企画記事

行弘賢のプロツアー・アモンケット3位入賞レポート!

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時は遡り、4月上旬。

ゴールドレベルへのプロポイントの上乗せ2点が必要かつ、プラチナレベルへの期待もあった僕は、GPメキシコのチームリミテッドに参加するべくメキシコの地に居た。

相次ぐ飛行機の搭乗トラブル、長い搭乗時間等でチームメイトのTeameCygames所属プロの渡辺、BigMagic所属プロの松本さんは現地の金曜夜に到着と二人のコンディションは決して良いとは言えなかった。僕は乗り継ぎが上手くいったおかげで夕方に到着したとはいえ、疲労の蓄積は隠す事ができなかった。
そんな中、翌日のGP本戦で開封した12パックのレアは散々なものだった。

3人のコンディションも優れず、更にプールも弱い。そんな悪夢のような渦に飲まれた僕らはあっさりと初日で敗退してしまった。

メキシコまでの旅費は決して軽いものでは無く、13万円程度はかかる。この敗退はかなりの痛手となってしまった。

だがこの敗北は無駄では無い。プロツアーで絶対に勝つという強い意志を持つ事ができた。そう自分に言い聞かせて、翌週のフルスポイラー発表を迎えた。

チーム武蔵的スタートダッシュ

前回のプロツアーからフルスポイラー発表後からプロキシーカードを使用して調整を開始する、スタートダッシュ調整方法を採用している。

前回は僕にTeameCygames所属プロ渡辺、覚前に晴れる屋所属プロの原根を加えた4人がスタートダッシュメンバーだったが、今回はそれに加えて晴れる屋所属プロの八十岡、TeameCygames所属プロの山本も加わり、仕事の都合で参加が難しいTeameCygames所属プロ市川はMOを中心に調整し、密に連絡を取り合い情報を共有しあうという方法で、遂に武蔵6人が調整段階から勢揃いする事になった。前回から参加してくれている原根も非常に頼りになる存在で、世界中を探してもこれほどの調整チームは中々存在しない確信があった。

今回はスタートダッシュ段階の有力デッキがいくつかあり、『白黒ゾンビ』、『白黒トークン』、『赤緑ロナス』、『緑黒ロナス』等が新アーキタイプとして可能性を感じさせたが、 《栄光をもたらすもの》 を手に入れ強化された『サヒーリコンボ』に手も足も出なかった。

スタートダッシュを始め一週間が経ち、プレリリースも終わって禁止改定が発表され禁止が何も出なかった時は、『もうサヒーリコンボに本腰入れて調整開始しようか』と暗雲立ち込め始めた中、まさかの突如追加禁止改定によりサヒーリコンボが禁止となる。

これは僕の中では非常に嬉しい事だった。何故なら僕が好きなアーキタイプはミッドレンジに近いビートダウンな為、僕が作ってくる新たなアイディアはそれらに対して非常に相性が良いサヒーリコンボが駆逐してしまっていたからだ。
Rhonas the Indomitable / 不屈の神ロナス Anointed Procession / 選定された行進 Angel of Sanctions / 賞罰の天使
新カードを使用した新たなアーキタイプが活躍
サヒーリコンボに不利、という理由で調整を諦めた『アブザンミッドレンジ』、『白黒トークン』、『白黒ゾンビ』、『赤緑エネルギー』等が調整会に復帰しだし、そこそこの活躍を見せる中、特に『白黒トークン』は 《選定された行進》 という新しいカードかつ、対戦相手にデッキの構成を読まれにくいアドバンテージが大きそうだという事で、BigMagicOpenで試す候補に。

その時点で有力候補であったマルドゥ機体を渡辺と覚前が、アブザンミッドレンジを原根が、ジェスカイコントロールを八十岡がとそれぞれが現時点で有力だと思う候補でいざ出陣。僕は自分で調整を重ねていた白黒トークンを使った。

なおこの時点で白黒ゾンビはポテンシャルが不足しているとの事で調整を断念してしまった。

僕自身の結果は3-3。渡辺、八十岡、原根も振るわずにそのまま中華街に早めのディナーへと繰り出す事になった。

一方覚前は8-1という好成績で終える事ができ、『マルドゥ機体』の強さの証明を見せた。
Censor / 検閲 Glorybringer / 栄光をもたらすもの
前環境から活躍するアーキタイプは更に上の次元に
だが、翌日開催されたBMIで山本が使った『ティムール霊気池』がこれもまたTOP8入賞と好成績を残し、ここに『マルドゥ機体』、『ティムール霊気池』と最強の仮想敵、そして使用候補に挙がる2つのデッキが見えて来た。ここに八十岡が作成した『ティムールタワー』が好感触だ、という事まで分かってきて、結局以前の環境のアップデートしたデッキのどれかでプロツアーを出る事になりそうという予感がしてきた。

グランプリ北京へ

いよいよメタゲームもある程度分かってきて、調整も佳境に入ろうかという中、武蔵の大半は何故か中国は北京の地にいた。

今回はプロツアー前週にリミテッドのグランプリ北京が開催され、それに参加するべく僕、渡辺、覚前、山本、市川の5人はプロポイントの上乗せへの期待と、ドラフトの経験値を積むという名目で北京へと来ていたのだ。

今回も僕は恒例のCygamesドラフト合宿に参加させていただき(本当にいつもありがとうございます!)、3日間ある日程の内2日を消化した時点で8勝16敗と最早スランプに陥っていたが、負け方はなんとなく分かったのでその道筋を辿らぬよう意識して3日目は10勝2敗で折り返す事ができ、環境への手ごたえは感じていた。

この環境僕が提唱するドラフトのプランは『緑を触らない』、『赤軸ビートダウンか青白をやる』、というもの。

緑は多色化の路線こそ強力になる時はあれど、ビートダウンプランにおいては白・赤の2色の速さに追いつけない為、極力避けた方が良さそう。更に、赤軸ビートダウンは間違い無く環境最強アーキタイプの一角な為、狙えるなら狙う。

青白に関してはレアや 《釣りドレイク》 がピックできるかどうかで行けるかどうかが決まるが、環境の速度に唯一受ける形で合わせる事ができるカラーリングなので、流れが良いときは積極的に狙っていく。

これらの理論が正しいかどうかを実証すべく、グランプリ北京では是非とも2日目に行きたかったのだが…。

まさかの初日落ち!!

明確にシールドの練習不足のせいだったので、流石に一回も練習しなかったのは不味かったなと反省し、2日目は初日落ちした日本人の皆とドラフトをたくさんした。

その中で、理論上自信のあった青白は2-1、赤黒は3-0する事ができ、特に赤黒の手ごたえを強く感じていた僕は、本戦でも赤黒狙えたら良いなーと思いつつ、北京の地を後にしたのだった。

相棒との再会

リミテッドの練習を兼ねたグランプリ北京から帰国した月曜日、疲れこそあるものの、練習を再開した。八十岡謹製の『ティムールタワー』がどれ程強いのか…というのを確かめるべく一日を費やしたが、ティムール霊気池がメインで採用し出した 《造反者の解放》 《電招の塔》 にクリティカルで、マルドゥ機体に対しても明確な有利はつきそう無いという事で調整を断念。

そんな訳で僕らはマルドゥ機体とティムール霊気池の2択を選ぶ段階まで調整を進めた。メタの中心ではあるものの、覚前君の独自のチューンが光る、同型に強いマルドゥ機体と、山本の実践値とコンボ・コントロールに長けたチームメイトティムール霊気池。果たしてどっちが良いのか…。

僕はといえばどちらを選ぶでも無く、仮想敵として鍛え続けた緑黒エネルギーの可能性について考え続けていた。

黒緑エネルギーはメタの中心では無いのでマークが薄い為、本戦で使えるならば使いたい。ただ、現状の構成ではサイド後ティムール霊気池にこそ有利が付くものの、マルドゥ機体のサイド後のコントロールプランを乗り越える事ができない…。

そもそもマルドゥ機体の地上を固めてプレインズウォーカーを出すプランに対して緑黒の2色では対処手段がほとんど無い為、流石に今回は最早諦めて使用候補のどちらかを選んだ方が良さそうだ…。そんな諦めムードの中、突如降ってきたアイディアが一つ生まれた。それこそが…、 《ホネツツキ》 だった。

話の前後こそ変わるが、 《キランの真意号》 を採用すれば 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 に対してプレッシャーをかける事ができるのではないか。更にそこに搭乗しやすく、飛行のクロックとして 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 に強い 《ホネツツキ》 が可能性があるのでは無いか、と思い至ったのだ。

《ホネツツキ》 自体は 《歩行バリスタ》 との相性もある為、無理なく緑黒エネルギーに採用する事ができる。

最後にこれだけ試させて!とある程度デッキが決まりつつあったチームメイトにお願いして、ホネツツキ型黒緑エネルギーをテストプレイしてみると、まさかのマルドゥ機体に有利、ティムール霊気池にも有利、という僕らが作り上げた仮想メタゲーム上の2大メタデッキに有利を付ける事ができた。

本戦の分からん殺しとメタゲーム外な点も含めるとかなり勝機が有りそうだ!!と思いつつも…、チームメンバーが組み上げたティムール霊気池の完成度もかなりのもので、結局どちらを使うかはまだ『保留』という事で、日本での調整は終わり。ナッシュビルへと旅立ったのだった。

予想外の刺客現る

現地に到着後、ここ最近ほとんどの飛行機の搭乗に失敗している渡辺がまたもや乗り継ぎに失敗し、僕と市川、覚前の3人が先に到着する形に。

とはいえ2時間遅れで渡辺・山本も合流するとの事で、全員が合流したのは17時くらい。そのまま会場に乗り込むと予想だにしない事態に…。 そう、バイヤーブースで 《無情な死者》 が30ドルで販売されていたのだ。

《無情な死者》 が30ドルで販売というのは、かなりの高騰を示していて、明日のプロツアー本戦ではゾンビデッキが会場に多い可能性がある。そんな突然の前情報を手に入れた武蔵は急遽ミーティングとテストプレイを開始。

そして分かったのは、ティムール霊気池では黒単ゾンビに勝つのはかなり難しい、という事。

テストプレイの段階で抜け落ちてしまった黒単ゾンビを今からデッキの構造を変更して勝ちに行こうとすると、他のマッチアップとの整合性が取れなくなってしまう為、急遽サイドに 《光輝の炎》 を2枚追加して対応する事に。

黒緑エネルギーはといえば、ほぼ五分だろう、という結果に。確かに除去が多く、それ事態は苦手な相手なのだが、こちらの飛行のクロックが強力なのと、 《歩行バリスタ》 が一度生き残ってしまうとそのまま盤面を制圧してしまうからだ。

黒単ゾンビがもし多い場合は、ティムール霊気池にとっては向かい風になってしまう。そんな中チームのほとんどがティムール霊気池を使ってもし結果が振るわなかったら、チームシリーズで上位2チームに残るのは難しくなる。

そして僕は、そのリスクを分散するべく、緑黒エネルギーでプロツアーに参戦する事に決めたのだった。実際に登録したデッキはこちら。

ホネツツキ緑黒エネルギーの全貌


《ホネツツキ》 《キランの真意号》 を採用する為に、 《新緑の機械巨人》 を思い切って0枚に。 《新緑の機械巨人》 は強力な反面、 《ピーマの改革派、リシュカー》 経由でないと場に出せない事がよく起こり、初手にあっても登場までのラグのせいでゲームに敗北する事もあった。

《新緑の機械巨人》 を不採用にしたおかげで、土地が少ないハンドをストレス無くキープできるようになったのは事故が多かった緑黒エネルギーとしてはかなり嬉しい改善で、安定性は向上した。

基本的なサイドボードプランはこちら。

マルドゥ機体

in
4 《顕在的防御》
1 《闇の掌握》
1 《キランの真意号》
1 《心臓露呈》

out
4 《致命的な一押し》
3 《光袖会の収集者》

除去からクリーチャーを守るプラン。飛行軸でプレッシャーをかけたい為 《キランの真意号》 も入れる。読み合いになるが、コントロールプランを取ってこない場合は 《刻み角》 も2枚入れる。

ティムール霊気池

in
3 《刻み角》
2 《没収》
2 《不屈の追跡者》
1 《心臓露呈》
4 《顕在的防御》

out
2 《キランの真意号》
4 《致命的な一押し》
2 《闇の掌握》
4 《ホネツツキ》

機能しにくい除去を減らし、除去を減らした都合で上手く使いにくい 《ホネツツキ》 をアウト。

黒単ゾンビ

in
4 《顕在的防御》
1 《闇の掌握》
1 《キランの真意号》

out
3 《光袖会の収集者》
2 《牙長獣の仔》
1 《ピーマの改革派、リシュカー》

飛行軸で攻めたいので 《キランの真意号》 を。除去が多い相手なのでテンポ差をつけるために 《顕在的防御》 を4枚入れる。地上は固いので地上クリーチャーをサイドアウトする。

《ホネツツキ》 《キランの真意号》 という武器を手に入れた緑黒エネルギー、自信もあるがテストプレイの期間が短かったので不安もある。そんな気持ちを抱いたまま本戦を迎えたのだった。

プロツアー・ナッシュビル本戦

ドラフトラウンド

1stドラフト赤黒3-0

初手 《最後の報賞》 というしょっぱいスタートで、2-1も 《枯死コウモリ》 と頭を抱えるものだったが赤の流れが良く、2-2と3-3に 《心臓貫きのマンティコア》 が流れて来てレアがある強力なビートダウンが完成。デッキも応えてくれて3-0。

2ndドラフト赤黒3-0

初手のパックに赤いカードが 《焼き尽くす熱情》 1枚しか無かった為、赤の主張込みで意を決してピック。その後赤の流れはいまいちで、 《呪われた者の王》 から黒へ。

2-2で 《イフニルの魔神》 が、3-1で 《心臓貫きのマンティコア》 を引き、3-2で 《蓋世の英雄、ネヘブ》 が流れてくる幸運もあり、どう見ても3-0デッキが出来上がり3-0。ゲームは一本しか落としませんでした。

構築ラウンド

初日3-2
×ティムール霊気池(渡辺)
○ティムール霊気池
×黒単ゾンビ
○ティムールタワー
○マルドゥ機体

2日目4-1
○黒単ゾンビ
○ティムール霊気池
×緑黒昂揚
○ティムール霊気池
○白黒ゾンビ

ドラフトラウンド6-0、構築ラウンド7-3の2位抜けでTOP8に!

TOP8 3位
○ティムール霊気池
×黒単ゾンビ

初戦のイーフローには3-0で勝ったものの、2戦目のトンプソンに1-3で敗北し3位で僕のプロツアー・ナッシュビルは終わりとなった。

ティムール霊気池とマルドゥ機体に有利で、黒単ゾンビに五分という予想はまさしく的中して、構築ラウンドも思った通りの活躍ができて一安心。

イーフロー戦は中継が行われていなかった2本目に、2ターン目 《キランの真意号》 から3ターン目 《巻きつき蛇》 から 《霊気拠点》 をプレイし、スタックを訪ねると 《蓄霊稲妻》 がキャストされ、そのまま 《ホネツツキ》 に繋がり勝利するという、中継していて欲しかった!なんて考える余裕があり、緊張せずに冷静にゲームを進める事ができた事は非常に良かった。

TOP8も無事一勝する事ができ、これで今シーズンのプラチナレベルが確定した。ナッシュビルは思い出の地となった。

最後に

プラチナレベルが確定した以上、次の目標は世界選手権(プレイヤーチャンピオンシップ)だ。

現在確定してるプロポイントは54点。ボーダーラインは60点と言われている。上乗せ6点を目指して、今シーズンの残りもフルで活動していくつもりだ。

そして、次のプロツアーではチーム武蔵としてチームシリーズで優勝を目指していく。今回のプロツアーで武蔵は2位に20点の大差をつけて1位へと躍り出た。最早武蔵が最強の座を手に入れるのも夢物語ではなくなった。僕共々武蔵も応援していただけると有り難い。

…と、今回は割と真面目な雰囲気を出しつつレポート記事をお送りさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

書いてて途中なんか違うかな…と思いつつ最後まで書き上げたので是非とも感想いただけますと次回以降の参考にさせていただきます。

また、今回も本当に皆様の応援のおかげで元気づけられました。今後共是非とも応援の程よろしくお願い致します。

今週末に迫ったグランプリ神戸も頑張ってまいりますので、是非とも応援の程よろしくお願い致します!それでは!
 
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