾向があったものの、タルキール龍紀伝で 《ドロモカの命令》 《狩猟の統率者、スーラク》 といった、分かりやすくビートダウンに向いたカードを手に入れたことで、勇往邁進なビートダウンに回帰しています。
また、プロツアータルキール龍紀伝前後の環境は、青黒コントロールのような低速デッキが存在する環境で、且つ仮想敵はダメージレースが必要となる赤系デッキであったため、序盤にプレイ可能で、ライフゲインを持ち、コントロール相手にもプレッシャーをかけられる 《始まりの木の管理人》 の採用率が上がってきていました。

Whip of Erebos / エレボスの鞭
スタンダードのライフゲインクイーン

そしてそのプロツアーで赤単アグロが優勝を果たしたことで、赤いデッキの危険度が再認識され、アブザンアグロも赤単アグロをより強く意識するようになりました。
今回の予選を一位で突破したこのリストでも、 《包囲サイ》 《風番いのロック》 に加えて投入されているのは、まさかの 《エレボスの鞭》
今までの常識では、墓地シナジーのないデッキにはまず投入されなかったカードですが、圧倒的なライフゲイン力と対青黒でのプレッシャーとしての性能が環境にぴったりマッチしたようです。



しかし、自軍全体に絆魂を与えるのは、何も 《エレボスの鞭》 だけの特権ではありません。
 
Sorin, Solemn Visitor / 真面目な訪問者、ソリン
ダメージレースはお手のもの!

そう、最近最も熱いアブザンのカード、 《真面目な訪問者、ソリン》 です。
緑のデッキに対しては、力弱さが目立つため、シディシウィップや緑白信心の活躍により、メタゲームから一時的にはじき出されていた彼ですが、青黒コントロールと赤系アグロデッキがメタゲームの中心になったことにより、劇的なカムバックを果たしました。
青黒コントロール相手はお手軽なプレッシャー、赤系アグロや同型相手はダメージレース決戦兵器と、八面六臂な活躍をするため、今回の大会でもアブザンアグロとアブザンコントロールの両方で非常に高い採用率を誇りました。

また、中道大輔のデッキは分類上はアブザンアグロとなっているものの、既存のアブザンアグロとは全くの別物と言っても過言ではないほどに、独創的なシナジーに溢れた構成となっているため、是非じっくりと隅々まで目を通してみてください。
 

■赤単アグロについて




プロツアータルキール龍紀伝で優勝を飾った赤単アグロ(赤タッチ緑アグロ)ですが、今回の大会では使用者数ギリギリ二桁とやや控えめな参戦となりました。
最終的には、三人もの使用者が予選を通過しており、デッキ選択としては正解の部類であったようですが、直前のプロツアーの優勝デッキであったため、赤単への警戒が強まっていることを危惧したプレイヤーが多く、使用者が少なかったものと思われます。

そして、赤単アグロを選択したプレイヤーの大半は、プロツアー優勝デッキを参考にした 《アタルカの命令》 入りデッキを持ち込みましたが、無謀にも山20枚のオリジナル赤単アグロを持ち込んだプレイヤーが3人いました。
しかも、そのうちの2人が見事に予選を通過したのですから驚きもひとしおです。




特に朴高志の赤単アグロは 《双雷弾》 《龍を操る者》 《パーフォロスの槌》 と特徴が多く、興味深いデッキリストになっています。
 
Twin Bolt / 双雷弾 Dragon Whisperer / 龍を操る者 Hammer of Purphoros / パーフォロスの槌

《パーフォロスの槌》 《悪性の疫病》 にこそ弱いものの、一般的な赤単アグロ対策である 《悲哀まみれ》 に対して効果的であり、特に青黒コントロールに対して大きな成果を得ることを期待できます。

《龍を操る者》 は赤単の低コストクリーチャーには貴重な回避能力持ちであり、地上を固められてもライフを削れるため、特に緑系デッキに対して有効です。

また、 《双雷弾》 は、今回のトーナメントにおいて、赤いデッキの間でしばしば見かけられたカードであり、赤単アグロに対して効果的なカードあるため、今後見かけることが増えていくかもしれません。

そして 《双雷弾》 と同様に、 《アラシンの僧侶》 《悲哀まみれ》 《大地の断裂》 はもちろん、 《炎の円》 を4枚サイドボードに準備しているプレイヤーや、 《洗い流す砂》 を大量に搭載している同系など、プロツアー優勝デッキだけあって非常に激しい対策を行われてしまっているのが現在の赤単です。
 
Hall of Triumph / 凱旋の間 Thunderbreak Regent / 雷破の執政
対戦相手のサイドボードを乗り越えろ!

《凱旋の間》 などのサイズ強化カードや、 《雷破の執政》 などのサイズの大きいクリーチャーをうまく使えるかどうかがこれからの赤単アグロの趨勢を左右していきそうです。
 

■大変異/Megamorphについて


Deathmist Raptor / 死霧の猛禽 Den Protector / 棲み家の防御者
来てるかも、ビッグウェーブ?

八十岡翔太が語っていた「組めれば強い」 《棲み家の防御者》 《死霧の猛禽》 を軸に据えたデッキがいよいよ完成度を高めてきています。
すでに安定性やデッキパワーの問題は解決され、 《層雲の踊り手》 《爪鳴らしの神秘家》 など3種類目の変異を投入する工夫がなされるほどまで構築が進んでいます。