アーキタイプ分類通信

第3回:いざ、モダン!

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皆さん、こんにちは!
暑さが日ごとに増してまいりましたが、いかがお過ごしですか。

この連載は、最近のメタゲーム環境の変化や、新しく登場した面白いデッキなどを、気まぐれに紹介していく記事です。

皆さんがこの記事を読むことで、少しでもMTGをより楽しめるようになってくださると嬉しいです。
 

今回はモダンシーズンのPPTQが始まったということで、アーキタイプ通信もモダンスペシャル、全編モダン一色でお届けします。

それでは早速本編に進みたいところですが、まずはお知らせがひとつ。

モダンシーズン到来に先駆けて、アブザンカンパニーエルフカンパニー、ふたつのアーキタイプをページ化しました。
その名が示すとおりに、どちらもタルキール龍紀伝で登場した 《集合した中隊》 が軸になっている生きのいい新デッキです。
まだ、このふたつのデッキについてよくご存じない方はもちろん、デッキリストをお探しの方も、どうぞ覗いてみてください。

ではでは今度こそ本題に入っていきたいと思います。
そして話の流れとして、まずはカンパニー系について詳しく……といきたいところですが、
残念ながら私見では、このふたつのデッキは新しいデッキなのもあって、まだまだ既存のデッキに追いついていません。
というわけで、その理由を探るためにも、まずは、既存の有力デッキから見ていきたいと思います。

(※今回のアーキタイプ分類通信では今後登録予定のデッキリストも掲載しております。こちらについては、登録終了後、リストを差し替えさせていただきます)
 

■メタデッキのおさらい

●堂々たるニ巨頭





モダン環境にはふたつのトップメタが存在しており、
そのひとつがこちらのジャンド白黒緑ジャンクを内包する黒緑系デッキです。
 
Siege Rhino / 包囲サイ Tarmogoyf / タルモゴイフ Lightning Bolt / 稲妻

バーンやトロン、白いビートダウンなどが増加したことにより、一度は王座を追われていたジャンドですが、メタゲームの変化により再び環境トップの座に返り咲きました。
具体的には、 《集合した中隊》 デッキや、後述の 《秘密を掘り下げる者》 デッキ、 《欠片の双子》 デッキなどの脆いクリーチャーデッキが増加したことで、除去能力に定評のあるジャンドが担ぎ出された形です。

《コラガンの命令》 という新戦力の加入により、もともと高かった対応力もさらにあがっており、コンボデッキを含む多くの相手に有利なジャンドは名実ともにトップメタに相応しいデッキであると言えます。

また、メタ上の立ち位置はジャンドには劣るものの、当のジャンドに強い白黒緑ジャンクもよく見かけるデッキのひとつです。
白黒緑ジャンクは、ジャンドが苦手なバーンデッキやサイズの大きいクリーチャーデッキ相手に耐性があり、逆にジャンドが得意な一部のコンボデッキやサイズの小さいクリーチャーデッキに不利であり、ジャンドとは弱点を補完しあう面白い共存関係にあるデッキです。





そしてふたつのトップメタのもうひとつが、青赤デルバー欠片の双子を内包するグリクシス(青赤黒)系デッキです。

《黄金牙、タシグル》 という強力なフィニッシャーが加入した時点ですでに兆候はありましたが、 《コラガンの命令》 という最強のユーティリティーカードを手に入れたことで、青赤系デッキは長年求めていたマスターピースをすべて揃え、王者として完全に開花しました。

この2枚がどれくらい強いかというと、元々はメインプランだった 《欠片の双子》 によるコンボや、 《秘密を掘り下げる者》 《若き紅蓮術士》 によるビートダウンを、サブプランに追いやったほどです。
 
Snapcaster Mage / 瞬唱の魔道士 Tasigur, the Golden Fang / 黄金牙、タシグル Kolaghan's Command / コラガンの命令
最強の布陣

相手からしてみれば、このカードパワーの高さは理不尽でしか無く、受け身でいればカードパワーに押し切られ、攻めようとしても 《秘密を掘り下げる者》 ビートや 《欠片の双子》 コンボという元一級品との真っ向勝負、俗に言う八方塞がりです。
まともに勝負しようとすれば、それこそジャンドのような完成度の高いデッキでなければ太刀打ち出来ない。

グリクシス系デッキは、まさしくモダン環境にそびえ立つ絶壁です。

しかも、新生グリクシスデッキはまだ生まれたてに等しく、現在進行形で進化を続けています。





最も活発に試行されているのは、サブプランに落ちた 《欠片の双子》 《秘密を掘り下げる者》 を他のカードと入れ替えようという試みで、多くの強豪プレイヤーたちが最強の形を求めて日夜試行錯誤しています。
揺るぎない最強を求めてさらなる高みを目指すトップメタデッキ、物語の中に入ったような話で実にわくわくさせられますね。
 

Grixis Control in Modern By Matt Costa
http://www.channelfireball.com/articles/grixis-control-in-modern/

HN:ごはんは飯屋さんによる上記記事の翻訳記事
http://nanashi.diarynote.jp/201506120101546599/

グリクシスコントロールについての記事です。興味がある方はどうぞ。


●辻斬り三銃士

最強のグリクシスとそれに強い黒緑。

強すぎるふたつのデッキは混沌としていたモダンに楔を打ち込みましたが、他のデッキがまるっきり消えてしまったわけではもちろんありません。

やられる前にやるを信条にしている狂犬のような3つのデッキが現環境でも引き続き暴れていますので、それらを紹介したいと思います。


 
Eidolon of the Great Revel / 大歓楽の幻霊 Lava Spike / 溶岩の撃ち込み Boros Charm / ボロスの魔除け

第一号は太古から存在する由緒正しきデッキ、バーン!
対戦相手がどんなデッキだろうと関係なし、手札をすべて本体に叩きつけて勝利を掴む!
バーンデッキについて詳しく知りたい方はこちら!


 
Karn Liberated / 解放された者、カーン Emrakul, the Aeons Torn / 引き裂かれし永劫、エムラクール Ugin, the Spirit Dragon / 精霊龍、ウギン

第二号は日本発の元ローグデッキ、赤緑トロン!

最速の3ターン目 《解放された者、カーン》 の前には、すべてのデッキが等しく無力!

赤緑トロンデッキについて詳しく知りたい方はこちら!


 
Amulet of Vigor / 精力の護符 Azusa, Lost but Seeking / 迷える探求者、梓 Primeval Titan / 原始のタイタン

第三号は彗星のごとくモダン界に突然現れた異次元殺法、精力の護符ランプ!
《精力の護符》 《花盛りの夏》 が揃った時、対戦相手に4ターン目は訪れない!

精力の護符ランプデッキについて詳しく知りたい方はこちら!

駆け足で3つ紹介しましたが、これらのデッキのコンセプトは「殺られる前に殺る」の一点で一致しており、どのデッキも自分の理想の動きを念頭に構築されており、対応力よりも突破力が優先されています。

対応力という舞台で、グリクシスや黒緑と勝負するのは愚の骨頂である以上、一点突破に賭けるというのは実に理に適った選択です。

そしてこれら3つのデッキは対策が難しいという共通点も持っています。

どのデッキも半端な対策なら踏み越えて勝利できるデッキパワーとスピードを秘めていますし、致命的な専用対策カードは存在しているものの、「3つ」のデッキが環境に存在していることで、対戦相手が万全な準備をすることを不可能にしています。

また、対応力が売りなデッキは、その強みを維持するために、相手デッキに対応したサイドボードが必須と言えますが、突破力が売りなデッキは、メインボードと同じ戦法を取るだけでもサイド後も一定の勝率が確保できるので、不十分な緩いサイドボードが許される構造上の強みがあります。

混沌としたメタゲームの今のモダン環境では、すべての対戦相手に対応するのは至難の業、真のトップメタたるのは連合としてのこれら3デッキの方なのかもしれません。
 

●勝負ターンについて

4ターン目に対戦相手のライフを0にして明確に勝利するバーンデッキ。

4ターン目に 《忘却石》 《精霊龍、ウギン》 で全体除去を行うだけな赤緑トロン。

これらが同列に語られていることに疑問符を浮かべた方も少なくないと思われますので補足を行いたいと思います。

今回の思考の原型として、勝負ターン(もしくはキルターン、基本ターン)という概念があります。

これはゲームを支配する準備に必要なターン、と定義することにします。

支配=勝利であるコンボデッキにおいては、これはそのままゲームを決するターン数となりますが、コントロールデッキの場合は、相手の攻め手を切らす・後続を断ち切るために必要なターンとなります。どちらにしろ、このターンをもって「準備完了!」とゲームのペースを自分のものにできることには違いはないので、同列に扱うことで、純粋にターンのみでデッキの動きを把握することが可能になります。

この思考の実践的な使い方として一番お手軽なのが、理想的な勝利状況を作れるターンと、現実的な勝利状況を作れるターンを割り出して、デッキを簡単に分析することです。

先ほどのバーンと赤緑トロンを例にすると、

赤緑トロンは、3ターン目に最速でトロンが揃って 《解放された者、カーン》 《ワームとぐろエンジン》 をプレイ出来た場合は概ね勝利。
現実的にはトロン土地が揃うのは、おおよそ4ターン目であり、そこで 《忘却石》 《精霊龍、ウギン》 をプレイして主導権を握るのが基本戦術。

以上から、理想ターンは3、基本ターンは4。

バーンは、理論上3ターン目にライフを20点削りきることが可能で、相手が土地からダメージを受けるデッキならそれが現実的なラインに届く。

しかし基本的には勝利するのは4ターン目。

そのため、理想ターンは3、基本ターンは4。

このようにふたつのデッキが似通った性質であることがよくわかります。

そして、これらのデッキを相手にするためには、最低でも3ターン目、可能なら2ターン目までに手を打つ必要があることが分かり、妨害する場合も、1ターン遅らせる妨害を1回だけ行う程度の期待値であるなら、5ターン目までの勝利を目指す必要が有る……など思考を膨らますことが出来ます。

基本ターンが、4ターン、ないしは5ターンでその上で 《思考囲い》 のような手札破壊や 《差し戻し》 のようなカウンターで序盤からの妨害が可能なジャンドや、欠片の双子はまさにこの条件に当てはまるデッキだったりします。

精力の護符ランプは、同じ基準で考えると、理想ターンは2、基本ターンは3になりますが、上のふたつのデッキよりも妨害を受けやすいことや、安定性にやや劣ることを考慮すると、だいたい1ターン遅れるので、同値となります。
こんな感じに、相手の妨害や安定性の優劣を考慮したり、実際に勝利するターンを項目に含めたりすることで、より実態に近づく努力をすることも有効です。

ターンに焦点を当てて、デッキを分析、僕自身も他人からの受け売りですが、そんな考え方もMTGには存在しています。

開墾、そして基本ターン By Zvi Mowshowitz(翻訳版)
http://blog.livedoor.jp/sideboard_online/archives/50560203.html

古い記事ですが、古豪Zvi Mowshowitzが基本ターンについて解説した記事です。合わせてどうぞズヴィ。
 

《集合した中隊》

Collected Company / 集合した中隊