企画記事

行弘賢のPT異界月TOP8入賞レポート!

262213bf 40bb 4731 97e2 119f8686a254
時が経つのは早いもので、僕がDig.cardsとのスポンサー契約を受けてから1年以上の月日が流れました。

スポンサー契約を受けたときはまだ僕はゴールドレベルプロで、来シーズン(2015-2016)もゴールド存続が十分可能な時期でした。契約時には勿論Dig.cards側には来シーズン(2015-2016)はゴールドであるという期待があったと思います。

とはいえこの時期僕はスランプ気味なだったこともありシーズン(2014-2015)を通してGPTOP8もなく、PTの成績は凡々たるもの。そんな調子のもと和歌山を離れ東京に来て今までと違う仕事、環境のもとマジックを続けていたのもあり、更に勝てなくなります。

シーズン(2014-2015)最後のPTオリジンでは遂に前シーズン(2015-2016)のシルバーレベルプロが確定し、スポンサードプロとしてやっていく厳しさを味あわされることになります。

今までもGP、PTどちらも勝てない時期はありましたが、年間通してGP,PTどちらもTOP8が無いシーズンは無かったので、スポンサードされた年にこの成績かと、かなりへこみました。

2009年から走り続けたプロ生活ですが、もう潮時なのか?そんな思いが心の奥底から湧いてくるのを必死に抑えつつ、それでもまだ走りたい、まだ諦めたくない、なんだかんだでなんとかなるさ。

そんな風に、なんとか気持ちを切らさないように前シーズン(2015-2016)ゴールドレベル以上の復帰を望んでまた走り出しました。ですが、現実は甘くはありません。というのも、前シーズン(2015-2016)の始まり、僕が出られるPTはシルバーレベルの待遇で出られる戦乱のゼンディカーのみだったからです。

それも終わってみたら6敗と、悪い成績では無いものの次のPTの権利を得られる5敗に一歩届かず、ここで2009年から走り続けてきたPT継続参戦の道が途絶えてしまいました。

このPT継続参戦というのは僕がマジックを続ける上でかなり大きなモチベーションにしていた部分で、これが途絶えてしまった時、2009年から走り続けたプロプレイヤー『行弘賢』は一つの終わりを迎えたと感じました。

今度こそ終わりだ。プロツアー継続参戦はできなくなったし、競技シーンからは去ろう…。

いざ終わってしまった時、そんな気持ちは、湧いてきませんでした。

むしろ、何かに追われてマジックをしていた自分がいなくなり、何かを求めてマジックする、『挑戦者』としての新たなマジックプレイヤー『行弘賢』が現れたのです。

挑戦者として取り組みはじめてからは、マジックが前以上に楽しくなり、モチベーションは大きく向上しました。

そんな良いサイクルが幸をそうしたのか、PT異界月予備予選(RPTQ)を見事突破し、PT異界月の権利を獲得し、前シーズン(2015-2016)かろうじて2回目のPT参戦を決める事ができました。

間のPTゲートウォッチの誓い、イニストラードを覆う影には参加できなかったので、2回ぶりのPT参加です。

PT本戦は12勝4敗以上と非常に厳しいラインが求められつつも、まだゴールドレベルプロになる可能性はある。

そんな千載一遇のチャンスで、挑戦者として立ち向かった僕は果たしてどうなったのか…。長くなりましたがここからが『行弘賢PT異界月』レポートの本編となります。

1.Cygames合宿(ドラフト編)

今回はドラフト・構築の練習はCygames様主催の合宿(以下Cygames合宿)にお邪魔させていただきました。

ドラフトは発売日週の金・土・日の3日間のCygames合宿で集中的に練習し、翌週のリミテッドGPシドニーで補完。残りの日は現地でCygames合宿で構築の練習、という発売日からPTまで2週間近い日程のほぼ全てをマジックに当てる、マジック尽くしの2週間です。

ドラフトの合宿はTeamCygamesのプロ以外にもプロツアー出場者やドラフトの猛者、合わせてなんと16人の精鋭が集まりました。

16人集まった事で2卓同時進行でき、一回終わる毎に人をシャッフルする事ができたので、人によって好みが偏り、卓全体の傾向が寄るケースが少なくなり、本番を想定した状態でドラフトが出来たのは非常に有り難かったです。

16人もいれば皆が様々なアーキタイプを開発するので、引き出しを増やすという意味合いでも参考になる事は多かったです。

そんな16人の猛者の中、このドラフト合宿中で人気・勝率が良かった色は『青』で、逆に人気・勝率共に悪かった色は『緑』。

特に『青白』と『青赤』の勝率は非常に良く、3-0デッキのカラーコンビネーションではよく見かける組み合わせでした。 青は異界月トップコモンである 《不憫なグリフ》 がある他、ほとんどのコモンがプレイアブルカードで、なおかつ他の色と比べ優秀なカードが多いので安定した勝率が出た事には納得でした。

個人的にはコモンにパワーカードである 《オリヴィアの竜騎兵》 がある黒もかなり好きだったのですが、黒ははまった時こそ強いものの、一部のコモンに依存する強さだと感じたので、本番では安定した勝率が期待できる『青』をほぼ決め打ち気味にドラフトする事にしました。逆に緑は一部のレア( 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 《エムラクールの福音者》 )からじゃないと行かないと決めました。

これで国内の練習は殆ど終了。問題だったビザもギリギリ当日の朝に到着しオーストラリアの地に旅立ちました。

2.GPシドニー

出発3週間前、公式ライター・解説でお馴染みの浅原さんに「オーストラリアは季節が日本と逆」という事を知らなかった事をネタにされてしまいましたが、冬服持って行かなくて凍えるよりは幾分かマシでした。8月上旬ですが、それぐらい現地は普通に日本の冬の気候でした。

PT前哨戦のGPシドニーがいよいよ始まる…のですが、GPに備えての練習は殆どしていません。というのも、ここでの目標はプロポイント1点。つまりは5敗です。

ここで1点加点するとPTで12勝4敗で良くなりボーダーが少し下がります。逆に1点取れなければTOP8縛りになります。ただし今回はビザの関係でPTは参加者が減るという予想があり、4敗はほとんどTOP8に残りそうだという話もあったので、このGPの1点じたいも殆ど保険的意味合いでした。

とはいえ2敗でPTホノルルの権利は獲得できるので、手抜きじたいはしません。PTの練習という意味合いもあるので、2日目のドラフトには是非参加しておきたい所。そんな思いが通じたのか、初日の僕のプールに降り立ったのは…。

Archangel Avacyn / 大天使アヴァシン
!!!

という訳で、 《大天使アヴァシン》 こそ引けたものの、最後の2連戦レア5枚入ったシム・チャップマンの青黒と、GPマスターがかかった鬼気迫るBBDの青赤に粉々にされました。ちなみに 《大天使アヴァシン》 を出したゲームはチャップマンの試合1回を除いて全部勝ちました。強すぎ。

初日2敗は正直ホッとする成績です。目標である1点を目指すなら、ほとんど確定したと言っても過言ではありません。なんせ2日目3-3で大丈夫ですから。とはいえ2日目5-0-1でTOP8の目もまだ狙えるライン。狙えるものは狙っていきます。



そんな思惑とは裏腹に1stドラフトはいたって普通の青黒。2-0こそできたものの、最終戦で 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 にいわされて2-1。TOP8の目こそなくなったものの、逆に2勝できたと考えれば上出来です。

2ndドラフトは初手 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 。緑はやらないと決めていましたが、こいつが出たときはしょうがないと緑に参入。 《不憫なグリフ》 《厄介な船沈め》 も序盤に確保できたので青緑…、いや、 《無情な処分》 《粗暴な協力》 もタッチするか… 《異界の進化》 も拾ったし 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 もサーチできるぞ!

みたいに途中から楽しくなってきていつのまにやら緑多色路線に。3パック目には 《優雅な鷺、シガルダ》 もこんにちはして、多色路線が大当たり!即座にピックしようとすると裏から…
Archangel Avacyn / 大天使アヴァシン
ハァイ!
ここまでピックした白のカードは0。マナサポートは 《テラリオン》 《謎の石の断片》 《原初のドルイド》 2枚の4枚…。冷静に考えれば 《優雅な鷺、シガルダ》 一択…。流石にダブルシンボルをタッチは…。

なんて考えてるうちに、気が付けば白い単色の天使が僕のピックの束に吸い込まれていきました。 《異界の進化》 で召喚できるしね、うん。

後々ピックできた 《荒原のカカシ》 のおかげで一応マナ的にも 《大天使アヴァシン》 はなんとかなり、無事にデッキに加入されたので、結果はオーライでした。という訳で 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 《大天使アヴァシン》 の神話レアを 《異界の進化》 から召喚する夢のようなデッキが完成したのでした。

ちなみに結果は 《大天使アヴァシン》 が現出カードや 《異界の進化》 で能動的に裏返り相手だけ吹き飛ばすコンボが決まりまくって2-1でした。 《大天使アヴァシン》 強すぎ。

これで2日目4-2と無難に成績をまとめる事ができ、無事プロポイント2点を獲得。これで今年度プロポイントの合計が19点になったのでPT12勝4敗の15点を加算すれば34点となり、ゴールドレベルのボーダーである33点を上回る事ができます。

遂に今年もGPTOP8に一回も入賞できませんでしたが、実はアベレージは今までで一番高く、(3敗)3点×3回、(4敗)2点×2回で初日落ち1回のみで1点が一回も無いこれはこれで珍しいシーズンになりました。アベレージが高い事は良い事だとは思うので、そういう意味ではGPだけ見れば良いシーズンとなりました。

これでシーズン最後のPTに向けて大会に出るという意味ではやれる事はやりました。後は実際にPTに参加する為の準備、つまりはスタンダードのデッキの調整をしなくてはいけません。

3.Cygames合宿(構築編)

今回現地の合宿に参加したのはPTシドニーにそれぞれの想いを抱いた12人。皆が皆負けられない気持ちを抱いているため、そういう意味で目標は皆一緒です。

今回の合宿に参加するにあたって、僕は手土産として『赤緑昂揚』のアイディアを持ち込みました。 これは遊々亭さんの企画である『プレ裏スタンダード』に『黒緑昂揚』で参加した時に 《約束された終末、エムラクール》 が強すぎたのでこれを主軸に考えたデッキが強そう、という事で黒緑よりも最速で 《約束された終末、エムラクール》 をプレイできるランプに寄せた『赤緑昂揚』を思いついたものでした。

赤の利点として 《苦しめる声》 《集団的抵抗》 で手札を入れ替えつつ、望んだカードを手札から墓地に落とす事ができるので昂揚や 《約束された終末、エムラクール》 カウントを補助するのにうってつけという点があります。 特に 《集団的抵抗》 は一気に手札を入れ替えできる上に、盤面にも無理なく触る事ができるため、デッキのマスターピースになりそうだと試してみた所これが大当たり。自信を持ってこの『赤緑昂揚』のアイディアを合宿に持ち込みました。

実際にこの『赤緑昂揚』をテストプレイしてみた所、バントカンパニーには先手ゲー、つまりは五分。白緑トークンも先手ゲーなものの、後手の時は幾分かこちらが返せるケースがあったので微有利。そしてスゥルタイや白黒コントロールには7-3以上で有利という結果が出ました。
Spell Queller / 呪文捕らえ
強すぎるカード故に、対策も進む
今回のプロツアーでは直前のSCG2回で大活躍の王者であるバントカンパニーに勝てるのも勿論重要ですが、バントカンパニーはせいぜい20~30%しかいないので、それ以上に残りの70~80%の勝率はもっと重要です。

今回は僕自身安定した成績は望んではいないので、有利な所に当たった時に勝てる、この『赤緑昂揚』はまさしく僕が望んだデッキでした。

でしたが…、ここで国内よりまさかの刺客が現れます。それはシドニーは寒いと教えてくれた浅原さんが国内の大規模トーナメントBMOで作成、使用した『青緑ドレッジ』です。早速合宿内でも調整が始まり、最終的には黒を採用した4色の形がチーム内では一番安定して強そうだ、という事でチーム内騒然となりました。
このデッキは最速で 《老いたる深海鬼》 をプレイするのに適したデッキで、土地をタップできる 《老いたる深海鬼》 は非常に重い 《約束された終末、エムラクール》 の天敵。

このデッキの台頭で『赤緑昂揚』の価値は一気に急落…かに見えましたが、このデッキ事態ムラが激しいデッキかつ、PTで使うとなると調整期間が短すぎるため持ち込むチームは少なそうだという事で影響はそこまで大きく無さそうだという事で若干不安はありますが変わらずPTで使用する事を決めました。

最終的に使用したリストはこちら。

メインボード

《見捨てられた神々の神殿》 《世界を壊すもの》 は最初持ち込んだ時はメインボードに採用されていなかったのですが、チーム調整の結果採用となり、どちらも大幅にデッキの安定感を底上げしてくれました。

《世界を壊すもの》 は対コントロールで強い事は勿論のこと、 《コジレックの帰還》 を誘発させる事ができる、 《約束された終末、エムラクール》 の4枚目としてのポジションが非常に重要で、バントカンパニーのようなビートダウン相手にも頼りになります。
Shrine of the Forsaken Gods / 見捨てられた神々の神殿
実質カードタイプを追加している事に
《見捨てられた神々の神殿》 《約束された終末、エムラクール》 を召喚する際のキーカードで、これを採用した事で思い切って 《炎呼び、チャンドラ》 の減量やエンチャントの不採用に踏み切る事ができました。というのも、このデッキは 《約束された終末、エムラクール》 はおおむね7~9マナでプレイする事になるので、土地じたいは7マナまで伸ばさなくてはいけません。

その際 《見捨てられた神々の神殿》 があれば8マナ換算になり、プレインズウォーカー・アーティファクトの内どちらかが無くても土地7枚でプレイする事が可能になります。 《見捨てられた神々の神殿》 じたいも 《ウルヴェンワルド横断》 でサーチが可能なので、場に出る率は高いです。

サイドボード

サイドボードで目を引くのは 《稲妻織り》 でしょうか。これは 《無私の霊魂》 を使ったデッキや、白単人間のようなタフネス1を採用したビートダウン対策です。到達が付いているので青白スピリットのような飛行ビートにも強いです。これは三原さんが赤単ゴーグルのサイドボードで合宿中に使用していたテクニックを流用させていただきました。そういった自分だけでは気が付かないアイディアが共有できるのも、複数人で合宿やっている利点ですね。
Goblin Dark-Dwellers / ゴブリンの闇住まい
万能サイドボード
サイド後は消耗戦に強い 《ゴブリンの闇住まい》 を主軸としたサイドボードをします。ビートダウン相手には 《龍詞の咆哮》 と一緒に、コントロールには 《ニッサの巡礼》 《ウルヴェンワルド横断》 でリソースを増やすというほとんどのマッチでサイドインできる、非常に頼りになるやつです。

サイドボードの仕方は、少々複雑で、これといった決まりは無く各種少しずつ減らしていく事が多いです。基本的には 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 《炎呼び、チャンドラ》 《搭載歩行機械》 のようなボンヤリしたカードや 《焦熱の衝動》 《コジレックの帰還》 のようなコントロールに効かないカードが減量対象です。

特に 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 《炎呼び、チャンドラ》 《搭載歩行機械》 、各種インスタントが減量された後は昂揚達成が難しくなるので、基本的にはほとんどの相手に2枚抜きます。逆に 《約束された終末、エムラクール》 はデッキの核なので 《無限の抹消》 を撃たれる相手以外にはほとんど3枚とも残します。


多少不安は残るものの、赤緑昂揚を選択した僕含む合宿メンバーの6人。果たして待っている結果は…?

4.PTシドニー

発表された1stドラフトポッドにはGPマスターレースTOP集団の一人クリスティアン・カルカノの姿が。彼自身日本人と仲が良いので、顔見知りです。

1stポッドから殿堂、プラチナ合わせて2~3人いる卓によく入るのでカルカノ以外は特に殿堂やプラチナプレイヤーは見当たら無いこの卓は比較的マシな卓に入ったと一安心。
Ulrich, Uncontested Alpha / 揺るぎない頭目、ウルリッチ
文句ない初手カードだが赤緑はやりたくない!
ドラフトは初手 《揺るぎない頭目、ウルリッチ》 を剥いたものの、赤緑は最弱のカラーコンビネーションという認識があったのでピックだけしてそのまま青赤路線に。 《謎の石の断片》 が取れたので無事 《揺るぎない頭目、ウルリッチ》 はタッチできました。

《騒乱の歓楽者》 《忘れられた作品》 等他のレアにも恵まれ、初戦に当たったカルカノをなんとか倒し2-1。2回戦では最弱と言っていた赤緑にコテンパンにされました。GPでも赤緑に負けたので認識改めた方が良さそうですね。
Languish / 衰滅
ウェルカム除去デッキ
いよいよここからは構築ラウンド。黒い 《衰滅》 をプレイするデッキを倒しにきた結果は…。

○ 白黒コントロール(菅谷さん)
○ アブザンコントロール
○ 青黒ゾンビ(マルシオ・カルバロフ)
△ タコミッドレンジ(ポール・リーツェル)
○ 黒緑昂揚

なんと4-0-1!!

読みもピシャリで黒系コントロールと3回当たって3勝と、流れを感じました。

苦手とするポール・リーツェルのタコミッドレンジ相手に引き分けをもぎ取れたのは大きく、続くラウンド引き分けゾーンの黒系コントロールと当たる事ができました。

これで初日の結果は6-1-1と4敗以上が十分に狙える位置に付ける事ができました。引き分けてしまった以上は4敗ができなくなったので、最早狙うはTOP8です。

ただ不安もありました。というのも 《約束された終末、エムラクール》 は時間がかなりかかるカードで、明日も引き分けが起きてしまう可能性があるという懸念がここにきて出てきたのです。これ以上の引き分けは負けとほぼ同じ。明日は引き分けが起きない事を祈って2日目に臨みます。

2日目のドラフト2ndポッドは豪華面子。プラチナプロのパスカルメイナード、サム・パーディPT優勝のスティーヴ・ルービン等々。流石に2番卓なだけあって卓は非常に濃い面子となりました。

戦略は特に変えず、青を決めてそのまま流れで青赤に。 《熱病の幻視》 が2枚取れたので 《熱病の幻視》 スペシャルだ!と興奮しつつも結果は1-2。

初戦こそ 《熱病の幻視》 で勝利したものの、2回戦目で 《アーリン・コード》 をタッチしてあるスティーヴ・ルービンに負け、3回戦目はマナフラ&スクリューで一瞬で負け。この大事な局面で得意のドラフトでこけてしまいました。

プロツアーでドラフト1-2した事自体が2年以上経験が無く、ましてやドラフトの成績が3-3以下は3年以上無かった事なのでかなりショックを受けました。

得意のドラフトで2日目1-2…。

ショックを受けつつも、このシチュエーションに見覚えがある事を思い出しました。そう、僕がPTアヴァシンの帰還でTOP8入った時の事です。あの時も初日1敗から2日目1-2でへこんでいました。

あの時使っていたデッキは墓地を肥やしてリアニメイトする『人間リアニメイト』。今回使ってるデッキも墓地を肥やして 《約束された終末、エムラクール》 を高速召喚するデッキで、類似しています。

これはフラグ…!と気分を切り替え、構築ラウンドに臨みました。ちなみにラインが高いので当たり前ですがここからはボスラッシュです。

○ 2日目構築初戦:黒緑昂揚(中村修平)

初戦からなかしゅーさんと当たりました。なかしゅーさんもプラチナがけなのでお互い負けられない試合です。

初戦は相性差で押し潰したものの、2本目は 《森の代言者》 《残忍な剥ぎ取り》 のビートダウンが決まってしまって負け。3本目もライフ4、相手の場に昂揚状態の 《残忍な剥ぎ取り》 2体と絶体絶命の場で、トップデッキしたのは 《約束された終末、エムラクール》

相手の手札と場をまっさらにして無事逆転勝利しました。 《約束された終末、エムラクール》 以外はほぼ負け、しかも1枚サイドアウトしていて、1枚墓地にある状態でトップデッキしたのは流石にできすぎで、流れは間違いなくあると感じました。

○ 2日目構築2回戦:黒緑昂揚(マイク・シグレスト)

プロツアーTOP8常連、強豪チームフェイス・トゥ・フェイスの猛者です。

ですが、前のラウンドでサイドボード後の戦略が分かっていたので除去を多めに残すサイドボードで相手のクリーチャーを壊滅させ、難なく勝利。元々相性は良いため、前のラウンドで得た経験が大きかったです。

○ 2日目構築3回戦:赤緑昂揚(覚前輝也)

次辺りそろそろ当たるかもねーとか言っていたら、本当に当たってしまいました。勿論同じ調整チームで、75枚ほとんど同じリストです。

お互いゴールドレベルがかかっているので、やるしかない、辛いマッチアップが実現してしまいました。

試合は1本目ダブルマリガンで負け、2本目、3本目は 《ニッサの巡礼》 《ゴブリンの闇住まい》 ( 《ニッサの巡礼》 )→ 《世界を壊すもの》 を2連続で決め勝利。試合終了後に覚前君から「流石に回りすぎ」の一言が漏れるほどでした。

覚前君からは「あのなかしゅー戦の 《約束された終末、エムラクール》 TOPデッキした辺りで流れがあると思ってたから当たりたく無かった。頑張ってよ!」と自分のゴールドレベルへの道が無くなった後でも激励してくれて、涙が出そうになりました。

○ 2日目構築4回戦:バントスピリットカンパニー

遂に後2勝でTOP8。2日目構築ラウンド全勝縛りと苦しい条件が、現実的なものになってきました。

ここで当たったのは会場の中でも珍しいバントスピリットカンパニー。ですがこのマッチアップは、合宿メンバーの遊々亭プロの高尾君が調整で使っていたのでデータは十分にあり、サイドの 《稲妻織り》 もいるので不安はありませんでした。

初戦は先手の利を活かせて勝利。2本目は 《約束された終末、エムラクール》 を3回プレイし毎回相手の手札と場を壊滅させるも 《薄暮見の徴募兵》 でリソースが復活し、 《ネベルガストの伝令》 《約束された終末、エムラクール》 がタップされ続けられて負け。

この時点で残り時間は8分程。不安となった引き分けが現実的なものになってしまうと思われましたが…。

《搭載歩行機械》 《搭載歩行機械》 《ゴブリンの闇住まい》 《稲妻織り》 《ゴブリンの闇住まい》 とクリーチャーを理想的にプレイする事ができ、延長5ターンでピッタリ相手のライフ15点を削りきる劇的勝利でなんとか最終戦に臨みを繋げる事ができました。

○ 2日目構築5回戦:赤緑昂揚ランプ(レイド・デューク)

ここにきて本物のラスボスが登場です。

この時点ではリストの詳細は分かりませんが、メインに 《面晶体の記録庫》 《面晶体の這行器》 が採用されているのは確認済みです。

同じコンセプトながら、メインからマナ加速が多く採用されている分相性は悪いと言えます。肝心のダイスロールも敗北してしまいいざ始まった一本目は…。

《面晶体の這行器》 《面晶体の記録庫》 →墓地を肥やして→ 《約束された終末、エムラクール》

と先手の最強クラスのまわりで相性差を見せつけられる敗北。

遂にここまでか…と思いきや、2本目は先に 《約束された終末、エムラクール》 をプレイでき無事勝利。

勝負は3本目。今度は後手で厳しいゲームになりそうな中、なんと奇跡的にまたもやこちらが 《約束された終末、エムラクール》 を先にプレイ!デュークがトップした 《世界を壊すもの》 で自身の土地を追放し、更に 《コジレックの帰還》 でデュークのマナクリーチャーも一掃。墓地の 《世界を壊すもの》 の能力で更に土地を一つ生贄に捧げ、ついでに相手の場の 《龍王アタルカ》 《約束された終末、エムラクール》 でブロック…すればいいのに、プロテクションインスタントと 《コジレックの帰還》 のルーリングを勘違いして攻撃させないここにきて痛いプレイミスをしてしまいます。

とはいえマナ基盤がズタボロになったデュークに逆転の目は無く、勝利はほぼ僕のもの…かに見えたのですが、ここで最大の敵『時間』が現れます。

ここでも延長ターンに突入し、後は 《約束された終末、エムラクール》 と場に出したX=2の 《搭載歩行機械》 で攻撃するだけ…といったところで、どうやっても2点と15点で17点しか届かない事に気が付きます。ここで相手に追加ターンを与える 《約束された終末、エムラクール》 の弱点がモロに出てしまいました。

何か引かないと負け…。そんな想いで延長3ターン目、2点を入れるタイミングで引いたのは 《集団的抵抗》 !!!

本体に3点のモードがあるので、このまま何事も無ければ15点+3点でピッタリ20点!足りた!!

延長5ターン目に無事15点のアタックが通り、 《集団的抵抗》 は本体3点で!

デューク「マナ払ってね」

興奮している僕を落ち着かせるかのようにデュークは言って、僕がマナを払い、再度スペルをキャストした時に、デュークから握手の手が伸びたのでした。

× 3日目TOP8準々決勝:白黒コントロール(ルーカス・ブロホン)

目標としたTOP8に入る事ができ、無事シーズンをゴールドレベルで終える事ができました。

ここからはボーナスチャンス!しかも初戦は相性が最高に良い白黒コントロール!これは優勝見えた!

と思いきや、まさかのサイドボード後3連敗…。

ハンデス、 《骨読み》 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 、必要なだけの除去、サイドボード後全てを毎ゲームキチンと引いたルーカスはその後も一本も落とす事無く優勝しているあたり、まさしく今日の人でした。

5.最後に

という訳で、TOP8に入賞する事ができて、無事シーズンの最後をゴールドレベルで終える事ができました。優勝こそ逃したものの、優勝できなかったからこそ、また優勝を目指して、高いモチベーションでマジックができるので、これはこれでシーズンの終わり方としてはありかなと思います。

今回はPTシドニーじたいをパスして、来シーズンのPTホノルルに権利を回す、という選択ができたにも関わらず、ゴールドレベル獲得のために出場を決意したのは様々な人達の後押しがあったからに他なりません。

現地の合宿場を手配していただいたCygames様、ビザ獲得の手引きを教えてくれたいとりなさん、PT期間中宿に泊めてくれたやまけん、一緒に調整した合宿メンバー。

そして、どう見ても勝ち目が薄い挑戦を許可してくれた上司でありスポンサー契約を結んでいる若山さん。

僕一人では絶対に成し遂げられなかった事で、皆に感謝してもしきれません。本当に感謝しています。

勿論応援していただいた皆様にもたくさんの勇気をいただきました。この場で改めてお礼申し上げます。

僕は他のトッププレイヤーの人達と比べてこのマジックというゲームに向いているとは思いません。ですが、こんな僕でもPTTOP8に入れる、マジックは懐が深いゲームだという事を証明していくためにも、プロという肩書に恥じぬよう頑張っていきますので、今後とも応援の程よろしくお願いいたします。

それではずいぶん長いレポート記事となってしまいましたが、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。それではまた次回のレポート記事でお会いしましょう!
連載コラム

ライター
ライターコラム

Page Top