企画記事

行弘賢のあのデッキは今 シリーズ1:『Super Mythics』

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皆さんこんにちは!Dig.cards所属プロの行弘賢です!大分間が空いてしまいましたので、まずは近況報告からさせていただきます。

シーズン開幕のプロツアーホノルルは初日4勝4敗から2日目4勝4敗の8勝8敗でプロポイント上乗せ無しの3点フィニッシュ!

翌週のグランプリクアラルンプールでは初日7勝2敗から2日目2勝4敗の9勝6敗でノーポイント!

先週末開催のGP千葉は初日3勝3敗から2日目4勝2敗の10勝5敗でギリギリプロポイント1点!

とまぁ敗けに敗けすぎて最早レポートを書く手も重くなってしまいまして、直近の大会のレポート記事をお送りできませんでした。楽しみに待っていた方は大変申し訳ございません。

ただプロツアーはアーキタイプ解説記事でお馴染み石村と同じデッキの『バント霊気地』で出ましたので、デッキの詳細が気になる方は石村のレポートで詳しく解説してあるので是非そちらを読んでみて下さい。

そしてグランプリクアラルンプールは表題のスゥルタイコントロール『Super Mythics』で参戦しました。

まぁ2日間を通して8勝6敗(3バイを含む)なので実質5勝6敗と負け越している訳で、決してメタゲーム上良いデッキではありませんでした。

さて、結果だけ見れば『悪いデッキ』という烙印を押されてしまうこの『Super Mythics』。このような折角頑張って作ったデッキなのに結果がついてこなかった不完全燃焼なデッキを、この『行弘賢のあのデッキは今』シリーズでは敗因をきちんと分析して作り変えたり反省したりしよう!というのが目的となります。

それでは早速シリーズ1回目『Super Mythics』のその後…の前に、まずは『Super Mythics』がどのようなデッキか説明させていただきます。

そもそも『Super Mythics』とは

『Super Mythics』は黒緑昂揚に 《奔流の機械巨人》 《苦い真理》 を足したデッキです。

大量に採用された除去で盤面を捌きながらドローソースでアドバンテージを取る動きは黒緑昂揚では無く奔流の機械巨人コントロールのような動きをする為、ミッドレンジでは無くコントロールに分類されるデッキです。

基本的なフィニッシュ手段は 《最後の望み、リリアナ》 の奥義か 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 《奔流の機械巨人》 《最後の望み、リリアナ》 で使いまわしとなります。
Nissa, Vital Force / 生命の力、ニッサ
奥義から無限大のアドバンテージを稼ぎ出す長期戦最強のPW
細い勝ち筋とはなりますが、意外と除去連打で 《最後の望み、リリアナ》 を守るか、 《生命の力、ニッサ》 の即奥義で大量のアドバンテージ差を付けて相手の勝ち筋を枯らしてしまえば達成は難しくありません。除去、カウンター、ハンデス、ドロー、頼れるフィニッシャー、そして数々の高レアリティ『神話レア(Mythic)』を使える全てを制する圧倒的支配力は、間違い無くコントロールを使う醍醐味を味合わせてくれるでしょう。

豊富な妨害手段でプレインズウォーカーを守りやすいため、攻めが薄い奔流の機械巨人コントロールや黒緑昂揚のようなミッドレンジに対しては有利に立ち回れます。特に 《生命の力、ニッサ》 はその2つのアーキタイプには暴力的なまでに強いです。
Painful Truths / 苦い真理
ビートダウン相手にはプレイしている暇が無い
逆に白赤機体や赤黒機体のようなビートダウン相手は 《苦い真理》 《生命の力、ニッサ》 が上手く機能しにくいのでメインボードは不利な相手といえます。とはいえ大量に採用している除去が上手くかみ合う展開もあるので先手ゲーな事も多いです。
Grim Flayer / 残忍な剥ぎ取り
アグレッシブサイドボードに最適
サイドボード後は 《残忍な剥ぎ取り》 が優秀な代打要員としてほぼ全てのマッチアップでサイドインします。メインにほぼクリーチャーを採用していないので、対戦相手はサイド後は除去の枚数がかなり減るので、対応されなければゲームを決めうるこの2マナクリーチャーはかなり良い仕事をします。2マナのフィニッシャーながらサイド後コントロール相手に増えてくる 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 にも自然に対応できるのも良い点です。

このように、理屈ではあらゆる相手に丸く立ち回れ、特定の相手には鬼強い構成の『Super Mythics』。

しかし実際にはグランプリクアラルンプールでは思ったより勝つことができませんでした。

その敗北は何故起きてしまったのか、原因は『メタゲームの読み違い』と『カードバランスの問題』の2つにありました。

『Super Mythics』の誤算

メタゲームを読み間違えた

そもそもこのデッキが良いと思った理由はプロツアーの決勝で奔流の機械巨人コントロール同士が残った事で、コントロールが環境に増えそうだと考えたからです。

しかし実際にはプロツアーで決勝を競い合った奔流の機械巨人コントロールはグランプリクアラルンプールのメタゲーム上では少数派でした。

これはある意味当然の結果で、そもそもプロツアーで奔流の機械巨人コントロールがメタゲーム上で優位だったのは霊気池の驚異コンボが蔓延していたからで、その後勝てなかった霊気池の驚異コンボが減り、それとともに優位性が無くなった奔流の機械巨人コントロールも減る、または優位性が無くなり負け組になるのは目に見えていた結果でした。

また、奔流の機械巨人コントロールはロングゲームをするデッキの都合上、環境に合わせた繊細なデッキ調整が必要となるのでプロツアー翌週に使うには準備に時間が足りなかった人もいたでしょう。

このような読み違いにより有利な相手が減ったフィールドはかなりの誤算でした。

ですが、先手ゲーな赤白機体青白フラッシュ、それに続いて緑黒昂揚の3つがトップメタなのは読み通りであり、事実この3つには上手く立ち回れるようにデッキを組んだ為、最悪の結果にはならないはず…だったのですが、それは前述したロングゲームをする奔流の機械巨人コントロールの繊細なデッキ調整が完璧ならばの話。

デッキの調整時間が2日間しか無い短いテスト期間で組み上げたデッキだけに、完璧とは言えない仕上がりになっていると気が付いたのはグランプリのラウンド中でした。

カードバランスが悪かった

グランプリ中に明確に問題と感じたのはカードバランスでした。特に感じた違和感は以下の3つ。

・除去が入りすぎ
単体除去が14枚は流石に多すぎました。除去が入りすぎているせいで 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 の対処に苦しんだり、除去ばかり引いて結局リソースが足りずに負けという展開が多かったです。今だと除去を減らして 《呪文萎れ》 のようなカウンターや、 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 のような除去とフィニッシャーを兼ねる手段を増やします。

・生命の力、ニッサ/Nissa, Vital Force(KLD)が入りすぎ
コンセプトが 《生命の力、ニッサ》 なので仕方ないとは思うのですが、ここはミッドレンジ以上の除去が多めに入ったデッキ以外には効果的に働きにくいカードなので2枚に抑えるべきでした。変えるべき候補は守れば勝てる 《最後の望み、リリアナ》 の4枚目です。

・サイドのゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet(OGW)はやはり蛇足
これは大会前から悩んでいたのですが、 《ゲトの裏切り者、カリタス》 は現在のメタゲームではドレッジがいないので取る必要は無さそうです。グランプリクアラルンプール時点でもサイドインした試合はかなり少なかったです。逆にエンチャント・アーティファクトを割りたい瞬間がかなり多かったので 《人工物への興味》 《自然のままに》 に変えた方が良いと感じました。

これら3つを修正するだけでバランスの問題は大分改善されると思います。特に現在のメタゲームでは 《大天使アヴァシン》 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 と対処に困るカードに対して 《呪文萎れ》 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 はかなり効果的です。

これらカードバランスを修正し、最近再度隆盛してきている霊気池の驚異コンボの事も考慮して今のメタゲームに合わせてアップデートしました。

『Super Mythics』のその後


主な変更点はメインから 《本質の摘出》 を抜いてビート耐性を下げて、 《呪文萎れ》 を採用して霊気池の驚異コンボ緑黒昂揚の二つに耐性を上げました。

更に、 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 も増量した事で除去呪文ばかりを抱えて 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 《最後の望み、リリアナ》 のようなプレインズウォーカーに打ちのめされるケースを減らせているので、特定のカードばかり引いて対応できないケースは以前のリストに比べて格段に減らす事に成功しました。

そしてサイドには 《密輸人の回転翼機》 《停滞の罠》 等割りたい対象がたくさんある青白フラッシュ 《霊気池の驚異》 対策として 《人工物への興味》 を。ほぼ赤白機体にしか効かない 《本質の摘出》 をメインからサイドにを移しました。

これらの変更でカードバランスの問題は大きく改善し、当時よりメタゲーム的追い風もある『Super Mythics』の今は…?

『Super Mythics』の今

プロツアー後のまだメタゲームが読み切れなかった時期と違い、今は明確に『青白フラッシュ』、『緑黒昂揚』、『霊気池の驚異コンボ』、『赤白機体』とメタゲームができあがっているので今こそコントロールを使う理由があります。

このメタゲームが停滞した今こそ、奇をてらった機を見た選択肢を選ぶ理由がある。

だから、

『Super Mythics』は今、あの日掴めなかった栄光を掴むチャンスを伺っている。
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