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石村信太朗のプロツアー『カラデシュ』レポート

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皆さん、こんにちは! rizerこと石村信太朗です。

今回の記事では、タイトルのままに先週10月14-16日に開催されたプロツアー『カラデシュ』の参戦レポートをお送りさせていただきます。

僕のいつものスタイルとしてはじっくり腰を据えたレポートをお届けするところなのですが、今回はスタンダードラウンド5勝5敗ドラフトラウンド4勝2敗、合わせて9勝7敗でフィニッシュとふるわない戦果となってしまったため、攻略や解説要素が少な目の、レポート中心の記事をお送りさせていただきます。

ドラフトもスタンダードもいまいちで、どこをメインの話にするかが悩ましいところですが、幸いなことにデッキをシェアしたTeam Cygamesの渡辺雄也がスタンダードラウンドで7-2-1の成績を残してくれたので、スタンダードデッキの制作過程についてをメインに語らせていただこうかと思います。

では前置きはこのあたりで済ませて、まずはささっと終わるドラフト編から本編をお送りしていこうかと思います!

【ドラフト編~環境認識~】

『カラデシュ』環境は白が強いアグロ環境 Team Cygamesさんのドラフト合宿(いつもありがとうございます!)に共にお邪魔させていただいていたこともあり、環境の大まかな認識はこちらの金民守さんの記事で行弘賢が語るものと似通ったものでした。

トップコモンは 《改革派の貨物車》 であり、その代替である 《航空艇》 も存在しているため、機体を軸にしたドラフト戦略は期待値が高めです。無色であるためどの色でも使えることが重要な二枚ですが、シナジーカードが豊富な赤白黒の三色の組み合わせで構築するのが理想であり、必然的に赤白黒の三色が強カラーとなります。

そして三色の中でも最も使いたい色は 《鼓舞する突撃》 が存在しているです。
製造の存在により環境に溢れているトークンと全体強化の相性は抜群であり、機体ビートダウンと組み合わせて二つの軸とすることで、序盤と後半の両方に強いデッキが安定して完成するのが利点です。 また、色つきカードの中では 《歯車襲いの海蛇》 の強さが群を抜いています。四、五ターン目に登場して相手の攻撃をがっちり受け止める防御力と、ブロックを許さない五点クロックの攻撃力を兼ね備える非常に強力な一枚。

この海蛇をビートダウン用カードとして最も上手く使える青白と、コントロール用カードとして最も上手く使える青黒は積極的に狙っていきたいアーキタイプです。 以上を受けて、今回の大まかなピック方針は以下の形となりました。

1.機体を確保できたなら赤白黒のデッキを目指す。
2.海蛇を確保できたなら青白か青黒を目指す。
3.白が流れてきたならトークン+全体強化を意識してピックしつつ、流れ次第で1や2を目指す。
4.機体も海蛇も白も確保できなかった場合は緑多色か赤緑エネルギーに向かう。

【ドラフト編~結果発表(4-2)~】

それではさくっと結果発表です。

一回目のドラフトは青黒で2-1。
一パック目の四、六、七手目で、 《夜更かし》 《歯車襲いの海蛇》 《自己組立機械》 が手に入る望外の幸運で強力なデッキに仕上がりました。

しかし肝心のゲームの方で青白相手に、四マナで止まっている時にアップキープの 《理論霊気学者》 の占術を怠った結果、二枚目の 《自己組立機械》 をドローしてテンポとアドバンテージを大きくロスする最悪の事態を招き、 《試験飛行士》 から生み出された六体の飛行機械トークンに圧殺されてしまいました。残念。

二回目のドラフトは青白で2-1。
初手が 《光袖会の職工》 で若干気が遠くなったものの、腹をくくって白にのめり込んでいったことで 《歯車襲いの海蛇》 が一枚足りない以外は文句のないデッキを組み上げることができました。

最終戦で上家の石原準さんの青黒相手に、 《航空艇》 を優先して流した 《霊気烈風の古きもの》 が猛威を振るったことで負けてしまったものの、覚悟はしていたためやむ無しの結果でした。

総括として今回のドラフトラウンドについては、ドラフト合宿の成果を活かして満足のいくドラフトができたので大きな反省点はありませんでした。

願わくは未来の自分がプレイミスを減らして3-0してくれますようにということで、スタンダードの話に移っていきたいと思います。

【スタンダード編~デッキ製作の過程~】

当初想定していたメタゲームは徹底的な 《密輸人の回転翼機》 環境。

速度に優れる赤白・赤黒アグロ
応用力に優れる黒緑昂揚
制圧力に優れるタコミッドレンジ これら三つの 《密輸人の回転翼機》 を軸にしたビートダウンデッキを中心に、爆発力のある霊気池の驚異コンボが第二メタ、コントロールに自信がある人が持ち込む奔流の機械巨人コントロールが第三メタとして存在しているイメージでした。

そのため、オリジナルデッキを組む際にはまずはビートダウンデッキに勝つことが第一関門となったわけですが、これが難航しました。
ダイナミックな動きができる 《金属製の巨像》 に惚れ込んで、除去の的となる 《鋳造所の検査官》 を使わない形でのデッキ構築にチャレンジしたものの、なかなか勝率を安定させることができませんでした。

具体的には、お互いに自由に動くことが許されるメインボードはある程度の勝率を記録できたものの、妨害カードの影響を大きく受けるサイドボード後の勝率が芳しくありませんでした

アーティファクトが横に並ばないと何もできないデッキであるため、コントロールデッキ相手はおろか、赤白機体 《断片化》 や、ティムール霊気池の驚異コンボの打ち消し呪文でさえも致命的となることがしばしばな有様です。

プロツアー本番でもアーティファクトへの対策は激しいことが予想されたため、早い時期に 《金属製の巨像》 デッキの断念は決定しました。 しかし、アーティファクトヘイトの激しさから 《金属製の巨像》 こそ諦めたものの、 《霊気池の驚異》 の方はそう簡単には諦められませんでした。

下準備の手間の大小や除去耐性の差など理論的な要素もありましたが、一番の要因は愛情です。

歴代で最も愛着のあるデッキの一つである 《輝く根本原理》 デッキ(→真ん中あたりにあります)と似通った動きができる 《霊気池の驚異》 《約束された終末、エムラクール》 への偏愛が強く、他の調整メンバーが理性に従って他のデッキの調整を進める中、黙々と 《霊気池の驚異》 デッキを触り続けていました。 環境にはすでにいわゆるティムール霊気池と呼ばれるタイプのデッキが存在していたものの、 《霊気池の驚異》 に依存しすぎているが故に、レベルの高いプロツアーではサイドボード後に対策カードの群れにめった刺しにされる光景が容易に想像できたため、 《霊気池の驚異》 を素早く確実に起動することを目標にするのではなく、 《霊気池の驚異》 以外の勝ち手段を探るアプローチをとることにしました。

そして辿り着いたのが黒を使った霊気池の驚異コンボでした。
行弘賢の 《陰謀の悪魔》 がメタゲーム上強いという金言を受けて構築したのがこちらの黒緑霊気池の驚異コンボ。

Grasp of Darkness / 闇の掌握 Kalitas, Traitor of Ghet / ゲトの裏切り者、カリタス Demon of Dark Schemes / 陰謀の悪魔

安定した除去能力と 《ゲトの裏切り者、カリタス》 の制圧力によりビートダウンデッキに強く、 《霊気池の驚異》 を設置しても今までは数の力で押し切られていたような場面でも 《陰謀の悪魔》 を相手の戦闘フェイズに呼び出すことで逆転することが可能と魅力に溢れたデッキでした。

しかし、残念ながらこのデッキにもプロツアーで使用するためには無視できない問題が存在していました。

いわゆるメタデッキの構成をとっているためローグデッキに弱い、奔流の機械巨人コントロールに勝ちきれない、など細かい弱点もあるましたが、致命的だったのはオーソドックスなティムール霊気池の驚異コンボに相性が悪かったことです。

MO(マジック・オンライン)でも徐々に勢力を拡大しており、カウンターデッキとして赤緑エネルギーが定着するまでに流行っていたティムール霊気池の驚異コンボに勝てないことは決して無視できる事柄ではありませんでした。
ビートダウンデッキでティムール霊気池の驚異コンボに安定して勝つことは非常に困難であるため、ビートダウンデッキの調整中に心が折れてティムール霊気池の驚異コンボに乗り換える参加者が少なくないことが予想されたため、当初の想定メタゲームよりも霊気池の驚異コンボへの警戒も強まっていました。

そして残酷なことに霊気池の驚異コンボ対決では、ティムール霊気池デッキはとても優れていました。

Cathartic Reunion / 安堵の再会 Ceremonious Rejection / 儀礼的拒否 Negate / 否認

八枚フル搭載された大型エルドラージが 《霊気池の驚異》 コンボの成功率を高め、 《安堵の再会》 《発生の器》 が高い安定性と 《約束された終末、エムラクール》 の召喚速度の優位性を保証して、サイドボードの 《否認》 《儀礼的拒否》 のおかげで 《霊気池の驚異》 をめぐる戦いにとても強かったのです。

その牙城は黒緑霊気池のサイドボードの手札破壊程度では簡単には崩せるものではなかったため、足踏みの時間が長く続きました。

【スタンダード編~バント霊気池の誕生~】

そんなこんなで黒緑霊気池の調整に貴重な時間を消費していたわけですが、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが僕がプロツアー本戦で使用したデッキは黒緑の霊気池の驚異コンボではなく白青緑のバントカラーの霊気池の驚異コンボです。

つまり黒緑の霊気池驚異コンボとはすっぱりお別れすることになるわけですが、そのきっかけは 《異界の進化》 から 《新緑の機械巨人》 を呼び出すおしゃれなバントミッドレンジとの対戦にありました。

Eldrazi Skyspawner / 空中生成エルドラージ Eldritch Evolution / 異界の進化 Verdurous Gearhulk / 新緑の機械巨人

《霊気池の驚異》 《呪文捕らえ》 に吸い込まれ、 《実地研究者、タミヨウ》 がもたらす膨大なアドバンテージに完封されて負けた時に思いついたのが、この 《霊気池の驚異》 コンボに強い動きを 《霊気池の驚異》 デッキに取り込もうという考えでした。
《秘蔵の縫合体》 《無私の霊魂》 を無視できる全体除去の 《罪人への急襲》 や、 《安堵の再会》 のかわりとなる 《ジェイスの誓い》 など目をつけていたカードも無理なく取り込めたことで、思いつきから始まったにしてはバランスのいい会心の出来のデッキとなりました。

手始めに参加したスタンダードリーグもあっさり4-0したことでテンションはうなぎのぼり状態。
早速、喜び勇んで黒緑霊気池を一緒に調整していた行弘賢にデッキ画像を送りつけたところ反応は下の通りでした。
若干しょんぼりしましたが、紆余曲折あって渡辺雄也も含めて三人がバント霊気池の使用を決め、調整していくことになりました。

【スタンダード編~本戦使用デッキリスト~】

そして、調整と意見交換の結果、完成したデッキリストがこちらです。

いつもならここからがっつり解説していくところですが、今回のデッキは初見殺しに特化したプロツアー専用デッキとしての特徴を持つため、詳細な解説は省略してアーキタイプ解説風にデッキの仕組みを記すにとどめたいと思います。

バント霊気池とは?

Spell Queller / 呪文捕らえ Tamiyo, Field Researcher / 実地研究者、タミヨウ Aetherworks Marvel / 霊気池の驚異
バント霊気池は、 《霊気池の驚異》 から大型エルドラージを召喚する動きを主軸に置きつつ、

1.二種類の組細工を用いて四ターン目に 《霊気池の驚異》 を起動する高速コンボプラン
2.クリーチャーと 《実地研究者、タミヨウ》 の組み合わせによるクリーチャーコントロールプラン
3. 《罪人への急襲》 による全体除去コントロールプラン
4.サイドボード後のクリーチャー増量によるビートダウンプラン

上記四つの豊富なプランを持つことを特徴とするコントロール型のコンボデッキです。

《呪文捕らえ》 《霊気池の驚異》 からの 《罪人への急襲》 、サイド後のビートダウン戦略など豊富な初見殺し要素も特徴となっているため、対戦相手のミスプレイを誘いやすいのもデッキの利点です。また、二つの特徴を組み合わせることでゲームごとに相手に見せる側面を変えることができます。

《呪文捕らえ》 が刺さった次のゲームでは 《呪文捕らえ》 を全てサイドアウトしてコンボとコントロールに専念したり、 《実地研究者、タミヨウ》 を囮にクリーチャーを引き付けてから一本目で見せていなかった 《罪人への急襲》 を無警戒の状況で唱えるなど、相手の裏を掻くことを意識して構築されたデッキとなっています。

想定していた得意な相手はビートダウンデッキ全般と 《霊気池の驚異》 コンボデッキ。前者相手は、単純に霊気池の驚異コンボとして有利に立ち回ることができ、メタゲーム上非常に強力な 《罪人への急襲》 はもちろん、 《呪文捕らえ》 《実地研究者、タミヨウ》 の組み合わせも有効に働きます。

後者相手は、 《呪文捕らえ》 がキラーカードとなり有利に立ち回ることができます。
サイドボード後のクロックパーミッション戦略も有効であり、通常相手がサイドインしてくる打ち消し呪文は効果が薄いため、三本のゲームのうち二本を獲得することは決して難しくありません。

想定していた苦手な相手は赤緑エネルギービートダウン奔流の機械巨人コントロール

前者相手はスピード負けしている上に、 《儀礼的拒否》 《否認》 をプレイされることもしばしばで相性は最悪に近いです。
後者相手は長期戦になると手も足もでませんが、序盤戦で勝負をつけるのもそれほど得意ではないため、総合的に見て相性はあまりよくありません。

【終わりに~バント霊気池の今後~】

そんなこんなで、誕生したバント霊気池もプレイミスと薄運には勝てず、今回のプロツアーは次回の権利すら獲れずの敗戦帰国となってしまいました。心機一転してMOPTQやRPTQからじっくり頑張っていきたいと思います。 

また今後のバント霊気池についてですが、こちらで渡辺雄也が語っているように、デッキリストが割れてしまった関係で不意打ちの要素が薄れてしまうため、あまり使用をオススメできないデッキとなります。

ただしメタゲーム上の優位という強みは残っているため、種が割れてしまったサイドボードの 《牙長獣の仔》 を対コントロールのカードに変更したり、メインボードから 《領事府の看視》 《不屈の追跡者》 を投入するなどの変更を加えることで、苦手を克服して環境で生き残ることは可能かもしれません。

動き自体は独特で面白いデッキではあるため、興味がある方はどうぞ触ってみてください。
《欠片の双子》 コンボのようなコントロールタイプのコンボデッキが好きな方にたまらないかもしれません。

それでは、今回は短めにこのあたりで話を畳ませていただこうかと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました! また、何かの記事でお会いしましょう!
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