デュエル・マスターズ グランプリ-2nd テキストカバレージ

デュエル・マスターズGP2nd 決勝ラウンド決勝戦:せいな vs. 尖迅

Sp 319ae628 472b 49af 9f7a fa5eaa0f8673
デュエル・マスターズというゲームのルールを紹介するときに、最初に説明される文言はなんだろうか。

「クリーチャーで5枚のシールドをブレイクして、ダイレクトアタックを決めれば勝利」

きっと、これだろう。

多分、このグランプリに参加した2000人を超えるプレイヤーのほとんど全員が一番最初に教わったルールはこれだろう。

このルールを聞き、ターンの進行を習い、カードの読み方を覚えて、みんなデュエマにはまっていったに違いない。ただただ、無邪気にクリーチャーでアタックしシールドをブレイクするのを楽しんだ時期もあったはずだ。

だが、デュエマの真の楽しさは、シールドをブレイクすることそれ自体にあるのではない。

「クリーチャーでアタックしてるから残念だね」なんて言うつもりは無いが、デュエマの真の魅力はシールドブレイクの向こう側にある。

そんな話はさておいて、「その勝負が歴史を刻む」と昨年5月に開催されたDMGP-1stの決勝戦はイメンループとヘブンズループというループデッキ同士の対決だった。

歴史は繰り返す。

このDMGP-2ndの決勝も、マーシャルループとサソリスループというループデッキの対決となった。大規模大会にループデッキを持ち込むメリットについては準決勝のカバレージでも語ったが、しかし、ループが圧倒的にメタゲーム上優位であるわけでないのも事実。グランプリにはループの魔物が住んでいるのか。

そして、DMGP-1stとDMGP-2ndの決勝の相似点はループ対決というだけではない。
せいなの使用するマーシャルループは、 《マーシャル・クイーン》 ではなく、 《マーシャル・クロウラー》 を使用した、同時に大量にトリガーさせたシールド・トリガーの連鎖で大量に確保した手札をシールドに転化し 《光霊姫アレフティナ》 の勝利条件を満たすトリガー系のループデッキだ。

《フォース・アゲイン》 によるバトルゾーンにでた時の能力の使い回しがキーになっている点と、完全なループも不可能では無いものの、ループに至る過程で大量のドローが行われるため、その前に勝利条件を満たせる点も含めて、ヘブンズ・ループと相似している。

ヘブンズ・ループと違い、マーシャル・ループは 《マーシャル・クロウラー》 が単体で一気に手札をシールドにできることからループに頼らずに 《光霊姫アレフティナ》 での勝利に繋げられるため、コンボ始動後の手順が少なくとも可能な点だ。また、コンボの始動が 《マーシャル・クロウラー》 という1体のクリーチャーのみで実質可能であり、手札さえあればシールドの中身に期待して無理に始動することが可能なのもメリットといえるかもしれない。

一方で、ヘブンズ・ループの持つメリットは、 《ヘブンズ・ゲート》 という呪文の性質上、トリガーからブロッカーが出てくるため、ナチュラルに相手の攻撃に耐性がつくことと、多くのクリーチャーをコンボに使用するため、ループを諦めても、クリーチャーでのビートという選択肢を一応は取れる点だ。

《奇跡の精霊ミルザム》 があった時代は、ほとんどの点でヘブンズ・ループの方がメリットが上回っていたため、マーシャルループを上位で見ることはなかったが、 《奇跡の精霊ミルザム》 の殿堂によって日本一決定戦を見てもわかるようにヘブンズ系デッキがループを捨て本来のカウンター型のデッキに回帰したことで、トリガー系コンボとして、今回、DMGP-2ndの決勝の場に登場した。

せいな 「こういう大会で結果残せたの初めてなんで、緊張しますね」

ただただ練習を重ねたマーシャルを手に、せいなが決勝の席につく。

■Game 1

じゃんけんで先手はせいな。 《サイバー・ブック》 をマナチャージする。対して、尖迅は1ターン目に 《曲芸メイド・リン・ララバイ》 をマナチャージし 《トレジャー・マップ》 《雪精 ジャーベル》 を手札に入れる。

せいなは2ターン目は 《フェアリー・シャワー》 のチャージでアクションがなかったものの、3ターン目には 《エマージェンシー・タイフーン》 をプレイ、 《マーシャル・クロウラー》 を墓地に送り込むと、それを見て相手のデッキタイプを察した尖迅はため息を付く。純粋なコンボデッキであるマーシャル相手に、バトルゾーン以外への干渉要素を持たない自然単は不利なのだ。

尖迅が 《雪精 ジャーベル》 《雪精 ジャーベル》 を持ってきた一方で、せいなは 《フェアリー・シャワー》 をプレイ。尖迅は序盤に出来なかったマナ加速を 《トレジャー・マップ》 経由で持ってきた 《霞み妖精ジャスミン》 で加速し、続くターンに 《龍覇 サソリス》 を呼び出せるように展開する。

逆に言えば、まだ 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 は無いわけで、このターンに慌ててゲームを決める必要も無いせいなは、チェーン発動からの安定度を高めるために 《サイバー・ブック》 で手札を整理する。対して尖迅は予定通り 《龍覇 サソリス》 から《次元の豪力》を呼び出し、 《勝利のリュウセイ・カイザー》 につなげることで、合計コスト20を達成、 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 を完成させる。

《遺跡類神秘目 レジル=エウル=ブッカ》 が無いため、ほぼループの心配は無いものの、 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 が建築されている上に、相手のマナゾーンに 《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》 があるため、瞬殺の危険もあるので、ここで動き出すことに決めたせいな。

まずは 《フェアリー・ギフト》 。そして、これによってコストが軽減された 《マーシャル・クロウラー》 をバトルゾーンに出すと、手札を4枚伏せ、そのままトリガーを発動させる。開示されたシールド・トリガーは 《フォース・アゲイン》 《目的不明の作戦》 が3枚というかなり強力なもの。まずは 《フォース・アゲイン》 《マーシャル・クロウラー》 に対して使用し、 《マーシャル・クロウラー》 のバトルゾーンにでた時の能力を1回ストックする。

続いて、 《目的不明の作戦》 で墓地の 《サイバー・ブック》 を再利用して次の 《マーシャル・クロウラー》 に備える。2枚目の 《目的不明の作戦》 は、まずは墓地の 《目的不明の作戦》 を対象にしてこれを山札の底に戻しつつ、 《フェアリー・シャワー》 をプレイする。

最後の1枚の 《目的不明の作戦》 も、 《目的不明の作戦》 経由で 《フォース・アゲイン》 を使用し、 《マーシャル・クロウラー》 のバトルゾーンにでた時の能力のストックを2つに増やすと、そのうちのひとつを使用する。

だが、手札の状況がかなり悪いようで、手札の3枚すべてを伏せると、1枚は自前のトリガーをしつつ、残り2枚は既存のシールドからトリガーを期待する。トリガーしたのは、 《フォース・アゲイン》 《金縛の天秤》 《フォース・アゲイン》 《マーシャル・クロウラー》 のバトルゾーンにでた時の能力のストックを2に戻すと 《金縛の天秤》 で手札を元の3枚に戻す。

そして、ふたたび3枚とも伏せると、今度は 《金縛の天秤》 《サイバー・ブック》 がトリガーし、手札を増やすことに成功する。ここで、最後の 《マーシャル・クロウラー》 のストックを使用する。

まずは4枚の手札をシールドに埋める。そして、まだ知らない最後のシールド1枚と、元々埋めた3枚を手札に戻し、 《金縛の天秤》 《サイバー・ブック》 《龍脈術 水霊の計》 をトリガーする。強力なトリガーに期待したかった最後の1枚がトリガーしなかったため、ここで実質ループは終了。次のターンの即死を避けるべくせいなは長考する。

結果、 《龍脈術 水霊の計》 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 をバトルゾーンから超次元ゾーンに送り込み、さらに 《金縛の天秤》 は相手のクリーチャーを止めるために使用。手札を増やす効果は 《サイバー・ブック》 のみとなった。

マーシャルは、かなりの手札ダンプを必要とするコンボだけに厳しい状況となってしまったが、続くターンに負けてしまっては元も子もなく、ここでターンを終了する。

しかし、ターンは帰ってきたものの 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 がなくなってしまっているので、 《龍覇 サソリス》 があったとしてもループまで時間が必要な尖迅。だが、ここから殴るプランで勝利を目指せるのが、コンボビートであるサソリスの強さだ。

まず 《雪精 ジャーベル》 をプレイし、 《霞み妖精ジャスミン》 を手札に入れると、残る3マナで 《S級原始 サンマッド》 をプレイし、能力で 《マーシャル・クロウラー》 をマナゾーンに送り込む。これで、少なくとも次のターンの 《フォース・アゲイン》 《目的不明の作戦》 からの 《フォース・アゲイン》 再利用でのコンボ始動は止めることに成功した。

だが、結局 《フェアリー・ギフト》 から 《マーシャル・クロウラー》 を出されてしまえば、同じこと。当然、できれば殴るリスクを負いたくないからこそ自然単サソリスにループを組み込んでいる尖迅ではあるが、このターンに殴りきれる打点がある以上は、ここは相手にターンを渡すリスクを考えなければならない。

次のターンにループが決まる可能性はゼロである以上は相手にターンを渡すほうがリスクが大きい。そう考えてか、深い溜息をついて、尖迅はサンマッドをタップする。
だが、ここで尖迅にはまた選択肢がある。

せいなのシールド5枚は、4回の 《マーシャル・クロウラー》 によって、すべて手札と入れ替えられているのだ。つまりは、いつ、どのタイミングでどのトリガーを埋めているのかという論理的推測と心理的な読み合いが発生するのだ。

1枚を入れ替えているものの、残りが 《目的不明の作戦》 《フォース・アゲイン》 という内容だった1回目の手札にコンボと関係ない防御トリガーは少ないと読むべきだろうか?

最も手札入れ替えをした4回目の入れ替えこそ、防御トリガーが埋められていると考えるべきだろうか?

2枚同時に入れ替えている3回目の入れ替えは、もっとも手札にコンボに不要なカード=防御トリガーが多かったと考えて、どちらかは防御トリガーだったかと考えるべきだろうか?

《サイバー・ブック》 《フェアリー・シャワー》 という選択可能なドロー呪文を経由した後である2回目の入れ替えにはコンボに不必要な防御トリガーは無いと考えるべきだろうか?

どの思考にも裏目はあり、リスクがある。

《S級原始 サンマッド》 がブレイクする3枚のシールド。まず、最初にブレイクしたのは、2回目に入れ替えたシールド。ここにトリガーは無い。続いて、3回目に入れ替えたシールドの片方をブレイクする。

ここでトリガーしたのは 《Rev.タイマン》 。そう、2枚目のブレイク、つまり、せいなの残るシールドは3枚で革命2は発動しないので、止められるクリーチャーは1体のみだ。せいなは最もブレイク数が多い 《勝利のリュウセイ・カイザー》 を止めることを選択する。 《S級原始 サンマッド》 の最後のブレイクは、4回目に入れ替えたシールドで、これは 《フェアリー・シャワー》 をトリガーする。

この時点で尖迅のバトルゾーンにアタックできるクリーチャーは3体で、せいなの残りのシールドは2枚。

そして、この時点で、残るシールドにトリガーが無いことをせいなだけは知っているのだった。

尖迅 1-0 せいな

決勝の片方にトリガー系コンボという共通点があったのならば、もう片方は 《邪帝斧 ボアロアックス》 を利用したデッキというより大きな共通点を持つデッキだ。

《邪帝斧 ボアロアックス》 、というよりその龍解後の 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 というカードは、召喚に応じてマナゾーンからクリーチャーを呼び出すという性質上、圧倒的な展開力で面で攻めるビートダウンが可能なだけでなく、自然文明特有のマナを扱うカードとの相互作用によって潜在的にループコンボを生み出す可能性を持っていた。

かつては 《龍覇 イメン=ブーゴ》 《邪帝斧 ボアロアックス》 を手に、時にはループに、そして時にはビートにという多面的な攻め方でDMGP-1stで垣根に勝利をもたらした。

その後、ループのメインパーツであった 《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》 がプレミアム殿堂になったことで、イメンループはトップレベルのデッキからは姿を消した。幾つかのループルートは残っているものの、レッドゾーンをはじめとした超高速ビートが上位に存在し、なおかつ、デッドゾーンという手札干渉能力の高いアンチコンボデッキも存在するため、現状のデッキ練度では太刀打ちできなくなっているのだ。

しかし、 《龍覇 イメン=ブーゴ》 の意志を、本来は敵であるはずの 《龍覇 サソリス》 が受け継ぎ、 《邪帝斧 ボアロアックス》 を握りしめ、環境のトップへと踊りだした。自然単のサソリスは、かつて全国大会の決勝に姿をあらわし一世を風靡したアーキタイプであるし、その後も、自然水サソリスなど様々な形で存在感を示し続けていた。

そして、これまで蓄積され続けてきた自然文明のマナ操作能力が結実し、 《S級原始 サンマッド》 という最強クラスの打点と、進化元ごとマナゾーンに戻りうるという潜在的なループ性能をもったカードの登場により、一気にメタゲームの中心に踊りでたのだ。

もちろん、ループを持たない自然単サソリスも、環境に存在しているが今回のグランプリで決勝の席に座るのは 《曲芸メイド・リン・ララバイ》 《獣王の手甲》 のコンボによって相手の山札だけをすべてマナゾーンに送り込むというループを内蔵したイメンループの直系とも言える「殴れるコンボ」だ。

相反するふたつの戦略を高い次元で融合したデッキだけに、どちらのプランを取るかを相手の動きによって見極めるのが、このデッキのプレイの難しさであり、醍醐味であろう。

これまでのプレイを見る限り、尖迅は出来る限りは殴るよりはループで勝利したいように見える。だが、単純なコンボ始動速度だけで言えば、マーシャルの方が早い。その上、ループのためには基本的に2回の龍解を経なければいけず準備に時間がかかる上に相手にタイミングを予測されてしまうサソリスに対してマーシャルは、手札さえあればどんなタイミングでも強引にループに入れる。

手札に干渉する要素の無い自然単にとって、相手のコンボタイミングを見計らってループからビートに切り替える駆け引きが勝負をわけるのは、Game1を見ての通りだ。

■Game 2

先手のせいなは、 《フェアリー・シャワー》 をチャージ。対して、尖迅は 《獣王の手甲》 をマナチャージし、2ターン目には 《霞み妖精ジャスミン》 をプレイして、マナを増やす。

一方のせいなは、3ターン目にもアクションがない。尖迅は 《トレジャー・マップ》 をプレイ、ここで持ってきた 《霞み妖精ジャスミン》 をプレイすると、続いて2枚目の 《トレジャー・マップ》 をプレイする。この 《トレジャー・マップ》 でもってきたのは 《雪精 ジャーベル》

4ターン目になって、せいなは初アクションとして、 《サイバー・ブック》 をプレイする。

続く尖迅のターンに、使えるマナは6マナ。ここで当然のように 《龍覇 サソリス》 を召喚すると 《邪帝斧 ボアロアックス》 を装備、 《雪精 ジャーベル》 をバトルゾーンに出すと 《S級原始 サンマッド》 を手札に加える。

バトルゾーンの合計マナコストが足らず、 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 への龍解は達成できなかった尖迅。対して、せいなはマナチャージをせずに 《フェアリー・シャワー》 をプレイする。これに対して尖迅は「マナチャージは無し?」と確認する。これは、つまり、次のターンにコンボ始動するために手札を保持しているということなのだ。

残された時間が少ないことは伝わってきているものの、ループはおろか、打点でも勝負を決めに行けない尖迅。2体目の 《龍覇 サソリス》 を召喚して 《邪帝斧 ボアロアックス》 を装備させ、 《天真妖精オチャッピィ》 をバトルゾーンに呼び出すものの、これでも 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 龍解にマナが足りない。仕方なく1体目の 《龍覇 サソリス》 でアタックし、 《霞み妖精ジャスミン》 をバトルゾーンに出す。このアタックはトリガーを踏まず、無事2枚の 《邪帝斧 ボアロアックス》 が2件の 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 に。

2枚の 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 は、コンボ嫌いからしたら恐ろしい存在だが、それ以上に恐ろしいのは 《フェアリー・ギフト》 からの 《マーシャル・クロウラー》

せいなは5枚の手札を伏せて手札に戻すと、 《フォース・アゲイン》 を2枚と 《金縛の天秤》 、そして《ミスティック・クリエイション》をトリガーする。

《フォース・アゲイン》 《マーシャル・クロウラー》 の能力を2つストックすると、 《金縛の天秤》 と《ミスティック・クリエイション》で一気に手札を増やし、ストックした 《マーシャル・クロウラー》 の能力を1つ解決する。

トリガーしたカードは、 《フォース・アゲイン》 《金縛の天秤》 《サイバー・ブック》 《龍脈術 水霊の計》 《目的不明の作戦》 《ミスティック・クリエイション》の6枚。まずは、とりあえずとばかりに 《フォース・アゲイン》 を使用して、ふたたび 《マーシャル・クロウラー》 の能力ストックは2つに。

《金縛の天秤》 《サイバー・ブック》 《龍脈術 水霊の計》 とすべてをドローに変換し、さらに《ミスティック・クリエイション》でマナゾーンのカードもすべて手札に回収される。

最後に残った 《目的不明の作戦》 《フォース・アゲイン》 に対して使われストックは3つになるが、この行動に対した意味は無い。

ストックのうち1回が使用され、 《転生スイッチ》 がトリガーすると、 《マーシャル・クロウラー》 が手札に戻り 《光霊姫アレフティナ》 へと姿を変え、主の居ない 《マーシャル・クロウラー》 の能力が律儀に手札を全てシールドにし、その瞬間に 《光霊姫アレフティナ》 の勝利条件が満たされてしまうのだから。

尖迅 1-1 せいな

尖迅の決死の特攻が実を結んだGame1。

相手がもたついている隙に、速度で優位なコンボをせいなが決めたGame2。

果たして、この対戦は、せいなのコンボ発動までに尖迅が殴り切るかを見守るだけの対戦なのだろうか。

それは違うと断言できる。

せいなのデッキは速度に勝る代わりに、コンボに特化しているため、相手の動きに干渉することがほとんど出来ない。逆に言えば、速度しか優位が無いのだ。

尖迅がループ完成のプレッシャーをかけてくれば、自身の優位を活かすためには不完全な体勢からでも運に天を任せてコンボを始動しなければならない。そして、相手のループに気を取られていると、突然のビートで負けることもある。

コンボに特化しているということは、一撃のコンボが失敗してしまえば、体勢はかなり厳しくなってしまう。とは言え、手札が万全な状態まで持ち込もうと引っ張れば、為す術もなく負けてしまう。相手の動きと自身の手札・シールドの運を慎重にはかり勝負を必要がある。

それは尖迅も一緒だ。

より確実に勝てるループの準備をしつつも、相手のコンボ始動の気配を感じれば、ビートに舵を切らなければならない。その適切なタイミングがいつかは、究極的にはわからない。相手の手札を推測しつつ、相手にコンボを決められるリスクを背負ってループの準備をするのか、相手に手札整理のチャンスを与えつつ、攻撃を止められループを決められる可能性を自ら上げるリスクを背負って攻撃するか。

そこには、運と読みのせめぎあいがある。

見えない駆け引きの最終戦がはじまる。

■Game 3

先手は尖迅。

《鎧亜の咆哮 キリュー・ジルヴェス》のチャージからスタート。さらに2ターン目には 《霞み妖精ジャスミン》 でマナ加速に成功する。互いに3ターン目にアクションがなく、尖迅は続くターンに《次元の豪力》をプレイする。持ってくるのは 《勝利のリュウセイ・カイザー》

これによって、せいなはさらにターンを飛ばされる。一方の尖迅は 《龍覇 サソリス》 を出せれば 《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 の建設に成功するのだが……このターンは 《龍覇 マリニャン》 《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》 を持ってくる。

せいなは 《サイバー・ブック》 をプレイするのみでターンを返す。尖迅は 《遺跡類神秘目 レジル=エウル=ブッカ》 に龍解すると、そのマナ軽減能力をフルに活用し、マナ爆誕で 《アラゴト・ムスビ》 を召喚しつつマーシャルタッチで 《龍覇 マリニャン》 を手札に戻して再展開する。もってくるのは、2枚目の 《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》 。2体目の 《アラゴト・ムスビ》 をマナゾーンにだすと、 《アラゴト・ムスビ》 を手札に戻す。

せいなは天を仰ぐ。

《邪帝遺跡 ボアロパゴス》 が無いのでループの心配はないのだが、続くターンの 《遺跡類神秘目 レジル=エウル=ブッカ》 の龍解で打点は7になる。すでに守りの要である 《Rev.タイマン》 を2枚マナチャージして居る上に、相手のマナゾーンに 《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》 が見えている以上、続くターンに殴り負けてもおかしくないのだ。

意を決して、 《フェアリー・ギフト》 を2枚使用すると 《マーシャル・クロウラー》 を召喚、2枚をシールドに残しつつ、 《龍脈術 水霊の計》 《目的不明の作戦》 《サイバー・ブック》 《金縛の天秤》 をトリガーする。

何はともあれ手札を回復しなければいけないせいなは 《龍脈術 水霊の計》 《サイバー・ブック》 でドローをすると、さらに 《金縛の天秤》 《勝利のリュウセイ・カイザー》 と《遺跡類神秘目 レジル・エウル・ブッカ》をアタック出来なくする。

そして、長考の末 《目的不明の作戦》 《金縛の天秤》 へと使用し、さらに2体を止める。続くターンに殴れる尖迅のクリーチャーは龍解した 《遺跡類神秘目 レジル=エウル=ブッカ》 《アラゴト・ムスビ》 のみ。

手札はさきほど手札に戻した 《アラゴト・ムスビ》 のみだったのだが、ここでトップデックが 《掘師の銀》 《マーシャル・クロウラー》 をマナゾーンに送り込むのに成功し、続くターンの 《フォース・アゲイン》 からのコンボ発動をさける。

2枚の 《遺跡類神秘目 レジル=エウル=ブッカ》 で数回 《アラゴト・ムスビ》 のマーシャルタッチをループさせ、ある程度マナを増やしたところでターンを終える尖迅。対するせいなは 《勝利のリュウセイ・カイザー》 によってこのターンに 《フェアリー・ギフト》 圏内である6マナを確保できず 《フェアリー・シャワー》 をプレイするのみでターンを返す。

これで 《金縛の天秤》 に押さえつけられていたクリーチャーたちがふたたびアタックが可能になる。

そして、ここでの尖迅のトップデックが 《龍覇 サソリス》 《邪帝斧 ボアロアックス》 《雪精 ジャーベル》 をマナゾーンから呼び出すと、その能力で 《雪精 ジャーベル》 を手札にいれて、召喚。さらにこの 《雪精 ジャーベル》 が3体目の 《雪精 ジャーベル》 を連れてくる。

続いて 《アラゴト・ムスビ》 を召喚し 《雪精 ジャーベル》 を手札に戻すと、増えたマナが 《S級原始 サンマッド》 。ふたたび 《雪精 ジャーベル》 を召喚して 《龍覇 サソリス》 を手札に加えると召喚し、 《邪帝斧 ボアロアックス》 を装備させる。

この 《邪帝斧 ボアロアックス》 が持ってきたのが 《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》 で、一気にアタックの体勢が整い、 《S級原始 サンマッド》 がS級侵略でバトルゾーンに登場する。

このトリプル・ブレイク。

まずは、まだ知らないシールドを2枚ブレイクする。この2枚はそれぞれ 《フェアリー・シャワー》 《金縛の天秤》 をトリガーする。この 《金縛の天秤》 も2体を止める程度ではこの猛攻を止められないので、ドローを選択する。3枚目のブレイクは 《マーシャル・クロウラー》 で仕込んだ1枚で、これはトリガーでないことをせいなは知っている。

続いて、尖迅は 《勝利のリュウセイ・カイザー》 で残る2枚のシールドをブレイクする。このうちの1枚はトリガーでないことをせいなは知っている。

そして、せいなが知らないシールドがめくられる。

《Rev.タイマン》 、革命2!

せいなはガッツポーズをし、尖迅は頭を抱える。これだけの手札があるマーシャルがどんな動きをするかはふたりともよく知っている。

せいなは 《マーシャル・クロウラー》 を召喚すると、2枚の 《フォース・アゲイン》 《ミスティック・クリエーション》 、そして大量のドローを含む8枚のカードをトリガーさせる。

ここから、せいなは山札を一周させるまでドローを進めた上で、 《エマージェンシー・タイフーン》 《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》 で山札を回復させたりしていたが、言及するべきは 《ミスティック・クリエーション》 《光霊姫アレフティナ》 《フォース・アゲイン》 を手札に戻していたことだろう。

そして、残った 《マーシャル・クロウラー》 のストックでせいなは2枚のカードを伏せ、トリガーする。

1枚めは 《フォース・アゲイン》 で、これが 《マーシャル・クロウラー》 のバトルゾーンにでた時の能力をさらにストックし、2枚目は 《転生スイッチ》 で手札から 《光霊姫アレフティナ》 をバトルゾーンに出す。
手札を全て伏せる動作は時として投了のサインだが、このデッキでは勝利のサインだ。

尖迅 1-2 せいな

互いにシールドをブレイクしないループデッキ同士の対決は、最後の最後で、シールドをブレイクする順番と、誰も知らないシールドがトリガーするか否かで勝負が決まるゲームとなった。

一方で、本来ならシールドをブレイクしきれるか否かが勝敗の分かれ目となるモルネクとサソリスループの戦いは、トップライフの山札のトップをめくる瞬間で勝負が決まるゲームとなった。

どちらも名勝負で、プレイしている両名はもちろん、見ている誰もが興奮するゲームだった。これがデュエマの魅力だ、と誰もが思えるゲームだった。

シールドのブレイクは、デュエマの魅力の本質ではない。それはデュエマを魅力的に感じるための手段だ。本当の魅力は、ブレイクの向こう側にある。

デュエマの魅力の本質は、駆け引きと読み合いと運のせめぎあいが生み出す戦略性と熱だ。シールドブレイクはそれを最も魅力的にみせる手段だが、それだけがデュエマの魅力ではない。コンボ対決にだって駆け引きと読み合いと運のせめぎあいがあり、デュエマの魅力は詰まっている。

それを、この対戦の素晴らしさが証明しているだろう。

踏まえて、やはり、デュエマで一番熱い瞬間は、シールドをブレイクする瞬間だ。

それを、この対戦の素晴らしさが証明しているだろう。

そして、その熱は勝敗があるゲームだからこそ生まれる熱だ。負けたくないからの戦略だ。

だから、勝者を賞賛しよう。

おめでとう、せいな!

DMGP-2ndチャンピオン!
レポート

ライター
ライターコラム

Page Top